API を活用したデジタル エコシステムでイノベーションと効率性を促進する方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 7 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
世界各国では、企業は新しい顧客需要を満たし、生産性を向上させるように現在の運用モデルを変革して、市場の新しい状況に適応しようとしています。そのうえで引き続き、成長を遂げることに注力しています。このような新時代において、デジタル ビジネス エコシステムに対してアウトサイドインのアプローチを取ることは、組織が既存のリソースと関係を利用し、新しいイノベーションと効率性を促進するための手がかりとなり得ます。
最近、Google Cloud は Oxford Economics と協同して、世界中のさまざまな業界の大企業(事業利益 20 億ドル以上)に所属する最高情報責任者(CIO)1,000 人にアンケートを実施し、各社のデジタル ビジネス エコシステム戦略と、エコシステム内で関係を築くことで得られるメリットについて調査しました。以下に本調査の詳細をご紹介します。すべての調査結果を見る場合はこちらをクリックしてください。
デジタル ビジネス エコシステムとは
デジタル ビジネス エコシステムには、最新のクラウド ファーストのテクノロジーによって促進された、パートナー、開発者、顧客のネットワークが含まれます。このエコシステムは、完全に内部関係者(組織内の開発者など)だけで構成することも、サプライヤー、サードパーティ プロバイダ、顧客、開発者、規制機関や、もっと言えば競合他社といった、外部の個人や組織を含めて広げることもできます。ユーザー主導のネットワーク効果と同様に、デジタル エコシステムはビジネス主導のネットワーク効果です。デジタル エコシステムがビジネスにもたらす直接的な結果
デジタル ビジネス エコシステムのリーダー、つまり、パートナーシップの構築において同業他社の先を行く企業の CIO の一部は、このアプローチによって以下の直接的なメリットがあったと述べています。
高い顧客満足度。リーダーの 96% は自社ブランドが同業他社より認知されていると答えました(リーダー以外は 41%)。
高い収益増加率。リーダーが回答した過去 3 年間の平均年間収益増加率は 6.7% でした(リーダー以外は 4.9%)。
サプライ チェーンの柔軟性、規制要件に対応するための準備、市場状況の把握という観点で優れたパフォーマンス
調査からわかったことは、より緊密に統合されたデジタル エコシステムを持つ CIO の半数以上(52%)は、そこから得られる関係によってイノベーションが大幅に向上したと回答したのに対し、通常の関係しか持たない CIO は、そのようなイノベーションの加速を目にすることがはるかに少ないようでした。
デジタル エコシステムの構築に不可欠な API
デジタル ビジネス エコシステムは、サプライ チェーンや労働力などの複雑な業務を特徴とするビジネス環境にうまく対応するために不可欠です。CIO の約半数は、過去 3 年間で緊密な業務提携の数が増加していると報告しており、約 3 分の 2(63%)は、今後 3 年間でその数が増加すると予測しています。
緊密で統合されたデジタル ビジネス エコシステムを構築するには、デジタルツールとプロセスが不可欠です。その中でも API は特に重要であり、51% の CIO が、パートナーシップとエコシステムを生産的で価値のあるものにするために API が重要、または非常に重要であると述べています。組織と開発者との関係に API が重要であると答えた CIO は 55%、顧客との関係に重要であると答えた CIO は 51% で、半数以上の CIO が両者と組織との関係に API が重要だと考えています。
調査結果によると、デジタル ビジネス エコシステムのリーダーは、それ以外の CIO と比べて、API ゲートウェイを使用(リーダー 63%、その他 35%)したり、一元化された API 管理プラットフォームを導入(リーダー 34%、その他 22%)したりする傾向が強いことがわかりました。そして大半のリーダーは、3 年以内に中央管理プラットフォームを導入する予定であるとのことでした(リーダー 82%、その他 41%)。このことは、これらのリーダーたちがデータ共有などの他の分野でも先駆的である理由を説明する手がかりとなるでしょう。
API 管理によるエコシステム戦略の強化
Google Cloud の Apigee API 管理プラットフォームは、API をライフサイクル全体にわたって管理するための統一手段となり、緊密で統合されたビジネス パートナーシップの開拓や開発者コミュニティの構築に必要となるデジタルツールをエンタープライズに提供します。
Apigee は、API を使用してビジネスクリティカルな資産をパッケージ化して製品化し、開発者やパートナーに安全に公開するための幅広い機能を提供します。エンタープライズ レベルの規模やセキュリティに加え、Apigee の AI を活用したデータと分析の機能により、API プロバイダは API の分析とモニタリングを行うことができます。また、Apigee は高性能な API 収益化機能も提供するため、ビジネスは新しい市場や収益源を獲得できます。世界各国の大企業数社は、Apigee を使用してデジタル エコシステム戦略を強化し、デジタル変革への取り組みを加速させています。
以下に数例をご紹介します。
Magalu はブラジルに拠点を置く 45 億ドル規模の小売業者です。同社は Apigee を使用して幅広い範囲のパートナーおよびサプライヤーとデジタル関係を築き、実店舗による主要事業をオンライン マーケットプレイス ビジネスへと迅速に拡大しました。2018 年には、e コマースでの売り上げが前年比成長率 60% を記録し、3,300 以上のベンダーと 430 万 SKU(2016 年は 50,000 SKU)を支えています。
Bank BRI は、インドネシア有数の銀行です。同行は信用評価、ビジネス評価、リスク管理を必要とする 70 を超えるエコシステムのパートナー向けに、収益化したオープン API を 50 個以上用意した API プロダクトのマーケットプレイスを作成することで、Apigee で 5,000 万ドル以上の新規収益を上げました。質の高い信用評価や不正行為の検出を自社で行うための人材や財源のないフィンテック企業、保険会社、金融機関は、Bank BRI とパートナー関係を結んでいます。
Nationwide Insurance は Fortune 100 に名を連ねる企業で、米国有数の保険金融サービス企業です。同社は API エコシステムの一員として、ペット保険の情報集約サイトに迅速に見積もりを提供する機会があることに気付き、このニーズに対応する API プロダクトを開発しました。さまざまなペット保険の情報集約サイトによって生成される見積もり件数には、すぐに大幅な増加が見られました。情報集約サイトでない企業からつながりを得られたことで、見積もりと購入機会のファネルを大幅に拡大できたのは予想外でした。
AccuWeather は、世界的大手の気象情報メディア兼ビッグデータ企業です。同社は Apigee と自社の開発ポータル機能を活用して、開発者とビジネス パートナーの幅広いエコシステムを構築しています。同社の気象 API を使用して、世界各地の 70,000 を超える登録開発者が 30,000 以上のアプリを作成しています。また、Land Rover、Sony、Bosch、LG、Samsung といった多数の企業にもビジネス パートナーシップを拡大しています。
ドイツの家電量販店 Conrad は、Apigee を活用した API を使用することで、運送業者からの追跡情報といったデータを外部ソースからインポートしています。また、B2B の顧客の調達システムを Conrad Electronic の製品カタログに直接接続し、迅速かつ統合された小売体験を提供することにも Apigee が一役買っています。開発者は Apigee を使用して、店頭スタッフや来店客に主要商品、サービス、保証に関する情報を店頭のデバイスやタブレットから直接提供する、使いやすいツールを開発しました。現在では、店舗を訪れた顧客の 60% 以上がこのツールを使用した接客を受けています。
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- Google Cloud プロダクト管理責任者 Bala Kasiviswanathan