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API 管理

API とエコシステム戦略によりデジタル変革を加速する方法

2020年9月23日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 9 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

イノベーションはほぼすべての企業で話題にのぼりますが、十分に議論されないことも多い関連トピックが共同イノベーションです。共同イノベーションとは、企業は組織の外部と提携することで多くの強力なビジネス イノベーションを解き放つことができる、という考え方のことです。

この戦術はデジタル エコシステム戦略とも呼ばれ、さまざまな参加者が共生によるメリットを求めてデータや機能などのデジタル アセットを共有します。エンタープライズ ワークフローとカスタマー エクスペリエンスは複数パーティのソフトウェアの豊富な組み合わせにますます依存するようになっています。そのため、エコシステム アプローチは、企業が内部機能を補完してイノベーションを促進するために必要なあらゆるデータと機能の組み立ての中心になります。

API を使用してエコシステムへの参加を促進する

API は最新のアプリケーションを構築、接続するための事実上の標準になっています。というのも、企業は標準化されたインターフェースを用意することで、バックエンドの複雑さが隠され、共有するデジタル アセットの使用方法を簡単に保護、モニタリング、管理できるようになるためです。ともすると、イノベーションは新しいものを発明することからではなく、既存の価値を新たな方法で活性化することから生まれます。API を使用すれば、社内デベロッパーがデータや機能に簡単にアクセスして再利用できるようになり、こうした価値の活性化を組織内で促進することが可能になります。そればかりか、企業のパートナーか独立した開発者かを問わず、外部のイノベーターに貴重なアセットを開放することで、イノベーションを促進することも可能になります。

Google Cloud が Oxford Economics の協力を得て 1,000 人の CIO を対象として実施した最近の調査では、API プラットフォームを使用している組織は、「デジタル イノベーションの面で競合他社よりもはるかに優れている」と自己評価する可能性が 11 倍も高いことがわかりました。また、API を導入した企業の CIO は、外部との関係によりアジリティ(42% 対 19%)、マーケット インテリジェンス(48% 対 25%)、自動化(53% 対 26%)、従業員の生産性(49% 対 33%)などの目標が推進されると回答する傾向が強いことが判明しました。

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新たなビジネスモデルを実現する

多くの Google Cloud のお客様が、イノベーションの取り組みを拡大し新しいビジネスモデルを開拓するエコシステム戦略の力を実証しています。

たとえば、インドネシアの Bank BRI は API を介して信用評価などの機能を有料サービスとして利用できるようにしました。これにより、インドネシアの都会から遠く離れた地域の多くに「支店を持たない」エージェントのデジタル ネットワークを開発することができました。こうしたアプローチは、Bank BRI のサービスを実店舗での銀行取引がほとんどない地域の新しいユーザーにまで拡大しただけでなく、5,000 万ドルの収益ももたらしました。また、Bank BRI は最近まで新しいパートナーのオンボーディングに 6 か月も必要としていましたが、API ファーストのアプローチにより、オンボーディングの所要時間がわずか 1 時間に短縮されました。

Pitney BowesAccuWeather は、自社製品のリーチとそれらに付随したイノベーションを拡大するために API を介して外部の関係者にさまざまなデジタル サービスを提供しており、Bank BRI と同様の戦略を追求している企業の例と言えるでしょう。
また、企業が COVID-19 に伴う混乱をうまく切り抜けるにつれ、これらの共同イノベーションの機会も増えています。

たとえば、2020 年前半に多数の航空機が運航停止となり、旅客便がキャンセルされると、多くの航空会社は医療用品の配送などの救援活動の支援に事業の方向性を転換しました。航空業界の多くの企業が使用するシステムは、こうした新しい貨物流通のユースケースに対応できるように構築されていなかったため、エコシステム戦略が、時間が何よりも大事な状況下で、足りない部分を埋める手段を提供しました。

CHAMP Cargosystems は支援に参加する準備ができているエコシステム パートナーの 1 つでした。セルフサービス ポータルを通じて、同社は貨物スポットなどのさまざまな API をサードパーティに提供し、荷物の送付、追跡、モニタリングに加え、関連請求、顧客、セキュリティ コンプライアンス プロセスを処理する機能を公開しています。

CHAMP の顧客にとって、コロナ禍による混乱を切り抜けるためにも、国際配送や国際輸送の煩雑な日常業務を日々遂行してくためにも、使いやすいソフトウェア エコシステムに接続できることはきわめて重要です。

連携のメリット

顧客の行動や好みがこれほど急激に変化しているときに、魅力的なデジタル エクスペリエンスを構築したり、高度なオンライン戦略を実施したりするために必要なあらゆるテクノロジーを社内の IT 部門だけで生み出すことができる企業はほとんどありません。エコシステム戦略を利用すれば、大部分をパートナーに任せて得意分野に注力することで、自社の強みを新しい市場や新しいユースケースに応用することが可能になります。

たとえば、小売業者にとって、音声インターフェース、個人に特化したおすすめ情報、カスタマー サービスのチャットボットなどの関連機能も含めた機械学習関連の能力を、顧客に求められる速さで自社開発するというのは難しい課題です。同様に、最先端の機械学習ソリューションを開発している企業は、小売に関する専門知識がすべて揃っているわけではありません。この分野にまでサービスを拡大するには、外部の共同イノベーターが必要です。収益を上げるイノベーションは、小売業者と AI の双方が参加するソフトウェア エコシステムの相乗効果から生まれます。

最新のデジタル ワークフローとエクスペリエンスを実現するには、大半の企業の内部機能では賄えない豊富なソフトウェア スタックを用意し、従来のテクノロジー パートナーシップが対応できるよりも速く進化する必要があるという認識が生まれていることで、エコシステム戦略が台頭してきているという点に注目する必要があります。イノベーションを起こして、変化する顧客のニーズに対応するというプレッシャーは常に強く、特に混乱の時期にはさらに強くなります。しかし、貴重なデータと機能を外部ユーザーが利用できるようにし、他のエコシステム参加者による同様のサービスを活用することで、企業はこうした負担を単独ですべて背負い込む必要がなくなります。API とクラウド テクノロジーにより、これらのエコシステムはこれまで以上にアクセスしやすく強力になりました。Google Cloud のお客様が、こうした戦略に取り組むなかで新たな経営手法を開拓されるのを楽しみにしています。

Google Cloud を使用した API 管理について詳しくは、ウェブサイトをご覧ください。

-Google Cloud プロダクト管理ディレクター Bala Kasiviswanathan

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