コンテンツに移動
AI & 機械学習

AI の投資対効果(ROI):エージェントがビジネスにもたらす成果

2025年10月10日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/AI_Agents_16x9_11.max-2600x2600.png
Oliver Parker

VP, Global Generative AI GTM, Google Cloud

先進的な企業は、AI の可能性について議論する段階を終え、AI エージェントを使用して複雑なワークフローを自動化することで測定可能なビジネス価値を生み出し、大きな ROI を達成しています。

営業担当へのお問い合わせ

クラウドのニーズについて、営業担当とご相談ください。

お問い合わせ

AI に関する議論は、可能性の探求から具体的な評価へと移行しています。多くの組織が現在も AI の可能性について議論している一方、競争優位性を持つ企業はすでに、人間による監督を最小限に抑えながら複雑なワークフローを処理する AI エージェントから測定可能な価値を得ています。Google の 2025 年の AI の費用対効果に関するレポートによると、本番環境で AI エージェントを導入していると回答した組織の経営幹部の 52% は、AI が業務の遂行方法を根本的に変えていると述べています。

AI による成果

  • 74% の経営幹部が 1 年以内に費用対効果を達成したと回答

  • 39% の経営幹部が、組織全体で 10 以上のエージェントをすでにデプロイしていると回答

  • 組織の生産性が向上したと回答した経営幹部のうち、39% が生産性が 2 倍以上になったと回答

進化する AI ストーリー

企業向け AI のストーリーは急速に進化しています。どのモデルを選び、どのように活用するか、特定のタスクに最適なモデルにアクセスする方法などが主な論点でした。

その後、会話はプラットフォームに関する議論に進みました。複数のモデルを管理するには高度なインフラストラクチャが必要であり、組織はガバナンス、セキュリティ、費用管理などの企業要件を満たしつつ、多様なモデルを提供する統合システムを求めています。

現在では、個々のモデルからエージェント ワークフローへと移行しています。エージェント ワークフローは、高度にカスタマイズされたタスク固有の自動化であり、中核的なビジネス プロセスを根本的に変革するものです。クリエイティブ アシスタントがマーケティング業務を変革し、運用エージェントが効率性を高め、コーディング アシスタントが開発サイクルを加速させています。

 Bayer Consumer Health のデジタル トランスフォーメーションおよび IT 責任者である Cristina Nitulescu 氏は、次のように述べています。「1 年前は、AI エージェントについて話す人はいませんでした。しかし、AI エージェントの破壊的な力を人々が認識するにつれて、プロセスを再考する必要がでてきました。AI エージェントを優先することは、未来に備えることなのです。」

2026 年に向けて、モデル、プラットフォーム、エージェントの境界が曖昧になり、統合システムへと進化する次の段階に入ることは明らかです。この統合により、次の 3 つの重要なメリットが生まれます。

  1. フィードバック ループの高速化 – エージェントの構築から得られた分析情報を即座にモデル開発の改善に反映

  2. 統合プラットフォーム – モデルとエージェントを単一のシステムにまとめた、複雑に絡み合ったネットワーク

  3. 新しいビジネスモデル – 企業は個々のコンポーネントを構築するだけでなく、統合ソリューションを作成

開発者やビジネス リーダーにとってこれは、個別のツールではなくエコシステムという観点から考えることを意味します。カスタマー サービスの問題解決からマーケティング キャンペーンの最適化まで、エージェントはあらゆる業界で測定可能なビジネス上の成果を上げています。現在、先進的な組織では、顧客からの問い合わせを人間のエージェントにルーティングするだけでなく、よくあるリクエストを独自に処理し、関連するアカウント情報にアクセスして、問題をエンドツーエンドで解決するエージェントを導入しています。その洗練度は業界やユースケースによって異なりますが、パターンは一貫しています。つまり、これまで人間の介入が必要だったワークフロー全体を自律エージェントが管理するのです。

これがビジネスに与える影響を、あらゆる業界の経営幹部が実感しています。Wayfair の CTO である Fiona Tan 氏は、Google の調査で次のように説明しています。「AI エージェントは非常に多くのユースケースに適用できるため、すべてのの企業において導入されるべきです。当社で節約できた金額ならすぐに示せます。」

