Google Cloud と ServiceNow でクラウドの運用と移行を改善
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
組織が IT 運用のコア コンポーネントとしてクラウドを採用する場合、パブリック クラウドへの大規模な移行、インクリメンタルまたは大規模なハイブリッド デプロイ、プライベート クラウド、さらには複数のクラウドにまたがるサービスの実行など、さまざまなオプションを利用できます。
個々のワークロードをホストする場所に関して、現代の企業にはこれまでになく多くのオプションがありますが、複雑さのレベルも高まっています。
Flexera が発表したレポート、2021 State of the Cloud によると、企業の 92% がマルチクラウド戦略を採用しています。ただし、ほとんどの企業ではクラウドコストが計画を上回るという現実に直面しており、既存のクラウド リソースの最適化が必要となっています。
これらの組織には、いくつかの共通のコアニーズがあります。具体的な内容は以下のとおりです。
ワークロードがどこにあるのかに関係なく、重要なアプリケーションとデータについて可視性と制御を維持する
クラウドへの移行を慎重に計画し、迅速に実行する
稼働時間を最大化する
事前対策をして停止を回避する
組織がクラウドへの移行を安全かつ効率的に促進できるよう、Google では主要な 4 つの側面で ServiceNow とのパートナーシップを強化しています。
1. リアルタイムでの可視性の実現
通常、大規模な組織は、オンプレミスで実行されるプライベートクラウド、1 つまたは複数のパブリッククラウド、ハイブリッド環境など、複数の場所にまたがるアプリケーションとデータを所有しています。これらの異なるワークロードとデータの管理は、ときに困難が伴うことがあります。つまり、チームはワークロードの場所と接続方法を把握し、ワークロードを適切に管理する必要があるのです。
ServiceNow と Google Cloud は、Google Cloud Asset Inventory ツールと ServiceNow IT Operations Management(ITOM)可視化サービスを統合する予定です。これにより、自動更新と運用オーバーヘッドの削減を通じて、データのリアルタイム ビューと組織の構成管理データベース(CMDB)のデータ品質向上を実現できます。
IT チームは、これにより最終的に IT 資産全体にわたるワークロードの可視性と管理の向上を実現できることになります。その結果、クラウド、ハイブリッド、オンプレミスのデプロイ全体で既存のガバナンス モデルとコンプライアンス モデルを活用して、IT 運用を最適化し、リスクを軽減して、使用状況とコストレポートを取得できるようになります。
旅行テクノロジー会社の Sabre は、ServiceNow ITOM の長年のユーザーです。去年、Sabre は、プラットフォームを Google Cloud に移行するため Google との大規模なパートナーシップを発表しました。
Sabre のグローバル オペレーション担当バイス プレジデントである Charles Cinert 氏は、次のように述べています。「Sabre は、旅行業界のお客様に重要なバックボーン テクノロジーを提供しています。このテクノロジーは、継続的な運用の成功を保証するための厳格なガバナンスに基づく、非常に優れた稼働時間要件を備えたものです。IT 運用管理のプラットフォームとして、当社では ServiceNow を使用してきました。昨年、Google Cloud との大規模なパートナーシップを発表して、プラットフォームを Google Cloud のインフラストラクチャに移行しました。Google Cloud にデプロイしたアセットとサービスを ServiceNow CMDB に正確に反映すること、既存の IT ワークフローを活用して Google Cloud にアセットをプロビジョニングすること、Google Cloud への当社のオンプレミス ワークロードの移行を促進すること、これらを実行する必要があります。パートナーシップの結果、これらの分野への投資が行われ、オンプレミスと Google Cloud 全体で統一された可視性、ガバナンス、制御が提供されることを嬉しく思います。」
2. クラウドへの移行促進
