エンタープライズの将来: ブラウザでのビジネス運用
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 9 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年は誰も予測できない出来事の年でした。そして、ビジネスは状況の変化と新しいビジネスの要件に対応を迫られることになりました。いくつかの組織、たとえば私の夫の雇用主、母と兄弟が勤務している病院、私の近くの学校などは、時流の変化にすばやく対応できました。そして、私は過去数か月にわたり、この変動の 1 年についてお客様と話す機会がありました。たとえば、PwC のグローバル チェンジ ディレクターである Adrienne Schutte 氏と最近話したとき、同社が全世界で 275,000 人を超える従業員をシームレスにリモート作業に切り替えた方法を学びました。同社はプロフェッショナル サービス企業として、クライアントからの仕事をバーチャルで獲得して成果物を納品する方法を新たに作り上げ、同時に従業員に情報を周知して関係を維持する必要がありました。G Suite や Chrome などのソリューションと、クラウド テクノロジーへの広範な投資により、同社は予期しないビジネスの中断に対処するため理想的な地位を占めました。
PwC だけではありません。クラウドとウェブに出資していた組織は、将来の変化をサポートするため優位な位置にあります。外出禁止令や、家庭から広範な業務を行うイニシアチブが開始される前も、ビジネス ユーザーは 1 日の作業の 75% をウェブブラウザでの作業や仮想会議への参加に費やしていたことが報告されています1。それ以来、ウェブアプリやクラウドベースの会議ソリューションへの依存は増え続けてきました。Google Meet だけでも需要は 30 倍にも増加しました。
組織が自社のビジネスを推進するため必要なテクノロジーを結合するうえで、ウェブブラウザは決定的な役割を果たします。ウェブブラウザがウェブへの一方向のアクセスにしか使用されなかった時代は過ぎ去りました。ビジネス ユーザーはワークスペースの重要な部分として、必要なデータやアプリへ安全にアクセスするため、そして生産性の必要に直接対応できるプラットフォームで支えられる場所としてブラウザを使い続けるでしょう。IT チームとビジネス ユーザーが Chrome に期待する範囲は広がり続けています。ブラウザはますます作業の目的に合わせて構築されるようになり、IT チームはビジネス上の決定をより的確に行うため必要な可視性が得られるようになります。
Chrome はエンドユーザーのコンピューティング環境の重要な部分で、ますますクラウドに移行していく労働力を IT チームがどのようにサポートするかを再定義するため Google は注力しています。エンタープライズについて最も注目すべき主要な分野は 4 つです。
常にユーザーが最優先
Chrome が 12 年前に初めてリリースされたとき Google が目指していたのは、高速、安全で、信頼性が高く、ウェブの進化し続けるコンテンツやアプリケーションの状況をサポートできるよう構築されたブラウザ環境をすべてのユーザーに届けることでした。Google は常にこの目標を追い続けており、Chrome の最新のリリースも例外ではありません。タブの整理や管理から、パフォーマンスの向上や、デスクトップとモバイル デバイス間での共有を簡単に行う機能まで、Google は常にユーザーの個人のくらしと仕事の両面で役立つ、新機能や機能改良に投資してきました。
既存のクラウド管理イノベーションを基礎とした発展
労働者向けのウェブ環境を管理する必要がある IT チームへのサポートは、今後も最優先であり続けるでしょう。Chrome ブラウザ クラウド管理はすでに IT 専門家が追加費用なしで使用でき、組織はプラットフォーム間にわたる自社のエンタープライズ ブラウザ デプロイについて、これまでは不可能だったコントロールと可視性が得られます。このモデルにより、ユーザーが企業のネットワークに接続しているかどうかにかかわらず、管理とポリシー適用が可能になります。大規模なリモートまたは分散した労働力をサポートする必要のある組織では、この点が特に重要です。
Google はこの機能を基礎とし、データのエクスポートをより柔軟に行える新しい API を使用して、サードパーティのツールによるより詳細なレポートとコンプライアンスを求めるお客様の必要に対応しています。また Google は、クラウド管理に詳細な更新コントロールを追加し、IT チームが更新をいつ、どのような方法で行うかを簡単にコントロールできるようにしました。
