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ビジネス インテリジェンス

Looker が支援する、スタートアップのデータに基づく分析情報の獲得

2023年11月20日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 11 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

昨今のデータドリブンな世界では、ビジネス インテリジェンス(BI)は、あらゆる規模の組織にとって、情報に基づいた意思決定を行い、目標を達成し、競争に勝ち残るために必要不可欠です。ビジネス インテリジェンス(BI)は、データを戦略的なビジネス上の意思決定に役立つ実用的な分析情報に変換するためのアプローチです。テクノロジーの絶え間ない進化に伴い、BI 実践の状況も変貌を遂げています。10 年前、Looker とともにセマンティック モデリングという考え方が登場し、現代の BI が再定義されました。

スタートアップにとっては、下す決断の一つひとつが成功を左右する重要なものです。だからこそ、十分な情報に基づいた決断を下すための適切なツールを持つことが重要になります。この記事では、それを実現するために役立つビジネス インテリジェンスおよびデータ分析プラットフォームである Looker について詳しく説明します。

Looker プロダクト ファミリーの概要

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Looker プロダクト ファミリーには、Looker、Looker Studio、Looker Studio Pro が含まれます。

  • Looker Studio は、元データから直接ダッシュボードを作成できる、ユーザー フレンドリーな無償の可視化ツールです。一元化されたデータモデルを必要とせず、さまざまなソースから素早くデータをインポートできます。さらに、シームレスなコラボレーションを促進し、さまざまなチーム間で簡単にダッシュボードを共有できます。
  • Looker Studio Pro は、ビジネス ユーザーのニーズに合わせて調整された Looker Studio のプレミアム バージョンです。これには次のようなメリットが追加されています。
    • Dataplex とのインテグレーションにより組織全体におけるデータの可視性が強化されます。
    • チーム ワークスペースによりチームのコラボレーション エクスペリエンスが向上し、アクセスとコンテンツ管理機能が改善されます。
    • 24 時間年中無休のサポート チャネルを利用でき、SLA で 99.9% の可用性が保証されます。

Looker Studio Pro では、よりエンタープライズ向けの機能をご利用いただけます。

  • Looker は、セマンティック モデリング レイヤ上でのデータ探索を可能にすることで、大規模なデータ ガバナンスを実現するマルチクラウド データ プラットフォームです。

従来のビジネス インテリジェンス ツールの問題点

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従来のビジネス インテリジェンス ツールでは、ユーザーは組織内のさまざまなソースからデータを取得し、特定のビジネス目標のためにカスタマイズされたダッシュボードを作成する必要がありました。データが複数のリポジトリに存在するため、データ アナリストはデータ抽出のためにコネクタを使用したり、込み入った SQL クエリを作成したりする必要があり、これは複雑な作業になり得ます。次に、データはサイロ化されたワークブックに集約され、それぞれがデータセット全体を構成する個別のサブセットになります。最終的にこの情報は、ビジネス ユーザーが利用できるように調整されたさまざまなダッシュボードやレポートに変換されます。

しかし、この方法には以下の 2 つの課題があります。

  • 1 つ目は、プロセスにボトルネックが生じることです。指標定義の変更時など、新しい情報を組み込む必要がある場合は常に、ビジネス ユーザーはデータチームとのやり取りが必要になります。その結果、複数の関係者からのアドホックな要求に数多く対応するという、時間のかかるサイクルが発生します。
  • 2 つ目は、「データカオス」と呼ばれる事態を招く可能性があることです。データチームが行う情報の追加、削除、更新などの調整は、ワークブックやレポートごとに個別に行われます。ビジネス ロジックの定義方法に整合性がないため、ダッシュボードの信頼性が損なわれてしまいます。

Looker は、データの信頼できる唯一の情報源を提供することで、これら 2 つの課題に効果的に対処します。これにより、誰もが Looker から必要なデータに直接アクセスできるため、データ アナリストがデータアクセスのボトルネックになることがありません。さらに、Looker はビジネス指標の定義を標準化しており、同じ指標の定義が人によって異なることで生じ得る混乱をなくします。

仕組み

データを移動せずにリアルタイムの分析情報を得る方法

Looker のリアルタイム データ分析を理解するには、Looker がデータをどのように扱うかを理解することが不可欠です。ビジネス アナリストがビジネス インテリジェンスを複雑だと感じることが多いのは、ETL(抽出、変換、読み込み)を時間がかかり、エラーが発生しやすいプロセスだと考えているためです。ETL とは、あるソースから別のソースにデータを移動するプロセスであり、その過程でターゲット システムで使用できる形式にデータを変換します。

Looker ではインデータベース アーキテクチャが採用されており、ビジネス アナリストは、従来型 BI ツールの時間のかかるデータ読み込みとは対照的に、ソースから元データを直接クエリできます。これにより同時に、ダッシュボードがリアルタイムで信頼性の高いものとなります。

Looker は 50 を超える SQL 準拠のデータベース言語をサポートしており、そのサポート範囲は拡大し続けています。

Looker のセマンティック モデリング レイヤ: BI 指標の信頼できる唯一の情報源

スタートアップの内部データチームは、データの不整合に起因する課題に頻繁に直面します。これは、共有された定義の欠如、さまざまな関係チーム間でのビジネス ロジックの競合、古くなった抽出データがもとになっています。たとえば、1 日あたりのアクティブ ユーザーやパイプラインの成長といった指標について、チーム間で共通の理解がない場合、データ品質の問題が発生します。これは、不正確な分析と報告につながり、意思決定に悪影響を及ぼす可能性があります。

