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システム

システム設計の新時代に向けてオープンなイノベーションを発表

2022年10月25日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 10 月 19 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

現在はシステム設計の転換期です。コンピューティングの需要は、とどまることのない速さで増大しています。同時に、ムーアの法則は鈍化しています。つまり、CPU のパフォーマンス、電力消費、メモリとストレージのコスト効率の向上はすべて限界に達しつつあります。このような逆風は、信頼性の新たな課題や、セキュリティによってさらに強くなっています。

Google は、スタック全体にわたるシステム設計のイノベーションによって、このような課題や機会に対応しました。このイノベーションは、新しいカスタム シリコンのアクセラレータ(TPUVCUIPU など)から、新しいハードウェアとデータセンター インフラストラクチャ、新しい分散システムとクラウド ソリューションにまで及びますが、これはあくまで最初の段階に過ぎません。いわゆる「データセンター税」を最小限に抑えるコア データセンター機能用の密結合アクセラレータなど、進歩の機会はまだ多くあります。サーバーとデータセンターのインフラストラクチャが、従来のような数十年前の設計とは異なり、モジュール型で、異種の、分散された、ソフトウェア定義のものになるのに伴い、分散システムも新たな時代に突入しています。このような分散システムは、「キラーマイクロ秒」に対応する最適化と、低レイテンシやアクセラレータを考慮して最適化された斬新なプログラミング モデルを特徴としています。

Google は、このような新しい機会や課題には、業界全体で一丸となって対応することが最善であると考えています。本日、Open Compute Project(OCP)Global Summitで、Google はオープンなハードウェア エコシステムをサポートすることを示し、40 以上の講演でプレゼンテーションを行い、いくつかの重要な貢献を発表します。

  • サーバー設計: 未来の「複数ブレーン」サーバーに関する Google のビジョンを共有します。これは、従来のサーバー設計を、ホスト コンピューティング、アクセラレータ、メモリ拡張トレイ、インフラストラクチャ プロセッシング ユニットなどの全体にわたる、モジュール型の分散システムへと変革するものです。これを実現するために必要となるさまざまなイノベーションで、Google が行っている作業を、すべての OCP パートナーと共同で行います。具体的には、DC-MHS によるモジュール型ハードウェア、OpenBMC および RedFish による管理の標準化、ルート オブ トラストの標準化、インターフェース(CXL、NVMe を含む)の標準化などです。

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  • 信頼できるコンピューティング: ルート オブ トラストは、未来のシステムに不可欠な部分です。Google は現在に至るまで、コンシューマ デバイスにおける個別のセキュリティ ソリューション OpenTitan など、透明性の高い、最高水準のセキュリティの実現に貢献してきました。Google は、機密性の高いコンピューティングや、パッケージまたはシステム オン チップ(SoC)のレベルでチップレベルの証明書が必要となるさまざまな用途での未来のイノベーションを見据えています。他の業界リーダーの AMD、Microsoft、NVIDIA とともに、Google は Caliptra(ルート オブ トラスト測定用の再利用可能な IP ブロック)を OCP に提供します。数か月以内に、コミュニティが一体となって連携するための初期コードをリリースする予定です。

  • 信頼性の高いコンピューティング: 信頼性の課題に大規模に対処するために、AMD、ARM、Intel、Meta、Microsoft、NVIDIA と共同で、サーバー コンポーネントの復元力の新しいワークストリームを OCP で形成しました。このワークストリームを通じて、業界全体が追跡できる、データのサイレント エラーや破損に関する一貫した指標を作成する予定です。また、テスト実行フレームワークおよびスイートを提供し、障害のあるデバイスが存在するテスト環境へのアクセスを提供することも予定しています。これにより、業界と学界にわたる幅広いコミュニティが、シリコンの障害やデータのサイレント エラーに対処するための体系的アプローチを取れるようになります。

  • サステナビリティ: 最後に、Google は、エコシステム全体にわたる基本理念として環境のサステナビリティをサポートする新しいイニシアチブを OCP 内でサポートすることを発表します。Google は何年もの間、環境のサステナビリティのリーダーであり続けています。2007 年以降はカーボン ニュートラルを達成しており、2017 年以降は 100% 再生可能エネルギーで電力を賄っています。さらに、2030 年までに Google のすべてのオペレーションとバリュー チェーンでネット ゼロ エミッションを達成するという大きな目標も持っています。その一方で、業界随一のクリーンなクラウドとして、お客様が二酸化炭素排出量を追跡して削減し、エネルギーの大きな節約を達成できるよう支援しています。このようなベスト プラクティスを OCP と共有し、幅広いコミュニティと連携して、この重要な分野におけるサステナビリティの測定と最適化を標準化していきます。

業界団体はシステム統合(コンピューティング、メモリ、ストレージ、管理、電力、冷却など)に注力しているため、OCP Foundation は、私たちが必要とする業界全体の共同設計を促進できる独自の立場にあります。Google は OCP で積極的な役割を果たし、リーダーシップを発揮して、新しいイニシアチブを生み出し、多くの貢献をサポートしています。

上述の発表は、標準に基づくオープンなエコシステムを育んできた Google の取り組みの最新の例です。オープンなエコシステムにより、製品化までの時間を短縮するアジリティを確保し、イノベーションに戦略的に取り組む機会を得るとともに、多様なプロダクト マーケットプレイスを実現することができます。オープンソースにおける Google のリーダーシップは、業界での標準化と導入の促進、多岐にわたる力強いコミュニティの貢献によるエコシステムの成長のほか、幅広いポリシーの適用、組織的なリーダーシップの発揮やベスト プラクティスの共有など、多次元に及んでいます。

本日発表する 4 つのイニシアチブと、OCP Summit での Google 主導の講演から、今後のシステムの素晴らしい新時代を垣間見ることができます。幅広い OCP コミュニティやその他の業界組織と連携して、活気あるオープンなハードウェア エコシステムを構築し、この分野でさらに多くのイノベーションをサポートすることを楽しみにしております。このエキサイティングな取り組みにぜひご参加ください。


- Google、バイス プレジデント(テクニカル フェロー)Parthasarathy Ranganathan
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