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アプリケーション開発

Gemini を使用してアプリを構築できる Firebase Studio とエージェント デベロッパー ツールのご紹介

2025年5月2日
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Jeanine Banks

VP/GM, Developer X

※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

世界中の何百万もの開発者が Firebase を活用してユーザーとのエンゲージメントを高め、毎日 700 億を超えるアプリ インスタンスをあらゆる場所で動かしています。Firebase は、モバイル デバイスやウェブブラウザから、組み込みプラットフォームやエージェント エクスペリエンスに至るまで、幅広い環境で利用されています。しかし、フルスタック開発は急速に進化しており、生成 AI の台頭により、アプリの構築方法だけでなく、実現可能なアプリの種類そのものも大きく変わりました。そのため複雑さが増し、デベロッパーは多くの新しいテクノロジーに追いつくために、手動でそれらをつなぎ合わせなければならず、大きなプレッシャーにさらされています。一方で、あらゆる規模の企業が、AI アプリの開発サイクルをより効率化して質の高いソフトウェアを提供し、市場投入を早める方法を模索しています。

このたび、Google Cloud Next で、Firebase をエンドツーエンドのプラットフォームへと進化させ、アプリケーションのライフサイクル全体を加速する一連の新機能を発表しました。新しい Firebase Studio はすべてのユーザーが利用できるプレビュー版で、Gemini を活用したクラウドベースのエージェント開発環境です。本番環境品質の AI アプリをすばやく作成して公開するために必要な機能のすべてが 1 か所にまとめられています。Firebase プラットフォーム全体でさらにいくつかのアップデートが行われ、デベロッパーは Google Cloud で最新のデータドリブン アプリを活用できるようになります。これらの発表により、デベロッパーは複数のプラットフォームにわたって AI アプリケーションを構築するための新しい道を切り開くことができます。

Firebase Studio のご紹介

昨年、Google は、迅速かつ手軽に AI アプリを構築するために、Firebase の Gemini、Genkit、Project IDX(Code OSS のフォーク)など、多くの新しいサービスをリリースしました。Firebase Studio のリリースにより、これらの機能のすべてが Firebase サービスと Gemini のクリエイティブな力と融合し、新しいネイティブなエージェント エクスペリエンスが誕生しました。

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Firebase Studio でフルスタックの AI アプリを構築

新しいアプリでは、60 種類以上の事前構築済みテンプレートから選択するか、アプリのプロトタイピング エージェントを使用して開始します。自然言語、画像、図形描画ツール、スクリーンショットを使用して、UI、API スキーマ、AI フローなどのアプリの設計を支援します。プロトタイプを繰り返し改善し、準備ができたら Firebase App Hosting に直接デプロイしましょう。完全に機能するバージョンのプロトタイプの URL を共有して、フィードバックを得ることや、テストを実施することができます。使用状況や動作をひと目で確認し、Firebase コンソールに移動して詳細なモニタリングを行うことなどもできます。いつでもワンクリックで Firebase Studio のコーディング ワークスペース内のアプリを開けます。新たな設定は不要です。アプリでは、アーキテクチャを調整して、機能を拡張して本番環境へのデプロイに備えることができます。

コーディング ワークスペースでは、次のことも可能です。

  • コーディング ワークフローを簡素化: コードの記述と機能のテストは、すべて Firebase の Gemini のサポートを受けながら、各ステップごとに進めることができます。デバッグ、テスト、リファクタリング、コードの説明、ドキュメント化など、さまざまなタスクを簡単に実行できます。

  • 既存のアプリを強化: ローカルマシンや GitHub、GitLab、Bitbucket など、git ベースのリポジトリから既存のコードベースをインポートできます。好みの技術スタック用のカスタム テンプレートを作成してチームで共有できます。

  • フルスタック エクスペリエンスを作成: AI モデルの推論、エージェント、検索拡張生成(RAG)から、ユーザー エクスペリエンス、ビジネス ロジック、データベースまで、アプリのあらゆる側面をカスタマイズして進化させます。API やマイクロサービスなどのツールを簡単に公開し、AI アプリに統合できます。

