Dialogflow CX の 6 つの新機能
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 8 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
本日、Dialogflow CX の 6 つの新機能の公開プレビューを発表いたします。大規模企業向けの chatbot 仮想エージェントとして Dialogflow CX がさらに使いやすくなりました。
これらの機能により、お客様はエンドユーザーの会話エクスペリエンスを改善し、セキュリティとデプロイをより適切に管理できるようになります。今回のリリースには、bot 構築エクスペリエンスをより効率的にするためのコンソールの改善と組み込みのサポートも含まれています。
以下にいくつかの新機能を紹介します。
部分レスポンスのストリーミング
Webhook ターゲットへのプライベート ネットワーク アクセス
コンソールでの検索
システム関数のサポート
継続的なテストとデプロイ
変更履歴の変更差分
部分レスポンスのストリーミング
これまで、Dialogflow CX は、エージェントのターンが終了(Webhook の実行を含む)してはじめて、エンドユーザーにレスポンスを順番に送信できました。お客様によっては、Webhook が実行されるまでに 10~15 秒かかることもあります。その間、bot はメッセージを発しなくなり、エンドユーザーは待機したままになります(おそらく疑問に思うでしょう)。
部分レスポンスのストリーミング機能を使用することで、Webhook が長時間実行される可能性がある場合に、フルフィルメントに静的レスポンスを追加し、ストリーミング API を使用する際に部分レスポンスを有効にできるようになりました。このように、Dialogflow Streaming API は、Webhook の実行中に部分的な bot レスポンスをユーザーに送信し、そうした状況で「ユーザーが感じる」レイテンシを改善します。
部分レスポンスがない会話の例:
部分レスポンスがある会話の例:
部分レスポンスを有効にするには、以下に示すように、Dialogflow CX UI の [Fulfillment] セクションの下にある切り替えボタンを使用します。
Webhook ターゲットへのプライベート ネットワーク アクセス
Dialogflow は、Service Directory プライベート ネットワーク アクセスと統合され、お客様の VPC ネットワーク内にある Webhook ターゲットに接続できるようになりました。これにより、トラフィックが Google Cloud ネットワーク内に保持され、エンタープライズ セキュリティのために IAM および VPC Service Controls が適用されます。
この設定方法の詳細については、Dialogflow CX のドキュメントをご覧ください。
細部まで行き届いた検索機能
何百ものインテント、何千ものトレーニング フレーズを検索するにはどうすればよいでしょうか。Dialogflow CX の新しいグローバル検索機能を使用すると、ページ、インテント、トレー二ング フレーズ、エンティティ タイプ、Webhook、ルートグループなどのリソースの検索とフィルタリング、またそうしたリソースへのアクセスが可能になります。検索中に「リソースタイプ」フィルタを使用して、関連するリソースを簡単に検索できます。
「検索オプション」アイコンをクリックして、検索結果をさらに絞り込むことができ、検索結果のフィルタリングの基準を指定できます。たとえば、特定のトレーニング フレーズを含むインテント、特定のインテントを参照するルートなどを検索できます。
継続的なテストとデプロイ
エンタープライズ クラスの bot の構築には多くの場合、徹底的な QA(品質保証)とデプロイのプロセスが含まれ、それによって手動による多くの作業が必要になることがあります。Dialogflow CX の CI / CD(継続的インテグレーション / 継続的デプロイ)機能は、bot のリリース サイクルを管理するための新しいツールによる bot 開発者の支援を目的として開発されました。
この機能を使用すると、環境に合わせて構成された一連のテストケースを自動的に実行して、その環境でのエージェントの意図した動作を検証できます。継続的デプロイ設定を使用し、フロー バージョンを環境にデプロイする前に検証テストを実行することで、意図しない動作が防がれ、エラーが最小限に抑えられます。
システム関数
Dialogflow は、一般的な算術演算、文字列操作、条件演算、日付 / 時刻演算を実行できるシステム関数をサポートするようになりました。これにより、こうした演算のコードを記述することに余分な労力をかける必要がなくなり、効率が向上します。同時に、これは bot のビジネス ロジックの一元化を進めるための一歩でもあり、Webhook への依存の低減にもつながります。これらのインライン システム関数をエージェントの条件とフルフィルメント(テキスト レスポンス、条件付きレスポンス、パラメータ プリセットなど)に適用すると、会話中に動的な値が生成されるようになります。
たとえば次のようになります。
ここで、エージェントは、顧客のリスト内アイテム数を動的に計算してレスポンスを返しています。動的な計算は、システム関数を使用してセッション内のパラメータの数をカウントし(COUNT)、その数を表示するためにテキストに変換(TO_TEXT)するだけで実現します。
現在の関数のリスト:
算術演算: ADD、MINUS、RAND
文字列操作: LOWER、SUBSTITUTE、SPLIT、JOIN、CONCATENATE、MID、LEN、TO_TEXT、CONTAIN
条件節: IF
日付 / 時刻: NOW、FORMAT_DATE
その他: COUNT
変更の差分
Dialogflow CX の変更履歴機能に、エージェントに加えられた変更をログに記録する拡張機能が新たに追加され、Dialogflow CX を使うことで、複数のチームが単一のエージェントを介して非常に簡単に連携できるようになりました。ユーザーが変更履歴テーブルの各エントリをクリックすると、各リソースの変更前と変更後が表示され、変更内容を正確に確認できるようになりました。
サンプル スクリーンショット
まとめ
Dialogflow CX のこれらの新機能を活用することで、企業は大規模かつ複雑なエージェントを簡単に構築して管理できます。部分レスポンスのストリーミング機能を導入することで、Webhook を介して外部システムに接続する際のエンドユーザーのエクスペリエンスが向上します。検索機能とシステム関数は bot 構築プロセスの効率化に、継続的なテストとデプロイに関する機能は CI / CD パイプラインの管理の簡素化に有効です。また、Service Directory の統合によって Webhook でのプライベート ネットワーク アクセスが可能になり、バックエンド コードのセキュリティが強化されます。最後に、変更履歴で変更差分を使用すると、複数の大規模なチームが共同で作業する際のチェンジ マネジメントが容易になります。
今後は、コラボレーション エクスペリエンスを強化する Dialogflow CX のさらなる機能、ビジュアル ビルダーの改善、bot の構築と管理がより効率的になるパワーユーザー向け機能をご紹介します。どうぞご注目ください。
-Dialogflow CX プロダクト マネージャー Surabhi Bhate