黒人歴史月間: Google Cloud での黒人創業者の成功を祝して: Zirtue

※この投稿は米国時間 2021 年 2 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

2 月は黒人歴史月間です。これは、アフリカ系の偉人と歴史を称え、振り返るために集う期間です。今後 4 週間にわたり、黒人主導のスタートアップ 4 社と、Google Cloud を使用してビジネスを成長させる方法を取り上げていきます。第 2 回は、Zirtue とその創業者である Dennis Cail 氏です。Google Cloud の使いやすいツールやサービスを使用することでどのように革新を迅速に進められたのかについて、同氏に具体的に語っていただきました。

皆様の多くは、お金を貸した親族や友人に返済を求める気まずさを経験したことがあるでしょう。私たちは皆、愛する人たちを支えたいと思っていると同時に、お金が適切な目的に使われ、約束どおりに返済されることを望んでいます。友人や家族の間での貸付手続きを正式化できる、威嚇的でないシンプルな方法を提供するため、私はスタートアップの Zirtue を創業しました。

略奪的貸付 - 低所得者コミュニティと軍人が標的に

ルイジアナ州モンローの低所得者向け住宅で育った私は、略奪的な貸付慣行を自分のコミュニティで直接目にしてきました。小切手換金機関の利息は小切手の 20% ですが、一部の給料担保金融業者の利息は最大 400% にもなります。個人的な話になりますが、私も兵役後に略奪的な貸付業者の標的になったことがあります。貸付業者は軍事基地の隣に店を構え、短期貸付金に対し最大 300% の利息を請求していました。最近の軍人貸付法（Military Lending Act）では、こうした状況を緩和するために利率の上限が 36% に設定されました。これは幸先のよいことですが、軍人だけでなく、略奪的貸付の対象になっている他の人たち（有色人種など）も支援するためにできることはまだあります。そもそも低所得者コミュニティにはリソースが少ないというのに、貸付機関はその最低限の収入の一部を奪っています。

Zirtue の目標は、こうしたコミュニティを支援し、従来の強引な貸付慣行に代わる方法を提供することです。私たちは 1 回限りの支援ではなく、人々に手を差し伸べて成功を継続できるようにすることを目指しています。

Zirtue - 公正かつ平等な貸付方法

Zirtue は関係性ベースの融資アプリケーションで、自動決済ネットワーク（ACH）を通じた貸付金の支払いにより、友人、家族、信頼のおける関係間での貸し付けを簡素化します。すべての処理はアプリを通じて行われます。貸し手は支払い条件を設定し、友人や家族から貸し付けのリクエストを受信します。借り手は資金を受け取り、貸し手は簡単に支払いを追跡することができます。また、このアプリは借り手に合意した条件を守るように通知し、返済を促します。そのため、気まずい催促電話をかけたりテキスト メッセージを送信したりする必要がありません。

現在、Zirtue アカウントを設定するには双方に銀行口座が必要です。ところが、ターゲット市場の約 25% は銀行口座を持たない人たちなので、貸し付けを利用できません。そこで、今年の夏に Zirtue のバンキング カードの提供を開始することにしました。これによりお客様は銀行口座ではなく、カードに取引を関連付けられるようになります。資金は自動的にカードに取り込まれ、給与の口座振込や、商品やサービスの支払い方法として使用できます。カードを使用すると、ユーザーは将来的に他の銀行サービスに移行しやすくなります。Zirtue の良好なパフォーマンス指標は信用履歴に代わるものとして、銀行が信頼を持って追加サービスを提供するために必要なデータを提供します。それは最終的に、略奪的貸付の悪循環を断ち切る手助けとなります。Rise of the Rest Pitch Competition の一環として最近実施された Morgan Stanley からの 25 万ドルの資金注入や、Revolution Fund からの 25 万ドルの注入が、この大きな目標の達成を後押ししてくれています。

大義のための Google Cloud テクノロジー - 信頼とセキュリティの構築

最近の金融取引はほぼ完全にオンラインで行われているため、Zirtue はアプリを日々動作させるために reCAPTCHA などの Google Cloud テクノロジーを利用しています。機密性の高い財務情報を扱っているため、セキュリティは最優先事項です。銀行レベルの暗号化（AES-256）、トークン化、ハッシュ化（SHA-512）、アプリケーション全体での 2 要素認証の使用など、アプリケーションとユーザーデータの整合性の保護に関して非常に予防的な対策を講じています。さらに、Google Cloud はセキュリティを強化するため保存時と転送中のデータを暗号化してくれます。

お客様は迅速な送金と入金を求めているため、サービスの中断を最小限に抑えることが重要です。Firebase Crashlytics が提供するリアルタイムのクラッシュ レポートは、アプリ内の問題の迅速なトラブルシューティングを可能します。また、現在 Zirtue は前月比 45% の成長を遂げているため、AI / ML モデルをトレーニングして構築するためのデータには事欠きません。私たちは Cloud AutoML を利用して、Zirtue で動画を使ってローン申請書に記入する借り手から取得した豊富なデータで ML モデルをトレーニングしています。動画の音声を Speech-to-Text API で文字に変換し、そのデータで ML モデルをトレーニングして、よりシームレスなユーザー エクスペリエンスを提供しています。この仕組みを Translation API を介したアクセシビリティ機能としても活用して、お客様がお申し込み手続き全体を通して選択した言語で話せるようにしています。

Google for Startups: Black Founder Fund

次に苦心したのは、Zirtue を次の段階にレベルアップすることでした。アプリのフロントエンドをハードコードし、バックエンドをアウトソーシングするには、24 時間年中無休でチーム全員が総力を挙げて取り組む必要がありました。

Google for Startups: Black Founders Fund からの 10 万ドルの非希薄化資金は Zirtue にとって非常に重要でしたが、AutoML や Google Cloud チームの対象分野やプロダクトのエキスパートから協力を得られたことは何物にも代えられません。マーケティング、SEO、エンジニアリングに関する指導と、テクノロジーとそれを実装するエキスパートの力が組み合わさることで、約束どおりのプロダクトを実現し、お客様により大きな変化をもたらすことができました（特に Chandni Sharma 氏と Daniel Navarro 氏に感謝いたします）。

これまで容赦なく略奪的な貸付慣行の標的にされてきた方々を支援できて光栄です。また、この支援を通して、創業者として成功することの意味をとらえ直すことができうれしく思います。Black Founders Fund は、私たちの努力でさらに多くの人たちにリーチし、黒人創業者が今後現れるための準備ができることを意味します。Google の継続的なサポートにより、金融テクノロジー業界やスタートアップの状況は、まったく違うものになるでしょう。

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-Zirtue 共同創業者兼 CEO、Dennis Cail