  • 使い慣れたツールで作業: システムツール、拡張機能、環境変数などの特定の構成を持ち込み、ワークスペースをカスタマイズできます。Open VSX Registry から何千もの拡張機能にアクセスできます。

  • 柔軟なデプロイ オプション: Firebase バックエンド サービスや Google Cloud Run との組み込みのインテグレーションにより、クラウド上でアプリを実行するように設定できます。独自のカスタム インフラストラクチャにデプロイすることもできます。

Firebase Studio は現在、プレビュー期間中、3 つのワークスペースを無料でお使いいただけます。Google Developer Program のメンバーは、最大 30 のワークスペースを利用できます。ぜひ Firebase Studio をお試しください。

ワークフロー全体で AI エージェントを活用

Firebase Studio から Gemini Code Assist エージェントに早期アクセスすることもできます。たとえば、Firebase Studio で移行エージェントを呼び出して Java のバージョン間でコードを移行できます。また、AI テスト エージェントを使用して AI モデルに対して敵対的テストを実行し、有害な可能性のある出力を検出して修正できます。さらに、コード ドキュメント エージェントを呼び出してコードに関する wiki スタイルのナレッジベースでチャットし、新しいチームメンバーのオンボーディングを簡単に行うこともできます。

Google Developer Program から、Gemini Code Assist エージェントの順番待ちリストに今すぐご登録ください。

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Firebase Studio からアクセスできる AI テスト エージェント

Firebase App Distribution は、手動テストと自動テストを実行するための統合モバイルアプリ テストサービスです。Firebase App Distribution の新しいアプリのテスト エージェントは、アプリで実際のユーザー インタラクションをシミュレートできます。たとえば、「ギリシャへの旅行を検索する」という目標を設定したテストを作成します。アプリのテスト エージェントは Gemini を使用してその目標を達成するための計画を立て、仮想デバイスまたは物理デバイスで実行します。UI を操作してエージェントが選択したパスを可視化し、直感的な説明とともに詳細な結果(合格 / 不合格)を生成します。アプリのテスト エージェントは現在プレビュー版で提供されており、Android アプリで今すぐお試しいただけます。今年中には、さらに多くのプラットフォームに対応する予定です。

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Firebase App Distribution の新しいアプリのテスト エージェント

新しい AI アプリ エクスペリエンスを創出

最先端の AI 機能をアプリケーションに統合する際には、ベスト プラクティスや標準が不足していることが課題となります。そのため、Google は開発プロセスを効率化するための堅牢なフレームワーク、SDK、ツールに継続的に投資し、デベロッパーが真に魅力的で革新的なユーザー インタラクションの構築に専念できるよう支援しています。

Genkit の言語サポートの拡張

Genkit は、アプリの AI 機能の構築、テスト、モニタリングの複雑さを軽減します。構造化された出力、ツールの呼び出し、人間参加型インタラクション、検索拡張生成(RAG)、Model Context Protocol(MCP)、マルチモデル オーケストレーションをサポートする、パワフルなエージェント エクスペリエンスを開発します。このたび、Python の早期サポートと Go の拡張サポートを導入することで、お好みの言語でこれを簡単に実現できるようになりました。Vertex Model Garden から Gemini モデル、Imagen 3、Llama や Mistral などの追加モデルにアクセスできます。さらに、Ollama を使用したセルフホスト型モデルや、コミュニティ プラグインを通じたサードパーティ モデルのエコシステムも拡大しています。

