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AI & 機械学習

Contact Center AI でカスタマー エクスペリエンスを変える: 振り返りと展望

2023年1月24日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Google のチームは日々、あらゆる業界、地域、事業規模のコンタクト センターの経営者やカスタマー エクスペリエンス(CX)の責任者とお会いしています。その会話を振り返ると、2022 年はコールセンターにとってリスクの高かった年であり、すべてのお客様が次の 3 つの主要な課題を抱えていたことがわかります。そして、それは 2023 年も続くことが明らかです。

  • 多くの組織が、マクロ経済の変化に対応するために、コールセンター事業を急速に拡大しなければならないというプレッシャーを感じています。コンタクト センターは不確実な状況下で、これまで以上に費用対効果を高め、ビジネスの収益を上げる方法を模索する必要に迫られています。

  • エンドユーザーは、CX についてますます多くのことを要求し寛容ではなくなってきています。ユーザーには選択権があり、ブランドがニーズを満たす優れたサービスを提供することを期待しています。顧客が好む方法で顧客とつながることは、優れた CX の重要な構成要素の一つです。顧客はサポートを利用するために、複雑なプロセスや役に立たない自動転送システムを経由することなく、好みのチャネルで迅速かつ簡単にサービスを受けられるべきです。消費者はブランドとより親密につながる方法を求めており、会話型 AI はその重要な交流媒体を作り出すことができます。

  • 組織は、AI がこれらの課題の解決に役立つことを理解しています。しかし、多くのビジネス リーダーは、どのように AI を活用すれば課題を解決できるのかわからないままです。市場に出回るソリューションは増えていますが、その多くは、費用のかかる複雑な統合要件がある、予測不可能な結果になる、満足のいく結果にならないなど、ニーズに応えることができていません。

このような課題や機会にお客様がうまく対処できるよう支援することは、Google の昨年の最優先事項の一つであり、今後も引き続き重要な課題として取り組んでいきます。このブログ投稿では、2023 年に向けて、昨年の Contact Center AI(CCAI)のニュースを振り返ります。

振り返る: 2022 年が Contact Center AI にとって重要な年であった理由

2022 年、Google は、ユーザー ファースト、AI ファースト、クラウド ファーストである包括的なエンドツーエンドのコンタクト センター ソリューション スイートを追加して CCAI を拡大するなど、戦略的投資を増やしました。ユーザー ファースト、AI ファースト、クラウド ファーストで設計された最新のターンキー ソリューションを提供する CCAI プロダクト スイートの一部として、Contact Center as a Service(CCaaS)であるコンタクト センター AI プラットフォームをリリースしました。Google Cloud Next ‘22 では、以下のブレイクアウト セッションをはじめ、組織が CCAI を使用してカスタマー エクスペリエンスを改善する方法について、多くの素晴らしいコンテンツを共有しました

また、Wells FargoTIAA などのお客様がどのように CCAI を活用して顧客により良いサービスを提供しているかを伺う機会もありました。CDW とは「Provide Better Customer Experiences」、Quantiphi とは「Elevate Banking Experience with Google Cloud Contact Center AI Platform(CCAIP)」というウェブセミナーを共同で行いました。つい最近、Google Cloud のお客様である Segra が同社の成功事例を共有してくれました。

このようなお客様との交流を通じて、2023 年に向けて 3 つの重要な優先事項が浮かび上がってきました。それは、カスタマー エクスペリエンスの向上、新しい自動化を推進するための新しい形の AI の導入、価値創出までの時間の短縮です。