エージェント時代の戦略的原則

最も成功している組織は、エージェント機能を段階的に構築しています。まず、既存のマーケティング ワークフローに AI アシスタンスを追加し、次に特定のタスク用の単一目的のエージェントを開発し、最後に複数のエージェントを自動化されたビジネス プロセスに統合します。この体系的なアプローチにより、組織の自信と能力が徐々に育まれ、各段階で価値が創出されます。

AI エージェントの実装について世界中の企業と連携してきた結果、最も大きなビジネス価値を実現する組織には、明確なパターンがあることがわかってきています。

  • 実績のあるユースケースから始めることが重要ですが、戦略的に選択する必要があります。まずは自律的な意思決定が即座に価値を生み出すプロセス、たとえばカスタマー サービスの問題解決、在庫の最適化、コンテンツのパーソナライズなどに焦点を当てます。こうしたユースケースは明確な ROI 指標を提供し、より広範なデプロイに向けて組織の自信を高めます。

  • 目的を持ってスケーリングする。成功している組織は、単発で実験的にではなく、複数のエージェントを体系的にデプロイしています。また、エージェントのデプロイを技術プロジェクトではなく戦略的な強みとして扱っています。

  • テクノロジーだけでなく、ケイパビリティに投資する。最もパフォーマンスの高い組織は、エージェントのデプロイをケイパビリティ、つまり組織的な強みとしてと捉えています。社内の専門知識を蓄積し、ガバナンス フレームワークを確立し、エージェントのパフォーマンスを継続的に向上させるフィードバック ループを作成します。テクノロジーは出発点にすぎません。

コアビジネス機能の変革

AI エージェントの影響は、単純な自動化をはるかに超えています。マーケティングでは、コンテンツ編集が 32% 迅速化され、コンテンツ作成が 46% 高速化されたことで、チームはタスク遂行ではなく戦略に集中できるようになりました。シアトル小児病院の最高デジタル責任者である Zafar Chaudry 氏は、次のように述べています。「生成 AI は、オーディエンスの構築、カスタマー ジャーニーのオーケストレーション、コンテンツの作成、ターゲットを絞ったパーソナライズされたキャンペーンの設計など、大規模なデータベースからデータを抽出する必要があるマーケティング関連のタスクに優れています。」

ここに秘められた可能性は非常に大きく、ATB Financial のデータ サイエンス フェローである Ian Hargreaves 氏は「コンテンツの作成とパーソナライズのワークフローを再構築するのに、AI ほど優れたテクノロジーはないと思います」と語っています。

一方、カスタマー サービスも同様に変化しており、経営幹部の 63% が生成 AI によってカスタマー エクスペリエンスが向上したと報告しています。AI エージェントが複雑な顧客からの問い合わせをエンドツーエンドで処理するようになり、組織によっては、問い合わせ 1 件あたり 120 秒の時間を節約し、より優れたルーティングと情報管理によって 200 万ドルの追加収益を実現しています。

セキュリティ運用では、AI エージェントにより侵害リスクが 70% 削減され、脅威への対応までの平均時間が 50% 短縮されています。Chaudry 氏は次のように述べています。「セキュリティは生成 AI に最適なユースケースです。脅威を特定し、24 時間体制で修復することもできます。」

エージェントのメリットを活かすためのステップ

早期導入のメリットを得る機会はまだ十分にあります。今、戦略的に行動する組織は、先駆者として、時間の経過とともに増大する運用上の優位性を確立できます。

今すぐエージェント機能を構築することで、後から始める組織よりもはるかに洗練されたシステムと優れたビジネス成果を得られるでしょう。エージェントがより高度化し、普及するにつれて、エージェントがもたらす運用上の利点が、持続的な競争優位性を生み出します。

エージェントの利点を活用する準備が整っている先駆者にとって、今後の道筋は明確です。測定可能な結果をもたらす価値の高いユースケースから始め、体系的なデプロイに向けた経営幹部の協力を確保し、企業全体で実装を成功させるためのケイパビリティを構築するのです。

エージェントの時代は、すでに到来しています。今問うべきは、AI エージェントでビジネス オペレーションを再構築するかどうかではなく、この変化を主導するか、それとも追随するかです。

組織がエージェント AI にどのように取り組んでいるかについて詳しくは、2025 年の AI の費用対効果に関するレポートをご覧ください。さまざまな業界におけるアーリー アドプターの戦略、実装パターン、ビジネス成果に関する分析情報を提供しています。

※この投稿は米国時間 2025 年 9 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

-Google Cloud、グローバル生成 AI GTM 担当バイス プレジデント Oliver Parker

投稿先