Looker のセマンティック モデリング レイヤは元データとユーザーの間に位置し、キュレートされたカタログ、事前定義されたビジネス指標、組み込みの変換を提供することで、エンドユーザーにとって複雑なデータを簡素化します。これは一種の辞書のようなもので、ユーザーが対話するための共通の語彙を提供するものだと考えてください。ガバナンス対象のデータを、すでに使い慣れているツールで直接エンドユーザーが利用できるようにすることで、組織全体で信頼できるデータにアクセス可能になり、データアクセスが民主化されます。

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分析の改善: Looker のセマンティック レイヤにより、標準化されたビジネス指標の定義とリアルタイムのデータアクセスが可能になり、場所や役割に関係なく、ユーザー間の整合性が促進されます。さらに、Looker に組み込まれたデータ変換により、データのクリーニングと拡充が合理化され、データ精度が向上し、最終的に分析情報が強化されます。この標準化により、データ サイエンティストやアナリストがデータのクリーニングや準備に時間を費やす必要がなくなり、スタートアップにとっては時間と費用、両方の節約になります。

堅牢なデータ セキュリティ フレームワーク: Looker では行レベル、列レベルのセキュリティ権限を構成できるため、全社的なガバナンス フレームワークの導入に役立ちます。行レベルの権限はデータの特定の行へのアクセスを制限し、列レベルのセキュリティはユーザーの権限に基づいてフィールドを非表示にしたり、マスクしたりします。

コラボレーションと使いやすさの向上: Looker の Git IDE サポートによるバージョン管理を使用して、さまざまなチームが共同で開発を行うことができ、ソフトウェア開発のベスト プラクティスをデータ分析の分野に導入できます。技術チームは LookML(Looker モデリング言語)を使用してデータモデルを作成し、ビジネス指標を定義します。一方、ビジネス ユーザーは複雑な SQL クエリを記述することなくダッシュボードを作成できます。

全体として、セマンティック モデリング レイヤは、データの品質、整合性、ガバナンス、セキュリティの向上を目指す企業に多くのメリットをもたらします。

Looker の Explore とダッシュボード: データを使った可視化

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Looker は、使いやすいドラッグ&ドロップ インターフェースを通じてデータをインタラクティブに可視化できる強力なビジネス インテリジェンス ツールです。複数のオプションを含む Looker の可視化レイヤを使用すると、データの探索、傾向の特定、他のユーザーとの分析情報の共有が可能になります。

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Looker の可視化レイヤを使用することで、カスタム ダッシュボード、レポート、Look を作成し、論理的かつ整合性が取れた、意義のある形でデータを効果的に整理して表示できます。

Look はビジネス ユーザーによって作成された単一のビジュアリゼーション / テーブルです。Look に加えられた変更は、その Look が含まれるすべてのダッシュボードに反映されます。これは、スタートアップがデータモデルやダッシュボードを簡単に更新して、変化する市場状況に迅速に適応できることを意味します。

ダッシュボードは、複数のグラフ、表、Look を 1 ページにまとめたもので、関連するデータや KPI を照合できます。ユーザーはこれらをカスタマイズして、最も関連性の高い分析情報が表示されるようにします。ダッシュボードは、Looker UI または LookML で作成できます。また、ダッシュボードをアプリケーションに埋め込み、顧客や社内チームが素早く高度なデータ分析を行えるようにすることもできます。Looker により、スタートアップはデータを統合してビジネスの状況を俯瞰することができ、データドリブンな意思決定が容易になります。

Looker の Explore 機能は、詳細なデータ探索を可能にします。その場でフィルタの適用、計算フィールドの作成、データの集約が可能なため、必要な分析情報に素早くコードなしでアクセスできます。

たとえば、1 日あたりの注文数を表示するには、[Order Items] Explore の [Orders] ビューから DIMENSIONS の [Created Date] と MEASURES の [Count] を選択します。

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Looker はデータに直接接続するため、最も詳細なレベルまでドリルダウンできます。別の例を見てみましょう。7 月のセーターの注文を詳しく調べるには、7 月のスタックのセーターのバーをクリックするだけで、ドリルメニューにアクセスできます。

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ダッシュボードにハイパーリンクやアクションを追加することもできます。link パラメータを使用すると dimension や measure にリンクを追加して、ユーザーが Looker から関連コンテンツに直接移動できるようにすることができます。action によりユーザーはダッシュボードやビジュアリゼーションを閲覧しながら、ボタンをクリックするだけでタスクを実行できます。たとえば、action はメールを送信したり、受信サーバー上でその他の構成可能なアクションを実行したりできます。

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Looker は、API ファーストのアプローチを採用した、クラウドネイティブで完全にブラウザベースの BI ツールです。ユーザーはデータを分析し、データに基づいてワークフローを自動化できます。YouTube 動画「Uncovering insights with Looker」をご覧いただき、Looker を使ってデータから分析情報を得る方法をご確認ください。

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ー カスタマー エンジニア Ruby Duong

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