展望: CX の向上、新しい形の AI の統合、価値創出までの時間の短縮

1. ユーザー ファースト: カスタマー エクスペリエンスを向上させて顧客のニーズを満たす。

前述のように、ユーザーは自分が置かれている状況で、自身の条件と期待に応えてくれることをブランドに期待しています。ブランドがその期待に応えるためには、消費者向けのモバイルアプリやウェブアプリで利用されているユーザー中心型の最新のテクノロジーやサービスのベスト プラクティスを統合し、導入する必要があります。エンタープライズ B2C は、多くの場合劣っている、異なるユーザー エクスペリエンスのパラレルワールドに存在することはもうできないのです。Google は、このような消費者エクスペリエンスの構築において 20 年以上の経験を持ち、複数のプロダクトで何十億人ものユーザーへのサービス提供を成功させています。Google の消費者向けプロダクトの機能やリサーチチームの経験をクラウドサービスに生かすことは、2022 年のプロダクト提供における重要な要素であり、2023 年の主要投資の大部分を占めています。また、CX のユーザー ジャーニーの大半は、Google 検索や YouTube でのクエリから始まっています。そのため、コンタクト センターに直接問い合わせる前であっても、その時点でユーザーとつながることは、ブランドにとっては費用削減、ユーザーにとっては即時の価値提供につながり、双方に利益をもたらします。Google はユーザーに焦点を当てることで、優れた統合オムニチャネル エクスペリエンスを作り出しました。

2. AI ファーストとクラウド ファースト: コンタクト センターの質の高い成長は、最新の Cloud および AI ソリューションに変革できるかどうかにかかっている。

コンタクト センターを進化させるには、コストセンターから収益創出サービスへの変革が必要です。そのためには、最新の Cloud および AI ソリューションが必要です。コンタクト センターのあらゆる部分で発生する会話のデータは、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。プライバシー、セキュリティ、スケーラビリティを備えているクラウドは、チャネル間でのパーソナライズされた CX を可能にし、重要なオムニチャネル エクスペリエンスを実現します。McKinsey の調査によると、次のことが判明しています。「クロスチャネルの統合と移行の問題は、依然として進展の妨げになっています。たとえば、アンケート回答者の 77% は『組織でデジタル プラットフォームを構築済みである』と答えていますが、『デジタル プラットフォームが完全にスケールされ、顧客に採用されている』と答えているのは 10% にすぎません。また、デジタル プラットフォームが高度に統合されているのはわずか 12% で、ほとんどの組織では、完全に自動化されているデジタル コンタクトは 20% しかありません」。従来の電話通信テクノロジーはコモディティ化し、これまで以上に複雑なルールベースのシステムについていくことが難しくなっています。実用的な AI およびクラウド テクノロジーのリーダーたちは、次世代 CX ソリューションへの飛躍の必要性を理解しているブランドの新しいパートナーとして歩み出しています。  

3. 予測可能かつ測定可能な価値で将来を見据えた投資を行いながら、価値創出までの時間を短縮する。

コンタクト センター ソリューションにとって、実装時の先行投資を抑え、価値創出までの時間を短縮することが課題となっています。Cloud と AI をスケールすることで、高度な会話型 AI をより迅速に提供して、この課題に対処できます。3 つの例を見てみましょう。

  • すぐに利用可能(OOTB)な統合トランスクリプション、チャットと音声の要約、トピック モデリング - すべてのチャットと通話でエージェントの対応時間を短縮し、品質管理、コンタクト センターの最適化と自動化、エージェントとユーザーのチャーンの予測、ビジネス インサイト、収益機会に使用できる有益な分析情報を提供することで、お客様の費用を削減します。

  • 情報探索バーチャル エージェントと、AI ベースのチャットおよび音声通話による進行 - 順番待ちや間違ったエージェントへのルーティングを大幅に減らし、総対応時間を自動的に短縮することで、費用を削減しながら、高い顧客満足度を大規模に実現します。

  • 完全自動化までの時間を短縮 - 会話のモデリング、価値創出までの時間を短縮してより予測可能な結果を得るための事前構築済みコンポーネントと API、指標ドリブンな ML 開発および QA ツールとハンドブックの複雑さを軽減します。

これらの新機能により、お客様は CCAI を実装してすぐに効果を目にすることができます。ぜひご活用になり、目標をより早く達成してください。

以上、CCAI の概要と 2022 年の進捗、2023 年の展望を簡単にご紹介しました。詳細については、ドキュメントまたは CCAI ソリューションのページをご覧ください。


- Google Cloud AI および業種別ソリューション、プロダクト マネジメント担当ディレクター Yariv Adan
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