GKE で未来を築く
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 12 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
米国の詩人 Maya Angelou の名言に、「自分がどこから来たのかがわからなければ、今どこへ向かっているのかはわからない」というものがありますが、そのとおりだと思います。Build with Google Kubernetes Engine(Google Kubernetes Engine で構築する)のイベントがスタートし、GKE Autopilot がリリースされたばかりですが、ここで少し振り返ってこれまで GKE が実現してきたことをご紹介したいと思います。GKE はたった 6 年という短い時間で、最新のクラウドネイティブ アプリを実行するうえで最も広く利用されているサービスの一つとなりました。スタートアップ企業から Fortune 500 に名を連ねる企業まで、さまざまなお客様にご利用いただいています。お客様の熱意に触発されながら、Google は皆様が Kubernetes クラスタの処理を Google に任せ、ユーザーのために優れたサービスを開発することに集中できるよう、Kubernetes でできることの限界を広げてきました。
これからの未来を共に築いていくため、Kubernetes のこれまでの歩みと、現在の状況について見ていきましょう。
継続的なイノベーション
コンテナ オーケストレーションの領域は、Google が 6 年以上前に Kubernetes を生み出して世界に公開してから、大きく変化しました。思い出すのが少し難しいですが、最初に Kubernetes を設計した当時は、コンテナ化されたアプリケーションのフリートを大規模に管理するための業界基準もありませんでした。すでにコンテナに関する数多くの技術的イノベーション(コンテナ最適化 OS など)を開発していた Google にとって、コンテナの新しい管理手法を提案するのは至って自然なことでした。社内のニーズに応じて毎週数十億ものコンテナを起動していたその当時の経験に基づく手法です。
2015 年、Google は特定のベンダーに偏らずに Kubernetes プロジェクトを一元管理する団体 Cloud Native Computing Foundation(CNCF)を共同設立しました。以来、世界中のさまざまなデベロッパー コミュニティがプロジェクトに寄与し、CNCF プロジェクトからメリットを得てきました。2020 年だけでも、500 以上の企業のデベロッパーが Kubernetes に寄与し、あらゆる大手クラウド プロバイダが Google の先例に倣って Kubernetes のマネージド サービスを供給しています。この Google が開発した技術は幅広い業界で支持されており、その結果「お客様が求める場所とタイミングでワークロードを実行できる選択肢を提供し、独自仕様の API によって従来のクラウド プロバイダに縛られないようにする」という Google のビジョンが実現しています。
コミュニティにおけるリーダーシップ
Kubernetes が社内プロジェクトとして始まって以来、Google では Kubernetes への投資を継続してきました。CNCF の主導で Google がプロジェクトに追加してきたコントリビューションは 680,000 件を超えており、そのうち 123,000 件は 2020 年に追加したものです。これは他の全プロバイダの合計数を上回っています。Kubernetes を本当に活用するなら、Google の専門性の結晶である GKE に並ぶサービスはありません。
また、Google は Google Cloud で Kubernetes をホストするためのクレジットを提供することで、CNCF を積極的にサポートしています。毎日 1 億件以上のコンテナのダウンロード、毎月 40 万件以上の統合テストが実行され、GKE と Google Cloud の合計で 30 万コア時間以上が使用されています(読み間違いではありません、Kubernetes プロジェクトそのものが GKE と Google Cloud で構築され、提供されています)。
お客様の成果
Kubernetes の生みの親として、そして継続的な投資の結果として、Google が Kubernetes に対する優れたマネージド サービスを提供しているのは不思議なことではありません。実際、現在の市場で最も優れたサービスの一つだと考えても問題ないと思います。
その迅速性、スケーラビリティ、安全性、可用性から、GKE は非常に多くの企業に採用されています。Fortune 500 企業の中でも、通信、メディア、ゲーム関連企業では上位 10 社のうち 5 社、医療と生命科学関連企業では上位 10 社のうち 6 社、小売、日用品関連企業では上位 10 社のうち 7 社に GKE をご利用いただいています。また、トップクラスのテクノロジー企業にも活用されています。たとえば Databricks は、Google Kubernetes Engine を基盤とする Databricks サービスを Google Cloud で顧客に提供しています。
GKE はスケーラビリティも最高水準です。何といっても、Google は世界中で利用できる YouTube、Gmail、Google ドライブのようなサービスを運用している企業です。そのため、ワークロードを大規模にデプロイすることにかけては熟知しています。Google にだけ可能な方法で、その専門性を Kubernetes に活かしているのです。たとえば、Bayer Crop Science は GKE を活用し、15,000 個のノードクラスタによって研究のワークロードを 200 倍以上にシームレスにスケールしています。
GKE では、ネットワーク ポリシー ロギング、強化サンドボックス環境、脆弱性スキャン、シールドノード(暗号で確認可能なチェックを使用)、機密ノードなどのネイティブなセキュリティ機能をご利用いただけます。これらはすべて多層防御のセキュリティ手法を簡単に実装できるように設計されており、お客様が大規模な運用を安全に行えるようになっています。Shopify などのお客様は、大規模スケールをスムーズに行えるということで GKE を信頼してくださっています。Shopify は、最近のブラック フライデー サイバー マンデー期間において、50 億ドル以上の取引に対応したお客様です。
また GKE は、リリース チャンネル、マルチクラスタ サポート、そして可用性向上のためのノード自動修復を含む 4 方向自動スケーリングなど、業界初のさまざまな機能も提供しています。こうした機能セットの提供に加えて、効率的なビンパッキングと自動スケーリングにより費用の最適化もサポートしています。OpenX などのお客様は、GKE で最大 45% の費用削減を実現しています。
GKE Autopilot のモメンタム
これを背景に提供が始まったのが、新しい運用モードである GKE Autopilot です。クラスタ管理の運用コストを削減し、本番環境向けにクラスタを最適化して、ワークロードの可用性を向上させることができます。2 月のリリース以来、すでに Strabag や Via Transportation といったお客様から、クラスタ管理に割く時間を短縮でき、同時に Kubernetes 環境のパフォーマンス、セキュリティ、復元性が大幅に向上したとの声が寄せられています。
簡潔にまとめると、Google は現在の市場で特に構成しやすく、安全かつスケーラブルで、自動化された Kubernetes サービスを提供するため尽力してきたということです。この取り組みはまだ始まったばかりです。5 年以上にわたる Kubernetes への継続的な投資をこれからも引き継ぎ、GKE はお客様の成功と発展をサポートしてまいります。
GKE のメリットを共有しませんか。Google Cloud {Code_Love_Hack} のハッカソンに参加して、GKE、コンテナ、Cloud Code をどのように使用しているかを紹介してコーディングへの熱意をぜひ共有していただければ幸いです。登録受付はもう始まっています。皆様が GKE で作成される素晴らしいプロジェクトを拝見できることを楽しみにしています。
-プロダクト&デザイン担当バイス プレジデント Pali Bhat