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AI & 機械学習

生成 AI を企業の実体にグラウンディングする

2024年4月17日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2024 年 4 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

生成 AI は、世界中の組織のユーザーを驚かせ続けています。このテクノロジーは、ワークショップのアイデアやクリエイティブなキャンペーンを考えるマーケティング担当者、コーディングのアドバイスが必要なデベロッパー、市場調査に携わるアナリストなどを支援し、情報を統合する能力と、質問に対する回答を生成する機能でユーザーを魅了してきました。

しかし、生成 AI の登場に課題がないわけではありません。

生成 AI を支える基盤モデルは、トレーニング中に膨大な「世界の知識」を得て成長しますが、その最新性はトレーニング データと同程度にすぎず、企業のユースケースに関連するすべてのデータソースにはアクセスできていない可能性があります。企業が生成 AI をフルスピードで導入するには、基盤モデルの回答を企業のシステムと最新のデータにグラウンディングし、その回答の正確さと完全性を保証する必要があります。

たとえば、ERP システムに基盤モデルの回答をグラウンディングすることで、正確な出荷予測を提供する AI エージェントを作成でき、また、ドキュメントやマニュアルをグラウンディングすることで、製品に関する質問やトラブルシューティングに対してより有用な回答を提供できます。

同様に、アナリストのレポートや調査結果をグラウンディングすることで調査を加速させる、基盤モデルを契約に結び付けることでコンプライアンスを強化する、エージェントを社内文書、ナレッジベース、人事システムに根付かせることで従業員のトレーニングやオンボーディングを改善するといったことが可能になります。

基本的に、企業が基盤モデルを自社データに簡単にグラウンディングできるほど、そのユースケースはパワフルになります。

Google Cloud では、これを「企業の実体」と呼んでおり、その実は、基盤モデルをウェブ情報(データベースやデータ ウェアハウスなどのエンタープライズ データ、ERP CRM、人事システムなどの企業アプリケーション、その他の関連する情報源)にグラウンディングするアプローチです。企業の実体にグラウンディングすることで、回答の完全性と精度が大幅に向上し、ビジネス全体にわたる独自のユースケースの実現が可能になり、次世代の AI エージェントの基盤が築かれます。

以下に、その仕組みをご紹介します。

生成 AI Google 検索とエンタープライズ データにグラウンディングする

生成 AI モデルは、最も可能性の高い回答を返しますが、これは事実を引用できることと同じではありません。そのため Google は、各組織がユースケースに関連する事実に基盤モデルを確実にグラウンディングできるように、さまざまな方法を構築し、現在も構築し続けています。

Google 検索は、事実と最新の情報を提供する世界最高レベルの信頼性を誇る情報源の一つです。Google 検索とのグラウンディングにより、新鮮で高品質な情報へのモデルのアクセスが拡張および強化され、回答の完全性と精度が大幅に向上します。

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このたび、Vertex AI における Google 検索とのグラウンディングのプレビュー版をリリースしたことをお知らせいたします。Gemini モデルは Google 検索とグラウンディングすることで強化され、その強化されたモデルを AI エージェントに簡単に統合できるようになります。

エンタープライズ データに関しては、検索拡張生成(RAG)を活用することで、企業がエンタープライズ データソースにモデル レスポンスをグラウンディングするための複数の方法を提供します。RAG は、ベクトルとエンべディングを使用して関連するデータソースから事実を収集することにより、モデル出力の精度を向上させます。

Vertex AI には、Google 品質のすぐに使用できる RAG ソリューションだけでなく、オーダーメイドの検索、ランキング、ドキュメント処理システムを構築するためのさまざまなコンポーネント API も含まれており、企業は基盤モデルを独自のデータに簡単にグラウンディングできます。

Vertex AI は、エンベディング ベースの情報検索を必要とする組織に高度なベクトル検索機能を提供します。今回は、ベクトル検索を強化するために、ハイブリッド検索機能のプレビュー版をリリースしたこともお知らせいたします。これは、ベクトルベースとキーワード ベースの検索手法を統合し、ユーザーに適切かつ正確な回答を保証するものです。

