Google I/O 2025 で発表されたGoogle Cloud から新しいツールの波

Andrea Sanin
AI Editor, Google Cloud
Yana Lubell
Editor, Google Cloud
Google I/O で発表された、企業や開発者向けの最新情報として、メディア制作における AI の活用、コーディングの容易化、アプリケーション開発の簡素化、AI アプリケーションやエージェントの導入の改善のための新しい方法を紹介します。
※この投稿は米国時間 2025 年 5 月 24 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google I/O では、Google Cloud の新たなツール群が発表されました。これらはすべて、企業やデベロッパーによる次世代イノベーションの構築を支援するように設計されています。今回のアップデートにより、組織はAIを活用し、より簡単にコーディングを行い、メディアを制作し、インテリジェント エージェントを管理する新たな方法を手に入れることができます。ここでは、Google I/O で発表された Google Cloud の注目のニュースをご紹介します。
新しいメディア生成 AI モデルで創造性を発揮
Vertex AI は、動画用の Veo 3、画像用の Imagen 4、音楽用の Lyria 2 など、新しいメディア生成 AI モデルを導入しました。これらのモデルは、テキスト プロンプトから ビジュアル コンテンツやオーディオ コンテンツを制作する素晴らしい方法です。透かしや安全フィルタなどの機能も組み込まれており、セキュリティと責任に留意したコンテンツを制作できます。詳しくは、こちらのブログをご覧ください。

Gemini 2.5 で可能性を拡げる
企業が AI を活用して、より高度かつ安全なアプリケーションやエージェントを構築できるよう、Gemini 2.5 Flash と Pro モデルの機能を拡張しました。思考サマリーを使用すると、企業はモデルの未加工の思考(重要な詳細情報やツールの使用状況など)を明確かつ監査可能な形で把握することができます。新しい Deep Think モードでは、モデルが複数の仮説を検討してから回答できるようにする調査手法が使用されています。この強化された推論モードは、数学やコーディングのような非常に複雑なユースケース向けに設計されており、Vertex AI でまもなく、信頼できるテスター向けに提供が開始されます。さらに、セキュリティに対する新たなアプローチにより、Gemini 2.5 はこれまでで最も安全なモデル ファミリーとなっています。
Gemini 2.5 Flash は 6 月上旬に Vertex AI の全ユーザーに一般提供され、2.5 Pro はその後すぐに一般提供される予定です。
Gemini と Jules でコーディングがより簡単に
すべての Gemini Code Assist エディションに Gemini 2.5 が搭載されました。個人向け Gemini Code Assist は Visual Studio Code、JetBrains IDE、Google Cloud Shell エディタで利用でき、すべての開発者に無料で提供されています。ユーザーは、チャットの履歴を使用して、中断したところからすぐに再開できるようになりました。また、特定のルールを使用して Gemini の回答を導いたり、カスタム コマンドを作成して繰り返しの手順を自動化したりすることもできます。
さらに、Jules という新しい自律型 AI コーディング エージェント(現在は公開ベータ版)をリリースしました。Julesは、ユーザーの意図を理解し、テストの作成やバグの修正などのコーディング タスクを実行するように設計されています。Jules は既存のリポジトリと統合して非同期で動作するため、Jules がバックグラウンドで動作している間に、開発者は他のタスクに専念できます。
Firebase Studio で AI を使用してアプリケーションを迅速に構築
Firebase Studio は、Gemini 2.5 を搭載したクラウドベースの AI ワークスペースで、数分でアイデアをフルスタックのアプリケーションに変換できます。builder.io プラグインを使用して Figma のデザインを Firebase Studio に直接インポートし、コードを記述することなく Firebase で Gemini を使用して機能を追加できるようになりました。また、今後数週間かけて展開される機能として、アプリケーション プロトタイピング エージェントを使用するときに、プロンプトにバックエンドが含まれている場合、Firebase Studio がバックエンドの必要性を検出できるようになります。Firebase Studio では Firebase Auth と Cloud Firestore が推奨されるようになり、Firebase App Hosting にアプリケーションを公開する準備が整うと、Firebase Studio がこれらのサービスを自動的にプロビジョニングします。
AI アプリケーションを簡単に導入し、エージェントを構築
Cloud Run で 3 つの重要な更新がリリースされ、AI アプリケーションの導入がとても容易になりました。1 つ目は、Google AI Studio で構築したアプリケーションを、ボタンを 1 回クリックするだけで Cloud Run に直接、導入できるようになったことです。2 つ目は、Gemma 3 モデルを AI Studio から Cloud Run に直接、導入できるようになったことです。その際には、スケーラブルな従量課金制のエンドポイントの GPU サポートが完備されます。3 つ目は、新しい Cloud Run MCP サーバーを導入したことです。これにより、MCP 対応 AI エージェント(AI アシスタント、IDE との統合、SDK など)でプログラムを使ってアプリケーションを導入できるようになりました。詳しくはこちらをご覧ください。


AI Studio でアプリケーションをビルドして Cloud Run にデプロイする
また、より堅牢で柔軟なツールと合理化されたワークフローで AI エージェントの作成と管理を行えるようにする機能強化も行いました。Python と Java の開発者向けに、新しいバージョンのエージェント開発キット(ADK)をリリースしました。新しい Agent Engine UI では、Google Cloud コンソールの直観的なインターフェースにより、エージェントの管理、デプロイ、モニタリングが容易になります。また、Agent2Agent(A2A)プロトコルが改善され、さまざまなエージェント間の通信がより簡単かつ安全になります。詳しくは、Google デベロッパー ブログをご覧ください。
Google Cloud と NVIDIA のコミュニティで、つながり、学び、構築する
Google I/O では、Google Cloud と NVIDIA のコミュニティを新たに発表しました。今すぐ無料で参加し、専用フォーラムで Google Cloud と NVIDIA のエキスパートと交流しましょう。コミュニティ メンバーは今後数週間以内に、Google と NVIDIA が共同で厳選した限定学習コンテンツと、試験運用やプロトタイピングに利用できるクレジットにアクセスできるようになります。
Workspace AI の新機能を使用して返信、翻訳、作成
Gmail には、よりパーソナライズされたスマート リプライ機能が追加されました。この機能は、過去のメールや Google ドライブ内のファイルから学習することで、より適切な返信を提案します。Google Meet では、リアルタイムの音声翻訳が、より自然な交流が促進します。Google Vids には AI アバターが追加されました。チームはアバターにメッセージを伝えてもらうことで、トレーニング動画やお知らせといった洗練されたコンテンツを効率的に作成できるようになりました。これにより、制作プロセスをより効率化できます。新しい AI 機能の詳細については、こちらをご覧ください。

Google I/O では、アイデアから成果に至るプロセスを加速し、AI 主導の世界で創造し、革新し、リードできるよう設計された、Google Cloud の強力なイノベーション スイートが明らかになりました。その他の発表やライブデモについては、フルバージョンの基調講演をご覧ください。
-Google Cloud、編集者、Andrea Sanin
-Google Cloud、編集者、Yana Lubell