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AI & 機械学習

効率的な AI への投資: 4M フレームワーク

2025年10月10日
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Denise Pearl

Global GTM Practice Lead, Sustainability, Google Cloud

4M フレームワークを基盤とする「設計からサステナビリティを重視した AI インフラストラクチャ戦略」は、AI トレーニングや運用の費用対効果とエネルギー効率を向上させることで、イノベーション、収益性、サステナビリティの間に見られる緊張関係を解消します。

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AI の導入は、企業にとって今や喫緊の課題です。あらゆる役員会や経営会議では、もはや「するかどうか」ではなく、「いつまでに」「どのように」導入するのかという議論が中心となっています。

AI は組織の競争力を上げ、収益性の高い未来の実現に貢献すると期待されてはいますが、導入には課題もあります。複雑なシステムの統合や、高度なデータ セキュリティ基準とガバナンスの遵守といった、AI の導入に必要な基盤の整備だけでも、組織のリソースを大きく消費します。AI の普及が進むにつれ、CFO はコンピューティング コストの急増を懸念し、CIO はすでに多忙を極める IT チームの負担を案じ、CSO はサステナビリティの取り組みを維持したいと考えます。

イノベーション、収益性、サステナビリティ、効率性。これらは相容れない優先事項のように見えますが、適切な AI インフラストラクチャ アプローチを採用すれば、サステナビリティの原則を満たしつつ、責任あるリソースの使用、利益率の向上、投資収益率の加速化を実現できます。

AI のリソース要件を理解する

AI のコンピューティング需要は、一般的にどの程度と考えられているのでしょうか?世界中のビジネス リーダーの約 3 分の 1 が AI の影響の測定を最優先の投資項目に挙げている理由のひとつは、この懸念が解消されていないことにあります。

1 つの AI モデルに数百万ドルの費用がかかり、車 5 台分の生涯 CO2 排出量に相当する排出量が発生すると主張する研究を目にしたことがあるかもしれません。しかし、これはモデルのトレーニングにかかる費用と排出量にすぎません。もし、同じモデルを日々のビジネスで使い続けた場合、どれほどの運用費用と環境負荷が発生するでしょうか。その甚大なコストを想像すれば、どの取締役会も導入を躊躇するはずです。

Google Research の計算によると、一般的なデータセンターの汎用プロセッサから目的に特化した AI インフラストラクチャに移行するなどのベスト プラクティスに従うことで、エネルギー消費を 100 ~ 1,000 倍削減できます。しかし、これは「大根を政宗で切る」ようなもの、つまり必要以上に大げさな手段を用いているのと同様で、効率的ではありません。Google Research は、数百万ドルかかるとされる Evolved Transformer モデルをわずか 40 ドルでトレーニングできることを証明しました。しかも、車 5 台分ではなく、0.00004 台分の生涯排出量に相当する排出量で、エネルギー消費量を 120,000 分の 1 に抑えることができました。

なぜこれが可能なのかというと、Google の 4M フレームワークに基づくベスト プラクティスに従い、「設計段階からサステナビリティを重視した」 AI アーキテクチャを採用したからです。

  • 目的に特化した AI プロセッサを使用する。

  • 効率的なモデルを目的に合わせて選択する。

  • zero-ops サービスで大規模なデータと分析を自動化する。

  • 可能な限り、クリーンなエネルギーを利用できる場所でワークロードをホストする。

これらの改善は、無駄な隠れコストを削減し、AI アプリケーションの大規模な実行を経済的に実現可能にするという相乗効果をもたらします。従来のインフラストラクチャで実行すると数百万ドルの費用がかかるワークロードでも、設計からサステナビリティを重視したアーキテクチャでは、数千ドル、場合によっては数百ドルで済む可能性があります。

イノベーションとサステナビリティの両立

AI の計算要件は、戦略的に対応することで運用改善の機会となります。実際、サステナビリティを重視して設計されたクラウド基盤を採用すると、リソースの最適化がコア オペレーションに直接組み込まれているため、以下の 3 つのメリットを享受できます。

イノベーションが加速する。AI インフラストラクチャを最適化した企業は、従来のトレーニング実行 1 回分の費用で 100 回のテストを実行できるため、新しいアプリケーションのプロトタイピングとテストを迅速に行うことができます。

収益性が向上する。トレーニング費用が数百万ドルから数千ドルにまで下がると、AI を導入できるビジネス アプリケーションの幅が広がり、AI が運用ツールから収益のけん引役へと進化します。

サステナビリティが競争優位性を高める。効率的な AI 運用により、エネルギー価格の変動、規制の進化、リソースの制約などに打たれ強くなり、長期的な戦略的価値が創出されます。

イノベーション、収益性、リソース効率の間に見られる緊張関係が、適切なインフラストラクチャ アプローチによって解消されます。

歴史を振り返ると、テクノロジーの導入は常にリソース最適化の機会となってきました。第二次世界大戦後の制約がトヨタをリーン生産方式の開発へと駆り立てたように、今日のエネルギー問題は、率的な AI インフラストラクチャ設計の強力な推進力となっています。効率性は後回しにされるどころか、設計段階から組み込まれ、AI インフラストラクチャの標準的な手法となるでしょう。

AI イノベーションを追求するか、サステナビリティを追求するかという二択問題ではありません。設計からサステナビリティを重視したインフラストラクチャと 4M フレームワークがあれば、どちらも実現できるのです。

※この投稿は米国時間 2025 年 9 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

-Google Cloud、サステナビリティ担当グローバル GTM プラクティス リード Denise Pearl

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