これらに加え、顧客はモデルを AlloyDB のような Google データベース BigQuery に接続することで、運用データをコンテキストに応じて取得したり、購入嗜好、特典、バスケット分析、サポート履歴などを分析したりできます。アクションとトランザクションを可能にするために、エンタープライズ アプリケーション(WorkdaySalesforceServiceNowHadoopConfluenceJIRA など)にモデルを接続できるようにするデータコネクタのホストを提供します。これにより、顧客とのやり取りに関する最新データや、問題追跡、プログラム管理、従業員記録などの社内のナレッジベースにアクセスできます。

グラウンディングのための包括的なアプローチによって、ウェブ検索、エンタープライズ データ、サードパーティのエンタープライズ アプリケーションをカバーするため、企業は、モデルがホストされている場所を問わず、企業の実体を確実に提供できます。

信頼できる情報源が増えることでより多くの価値が生み出される

グラウンディングによって組織がどのように企業の実体の情報源を統合し、より有用な AI エージェントを作成できるのか、例を見ていきましょう。

あるスポーツ ブランドが、靴の検索と購入を支援する AI エージェントの作成を検討しているとします。

基盤モデル API の上にインターフェースを配置するだけなら、大きな成果を得られないでしょう。出来上がったアプリは、トレーニングで得られた靴の知識に基づいて、一般的なやり取りを行うことはできるでしょうが、そのブランドの靴についての特別な専門知識や、トレーニングの終了後に生まれた新しい靴のトレンドについての認識は有していません。

Google 検索でグラウンディングすることで、このスポーツ ブランドのアプリはより機能的になり、最新の情報をウェブで検索できるようになります。しかし、商品情報、在庫レベル、製造スケジュールなどのブランドの内部データのインサイトは得られません。また、トランザクションのために関数を呼び出すこともできません。そのため、このスポーツ ブランドは基本的でかなり限定的なエージェントを扱うことになります。

この壁を超えるためには、RAG メカニズムを介して自社の生成 AI モデルをエンタープライズ データソースに接続することも必要です。これにより、エージェントは社内文書やデータベースの具体性と事実に基づくアドバイスを得ることができます。

このエージェントが、前述の検索、データベース、分析の全領域にアクセスでき、より高度かつプロアクティブに靴を推奨する姿を想像してみてください。顧客が最近購入した靴にはすべて緑色の縞模様があるといったパターンをエージェントはモニタリングできるのです。また、板張りの床で音が鳴るのが嫌いだと言っていた以前のチャットを思い出し、顧客のレビューを見直して、音が鳴る靴をおすすめから除外することもできます。さらに、顧客がより簡単にオプションを比較できるように、その場でテーブルを生成し、最新の在庫と出荷の情報を把握して、トランザクションの実行を支援できます。企業の実体を正しくグラウンディングすることで、エージェントの創造できる価値は無限に広がります。

企業の実体: 企業全体の生成 AI イノベーションを促進

生成 AI の導入は、単に有能なモデルへのアクセスを意味するものではありません。それは、基盤モデルをファーストパーティ データと高品質の外部ソースにグラウンディングすることでもあり、さらには、これらの接続を使用してモデルの動作を制御し、企業にとってより正確で関連性が高く、事実に基づいた生成 AI エクスペリエンスを作成して、顧客、パートナー、従業員に提供することでもあります。

高品質で関連性の高いデータにアクセスすることで、モデルは従来の受動的なアプリケーションを超えるエクスペリエンスを提供でき、企業の実体に基づいた次世代の AI エージェントを生み出すことができます。これこそが、私たちが急速に歩みを進めている未来です。Google は、お客様とともに進めるこの取り組みに支えられ、昨今のエージェントの成果を、事実に基づき、関連性があり、実用的なものにするお手伝いができることを嬉しく思っています。

Next における Google Cloud AI に関するニュースについては、Vertex AI Agent Builder のお知らせをご覧ください。

ー Google Cloud、Cloud AI および業界別ソリューション担当、バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Burak Gokturk

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