ベースラインの管理フレームワークを確立できれば、IT チームはワークロードの評価と実際の移行に注力できるようになります。複雑な IT ランドスケープを持つ組織の場合、これはとりわけ難しい作業となる可能性があります。移行対象のワークロード、アプリケーションの移行方法(リフト&シフト、リファクタリング、廃棄)、移行する順序など、これらを特定するのに長い期間が必要になるからです。Google Cloud では、高速評価および移行プログラム(RAMP)を作成しました。これは、複数のワークロードのデータソースを組み合わせて、適切なサイズ設定、移行の順序、その他のクラウド最適化に関する推奨事項を提供し、組織がオンプレミスからクラウドへの移行を簡素化できるよう支援するものです。
ServiceNow CMDB では、IT インフラストラクチャとデジタル サービスデータの単一の記録システムが利用できます。これには所有しているすべてのものを評価する機能があり、組織に最適な方法で移行するのに役立ちます。Google Cloud RAMP と組み合わせて使用することで、CMDB は移行計画の作成に使用する重要なワークロード パフォーマンスとサイズ設定データを提供できます。Google と連携する複数の相互システム統合パートナーは、これらの統合機能により、クラウド移行計画を最大で 50% 促進できると考えています。
Cinert 氏は次のように付け加えています。「Sabre はワークロードが Google Cloud に移行するたびにその価値を認識しており、移行するワークロードは今後 10 年間で数千のレベルに達します。私たちにとってこのパートナーシップはまさに、移行に伴うリスクを軽減しながら移行を促進する方法を提供してくれるものです。」
3. 環境全体で一貫したガバナンスを提供
ミッション クリティカルなワークロードをクラウドに移行する場合、運用の卓越性を確保することが最も重要です。最高レベルの稼働時間、セキュリティ、データの制御をサポートするため、Google ではより多くの Google Cloud と Google Workspace サービスを追加して、IntegrationHub で利用できる統合「スポーク」のカタログを拡充していきます。
これらのスポークを利用することで、組織が ServiceNow から Google Cloud のアセットを管理できるようになり、お客様の Google Cloud デプロイメントに対して、オンプレミス環境と同じレベルの運用上の厳密さが確保できます。お客様は、既存の IT ワークフローと歩調を合わせ、クラウド資産のガバナンスとセキュリティが向上していることを実感されることでしょう。組織が重要なアプリケーションを対象とした高可用性の障害復旧環境を作成する際に、これは特に重要です。
さらに、Google と ServiceNow は、Google プライベート カタログ サービスや ServiceNow サービス カタログなどのサービスを活用した、ワークロード プロビジョニングへの高度なセルフサービス アクセスを模索しています。IT 組織は、ガバナンスと制御を維持しながらさらに優れたアジリティを享受できるようになります。
4. AIOps による問題の予測と解決の自動化
IT 組織は、サービス停止の影響を最小限に抑えるためにたゆまぬ努力をしています。ServiceNow AIOps は、AI を活用して大量のデータセットをふるいにかけ、組織が停止を予測して解決を自動化するのを支援します。このパートナーシップにより、ServiceNow AIOps は Google Cloud Ops からの IT イベントデータ(以前の「Stackdriver イベント」)の使用と処理を行って、サービスレベルに影響を与える可能性のある傾向を特定し、そのようなデータを相互に関連付けることができます。たとえば、ServiceNow ITOM Health は、Google Cloud イベントデータ、ログ、モニタリング ツール、その他のデータソースからのテレメトリーを取り込んで問題の根本原因をすばやく特定し、影響を受けたシステムの修復を自動で行います。
この ServiceNow との提携の第 2 段階には、大いに期待しています。Google は、IT 資産全体の中でお客様の可視性が向上し、クラウドへの移行が促進され、また Google Cloud で新しいレベルのガバナンスと AI ベースのオペレーションが可能となるよう重点的に取り組みを行い、お客様に大きな価値を提供することを目指しています。
これらの統合は 6 月に利用が可能となります。パートナーシップの詳細と Google のエキスパートへ連絡をご希望の場合は、こちらのフォームをご利用ください。
-SaaS パートナーシップおよび ISV センター オブ エクセレンス担当マネージング ディレクター Siddhartha Agarwal
-ServiceNow IT Operations Management プロダクト担当バイス プレジデント Brian Emerson