データ分析設計パターンで価値創出までの時間を短縮
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 11 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今日の企業は、さまざまなソースからの膨大な量のデータについて適切に対応しきれていません。こうしたデータは会社に利益をもたらすために収集されているにもかかわらず、その膨大な量はデータチームの処理能力を超えることが多く、データのボトルネックが発生して、評価に時間がかかる場合があります。実際、データと分析のプロジェクトによって非常に実用的な洞察と推奨事項がもたらされていると感じている企業は 27% にすぎません(Accenture)。これは、4 社に 3 社近くがデータの価値を引き出せていないことを意味します。こうしたデータから変化を生み出し、実際のビジネスで成果を高めようとする組織にとって、これは大きな課題です。しかしながら、Google Cloud はこの課題の解決をチャンスととらえ、データ分析設計パターンを作成しました。これは、お客様がデータを使用して価値を実現するまでの経路を支援するように設計された、プロダクト横断型のテクニカル ソリューションです。この業界別ソリューションは、設計手法、オープンソースのデプロイ可能なコード、データモデル、リファレンス アーキテクチャとともにプロダクトの機能を統合して、ビジネス成果の実現を加速します。
データ分析設計パターンを導入すると、すぐにデプロイできる 30 以上のデータ分析ソリューションをご利用いただけます。設計パターンは、Google の強みと技術パートナーやシステムインテグレーターが参加する多彩なパートナー エコシステムを最大限に活用しています。このブログでは、データの価値を引き出すために設計パターンを適用する方法について、3 つの例を挙げて説明します。
統合アプリ分析でモバイルアプリ エクスペリエンスを向上させる
価格最適化でデジタル ショップの収益を最大化する
異常検出で社内システムをセキュリティとマルウェアの脅威から保護する
統合アプリ分析
モバイルアプリを市場開拓戦略の一部に据えている企業には、貴重な顧客の分析情報を提供できる複数のデータソースがあります。CRM(Salesforce など)やカスタマーケア(Zendesk など)などのツールのほか、Google アナリティクスを使用してアプリのイベントをログに記録したり、Firebase Crashlytics を使用してアプリのエラーに関するデータを収集したりすることが可能です。しかし、バックエンド サーバーのデータをアプリのフロントエンド データと簡単に組み合わせて、顧客の分析情報を引き出すことができるでしょうか?
統合アプリ分析の設計パターンを利用すれば、すべての異なるデータソースを単一のウェアハウス(BigQuery)に接続し、ビジネス インテリジェンス ツール(Looker)を使って簡単に分析を開始できます。アプリのカスタマー エクスペリエンスを完全かつリアルタイムで確認できれば、そこから行動に移すことができます。たとえば、アプリエラーの増加に気付いた場合は、Crashlytics データと CRM データを簡単に統合させることで、収益への影響が最も大きい障害を絞り込んで、解決の優先順位を決定できます。さらに、一部の VIP 顧客に影響を与える今後の障害に備えてルールを作成することにより、問題解決ワークフローを自動化できます。
統合アプリ分析の設計パターンを使用すると、アプリのユーザー エクスペリエンスに関する貴重な分析情報にアクセスできるため、将来のアプリ戦略に活かすことができます。たとえば、アメリカのメディア企業 NPR は、リスナーの興味や行動にうまくマッチしたコンテンツを提供することで、ユーザー エンゲージメントを高めました。
価格最適化
競争や変化の激しいグローバル市場では、戦略的な価格設定がこれまで以上に重要になりますが、プロジェクトでは、特にトランザクション、在庫、需要などから得られるデータの標準化、クリーニング、準備といった面倒な作業に追われがちです。
価格最適化ソリューションを活用することで、小売業者はデータドリブンな価格モデルを構築できます。このソリューションは、主に次の 3 つのコンポーネントで構成されています。
Trifacta による Dataprep: さまざまなデータソースを単一の共通データモデル(CDM)に統合します。Dataprep は分析、レポート、機械学習に使用する構造化データと非構造化データを視覚的に探索、クリーニング、準備できるインテリジェント データ サービスです。
BigQuery: サーバーレス クラウド データ ウェアハウス サービスとして、一貫性のあるスケーラブルな方法で価格設定モデルを作成および保存できます。
Looker ダッシュボード: 分析情報を明らかにし、それに応じてビジネスチームがエンタープライズ対応の BI プラットフォームで行動を起こせるようにします。
Google Cloud とパートナーの Trifacta による価格最適化設計パターンを使用すると、複数のデータソースを迅速に統合し、予測モデルを活用して将来の売上を推定する、ML を活用したリアルタイム分析が可能になります。たとえば、オンラインのジュエリー ブランド PDPAOLA では、単一のデータビューを得ることで動的な価格調整が可能になり、売上が倍増しました。
異常検出
組織は、デジタル化する社会において競争力を維持するために、リスクと機会を予測して行動する必要があります。異常検出は、高速で大量に流れ込むデータセットから、これまでの標準や予想される動作から逸脱したデータポイントとデータトレンドを特定して対応できるようにします。その結果、組織は変化するユーザーニーズの把握、悪意のある人物や行動の軽減、不要なコストと金銭的損失の防止が可能になります。
異常検出設計パターンは、Google Pub/Sub、BigQuery、Dataflow、Looker を活用して次のことを実現します。
リアルタイムでイベントをストリームする
イベントを処理し、有用なデータポイントを抽出して、使用している検出アルゴリズムをトレーニングする
ほぼリアルタイムで検出アルゴリズムをイベントに適用し、異常を検出する
ダッシュボードの更新やアラートの送信を行う
膨大な量のデータから重要な分析情報や異常を見つけることは、すべての業界や業種の組織が抱える課題ですが、組織のセキュリティを保護するうえで特に重要です。たとえば、国営通信会社の TELUS は、このパターンを活用してセキュリティ分析プラットフォームをモダナイズしたことで、異常をほぼリアルタイムで検出して、疑わしいアクティビティを検出、軽減できるようになりました。
使ってみる
組織にデータ分析設計パターンをデプロイして、Google Cloud と幅広いパートナー エコシステムを活用し、データをビジネスの成果に結びつけましょう。30 以上のデータ分析設計パターンが用意されています。さらに 200 以上のアイデアが検討されており、新しいパターンが随時追加されますので、定期的にチェックしてください。
データ分析設計パターンが組織のユースケースへの対応を加速し、価値実現までの時間を短縮するのにどのように役立つかについて、詳しくはこちらの動画をご覧ください。
- Google Cloud プロダクト マーケティング マネージャー Kathryn Petrini