そのほか、ポリシー設定をより柔軟に行う API の追加など、いくつかの新機能を開発中です。また Google は、IT 管理者が特定ブラウザのキャッシュのクリアなど一般的なタスクをクリック 1 つで行えるようにするリモート コマンドの導入も計画しています。これにより、管理者は特定のウェブサイトのキャッシュに関連するエンドユーザーの問題を簡単に解決し、ユーザーの生産性を最短時間で完全に復元できます。
エンタープライズ固有のブラウザ セキュリティの追加
Google は、IT 管理者にとっての最優先事項がセキュリティであることを理解しており、セキュリティの強化を中心としてウェブのエコシステムを主導していきます。Chrome に搭載されている保護機能に加えて、管理者がより多くの可視性を得ることができ、組織全体にわたって Chrome 拡張機能のデプロイを管理できるコントロールを開発中です。たとえば、IT チームが新しい拡張機能のリクエストをレビューして承認または拒否できるようになりました。今年後半には、ユーザーが Chrome ウェブストアから拡張機能をリクエストし、IT が承認するまでのワークフローをサポートする、IT に最適化された環境の導入を開始します。これにより IT チームは、拡張機能をレビューしてからインストールを許可し、そのプロセスの主要な部分をトラッキングおよび自動化できるようになります。IT は、セキュリティ要件が適用されていることを保証しながら、ユーザーが拡張機能による生産性増大の恩恵を受けられるようにできます。
拡張機能のセキュリティ以外にも、エンタープライズ ユーザーがウェブを使用するときの危険性をリアルタイムで抑止できる可能性があります。ブラウザは、エンタープライズのゼロトラスト セキュリティ戦略の重要な部分です。Google は今後数か月間に、Chrome と Google Cloud セキュリティ ソリューションが連携して脅威を検出し、違反の可能性を防止して、データ漏洩に関する追加コントロールを適用する方法に関して、いくつかの重要な発表を行う予定です。
アプリのプロバイダのエコシステムと統合する
ブラウザは今後も、ビジネスの運用に必要なクラウドとウェブアプリへのエントリポイントとして使用されます。SaaS アプリと Chrome ウェブ プラットフォームの能力を組み合わせることで、業界最先端の Google とサードパーティのアプリケーションが Chrome 内でよりシームレスに動作できるようにする新しい方法を Google は探求しています。今年後半には、Chrome と Google のパートナーから Google の計画の一部をお知らせすべく、いくつかの重要な発表を行います。
Chrome からエンタープライズにお届けできるものは数多く存在します。Google はエンタープライズに対して、単に信頼性があり安全なウェブブラウザという Chrome の枠を超え、全世界の組織が必要とする管理、セキュリティ、ユーザー エクスペリエンスを提供するため努力しています。IT チームの ⅔ が、在宅勤務は自社において恒久的な形態になるかもしれないと報告している現状において、Chrome は長期的な展望のもとに革新を進めており、Google は進化し続ける業務とウェブの将来に合わせてエンタープライズをサポートするため、お客様とともに進んでいくことを期待しています。
今後の方向性についての情報を求める IT プロフェッショナル向けに、Google は今週中に 2 つの方法で情報をお届けします。火曜日には、Google の Chrome Enterprise 専門家チームが 90 分間の技術的な Admin Essentials 仮想イベントを主催します。Google のプロダクト ロードマップの最新情報を公表し、環境で Chrome を最大限に活用するためのヒントとコツを紹介します。木曜日には、Forbes のデジタル イベント「2020 年とその先: ビジネスの新時代に合わせたウェブのカスタマイズ」に私が参加します。Forbes の Alex Conrad 氏と対談し、ウェブの将来に向けた Chrome の将来像についていくつかの構想を共有して、エンタープライズについて深く語り合います。ご参加をお待ちしております。
1. Google からの委託で Forrester Consulting により実行された調査、『Cloud Workers Are Key To Disruption Preparedness』、2020 年。
-Chrome プロダクト、エンジニアリングおよび UX 責任者 Parisa Tabriz