Genkit を使用して構築するには、Firebase Studio でこちらのテンプレートをお試しください。

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Genkit は AI 搭載機能の構築を支援します

Vertex AI in Firebase による新しいモデル

Vertex AI in Firebase では、デベロッパーは効率的かつ安全な SDK を使用して、生成 AI をアプリケーションに統合できます。現在では、数千のアプリで使用されています。たとえば、食事計画とショッピング リスト管理アプリの Meal Planner、AI を活用した日記アシスタントの Life、オフライン ハイキング マップ プロバイダの HiiKER、クリエイター向けソーシャル メディア アプリの Waveful などです。3 月には、Gemini ファミリーのモデルに加えて Imagen 3 モデル(Imagen 3 と Imagen 3 Fast)のサポートが追加されました。これにより、Android、iOS、Flutter、ウェブ アプリケーションに画像生成機能を直接組み込むことができます。今回、Gemini モデルの Live API のサポートを追加しました。これにより、音声で質問して回答を得るといった、アプリでの会話型のインタラクションをさらに強化しました。

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Vertex AI in Firebase を介して Gemini モデルで使用できる Live API

最新のデータドリブン アプリを加速

Firebase Data Connect と Firebase App Hosting の一般提供も開始され、アプリのアーキテクチャとデプロイ プロセスをより細かく制御できるようになりました。

Firebase Data Connect で高度なアプリを構築

Firebase Data Connect は、Google Cloud SQL for PostgreSQL の堅牢な信頼性と、即時に利用可能な GraphQL API と型安全な SDK を提供します。複雑なユーザー関係を扱うソーシャル メディアのアプリ、大規模な商品カタログを扱う e コマース プラットフォーム、組み込みのベクトル検索によるパーソナライズされたおすすめ情報など、幅広いエクスペリエンスを構築できます。

Data Connect では、次のことが可能になります。

  • スキーマとクエリを簡単に生成: Firebase の Gemini を使用すると、Data Connect のスキーマ、クエリ、ミューテーション、クライアント SDK を自動的に生成し、バックエンドの開発の速度が大幅に向上します。

  • 拡張されたクエリ機能を活用: Data Connect は、ネイティブの集計サポートによりクエリ機能が強化され、深いデータ分析が可能になったほか、アトミック データ変更や、サーバー値式を使用したトランザクションにも対応し、複雑なオペレーション全体でデータの整合性を確保します。

ウェブ フレームワークで構築: ウェブ フレームワーク用の生成された型安全なフックとコンポーネントにより、緊密なインテグレーションと合理化されたデータ処理を実現し、動的でデータドリブンなアプリケーションを迅速に開発できます。

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Firebase Studio の Firebase Data Connect

Firebase App Hosting でデプロイ

Firebase App Hosting は、最新のフルスタック ウェブアプリ向けの、独自の git 中心のホスティング ソリューションです。App Hosting は、ビルドから CDN、サーバーサイド レンダリングに至るまで、アプリのスタック全体を管理することで、製品化までの時間を短縮します。GitHub に push するだけで、あとは App Hosting が自動的に処理を行います。App Hosting は、Cloud Build、Cloud Run、Cloud CDN などのエンタープライズ クラスの Google Cloud サービス上に構築されています。

このリリースの App Hosting では、次のことが可能になります。

  • ビルドのテストとトラブルシューティングを簡単に実行: App Hosting にローカル エミュレータが追加され、エラー メッセージが改善されたことで、ビルドの失敗を未然に防ぐことができ、トラブルシューティングが容易になりました。

  • 本番環境のインシデントから数秒で復旧: App Hosting の新しいモニタリング  ダッシュボードを使用してアプリのパフォーマンスと健全性を把握し、回帰を発見したらすぐに以前のバージョンにロールバックできます。

Virtual Private Cloud(VPC)に接続: パブリック IP アドレスではアクセスできない Google Cloud プロジェクト内のバックエンド サービス(Cloud Memorystore によるコンテンツのキャッシュ、Firebase 以外のデータベースからのアクセスなど)にアプリからアクセスできるようにします。

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Firebase App Hosting の新しいモニタリング ダッシュボード

アプリの構築方法だけでなく、ビルドできるアプリの種類も再考する準備をしましょう。これらのプロダクトの詳細については、Firebase に関するブログ記事をご覧ください。皆様が Firebase プラットフォームで作成したものを見れることを楽しみにしています。

-デベロッパー X 担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー、Jeanine Banks

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