コンテンツに移動
Containers & Kubernetes

GKE と Cloud Run、どう使い分けるべきか

2019年11月29日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2019 年 11 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

高度なスケーラビリティと構成の柔軟性を提供するコンテナ オーケストレーション プラットフォームを求めているお客様にとって、マネージド Kubernetes サービスである Google Kubernetes Engine(GKE)は優れた選択肢になります。GKE は、ステートフル アプリケーションのサポートに加えて、ネットワーキング、ストレージ、オブザーバビリティ(可観測性)のセットアップなど、コンテナ オーケストレーションのあらゆる側面を完全に制御できます。

しかしながら、お使いのアプリケーションがそうしたレベルのクラスタ構成やモニタリングを必要としない場合は、フルマネージドの Cloud Run が最適なソリューションになるかもしれません。フルマネージド Cloud Run は、Kubernetes の名前空間、ポッドでのコンテナ共存(サイドカー)、ノードの割り当てや管理といった機能を必要としないコンテナ化されたステートレス マイクロサービスにうってつけのサーバーレス プラットフォームです。

なぜ Cloud Run なのか

マネージド サーバーレス コンピューティング プラットフォームである Cloud Run は、さまざまな機能やメリットを提供します。

  • マイクロサービスの容易なデプロイ : コンテナ化されたマイクロサービスをシングル コマンドでデプロイでき、サービス固有の構成は不要です。

  • シンプルで統一的なデベロッパー エクスペリエンス : 各マイクロサービスは、Cloud Run のデプロイ単位である Docker イメージとして実装されます。

  • スケーラブルなサーバーレス実行 : マネージド Cloud Run にデプロイされるマイクロサービスは、リクエスト数に応じて自動的にスケーリングします。本格的な Kubernetes クラスタの構成や管理は不要です。マネージド Cloud Run は、リクエストがない場合はゼロにスケーリングし、リソースを使用しません。

  • 任意の言語で書かれたコードのサポート : Cloud Run はコンテナをベースとしているので、任意の言語でコードを作成でき、任意のバイナリやフレームワークを使用できます。

Cloud Run は 2 つの構成で利用できます。フルマネージドの Google Cloud サービスとして、そして Cloud Run for Anthos としてです(後者では Cloud Run を Anthos GKE クラスタにデプロイします)。すでに Anthos をお使いの場合は、Cloud Run for Anthos でコンテナをお客様のクラスタにデプロイし、カスタム マシンタイプや高度なネットワーキング サポート、GPU を利用して、Cloud Run サービスを強化できます。マネージド Cloud Run サービスと GKE クラスタは、いずれもコンソールとコマンドラインの両方から完全に作成、管理することが可能です。

しかも、便利なことに、マネージド Cloud Run と Cloud Run for Anthos は、サービスを実装し直すことなく、後で方針を変えて相互に簡単に切り替えることができます。

Cloud Run のユース ケース

以上の点を具体的に理解していただくために、ユース ケースの例として、アドレスの追加、更新、削除、一覧表示を行うサービスを見てみましょう。

このアドレス管理サービスを実装するには、それぞれの操作ごとに、コンテナ化されたマイクロサービスを 1 つ作成します。そして、イメージを作成してコンテナ レジストリに登録したら、シングル コマンドでマネージド Cloud Run にデプロイできます。4 つのコマンドを実行すると(各マイクロサービスを 1 つずつデプロイ)、完全にサーバーレスなプラットフォームでサービスが稼働します。下の図は、基盤データベースとして Cloud Spanner を使ったデプロイを示しています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/gcp_cloud_run.max-900x900.max-900x900.png

このようなユース ケースでは、マネージド Cloud Run を選択するほうが適切です。このアドレス管理サービスでは、Kubernetes でサポートされているような複雑な構成が不要だからです。また、24 時間週 7 日のクラスタ管理やオペレーション監視も必要ありません。このアドレス管理サービスをマネージド Cloud Run でコンテナとして実行することは、効果的なワークロード戦略です。

マネージド Cloud Run は、マネージド コンピューティング プラットフォームとして必須の構成設定をサポートしています。1 つのコンテナが受け取る最大同時リクエスト数、コンテナに割り当てられるメモリ サイズ、リクエストのタイムアウトが構成可能です。他の構成や管理作業は必要ありません。

ジョブに適したツールを

マネージド Cloud Run と GKE はいずれも強力なプロダクトですが、ユース ケースが異なります。どちらかを選択する場合は、ゼロへのスケーリングや詳細な構成管理など、機能的および非機能的なサービス要件を、前もって必ず把握しておいてください。

実際には、両方を同時に使いたい場合もあるかもしれません。GKE の高度な構成機能を必要とする複雑なマイクロサービス ベースのアプリケーションに加えて、Cloud Run の使いやすさやスケーラビリティを生かせるマイクロサービス ベースのアプリケーションを有する企業のケースもありえるからです。

Cloud Run についてもっと知りたい方は、こちらのウェブサイトをご覧ください。また、クイックスタートもお試しになれます。

- By Christoph Bussler, Solutions Architect, Google Cloud and Amina Mansour, Solutions Architect, Google Cloud

投稿先