成功に向けてサステナビリティ イニシアチブを測定する
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 7 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
「測定しないものを管理することはできない」という言葉には、多くの真実が含まれています。慎重かつ正確に測定することは、効果的な環境、社会、企業統治(ESG)プログラムと、良くてもリソースを浪費するだけ、最悪の場合は組織をグリーンウォッシングの批判にさらすようなイニシアチブとを見分ける試金石です。
目標への到達方法を理解するための最初のステップは、現在の立ち位置を知ることです。ESG 規制は増加の一途をたどっており、2021 年に新たに制定または改訂された政策手段は 225 にのぼります。実際、全運用資産の 3 分の 1(評価額 53 兆ドル)が 2025 年までに ESG マンデート資産になると推定されています。検証可能な結果を政府、NGO、業界監視機関、消費者に提供することがますます重要になっています。
効果的な ESG プログラムを確立するという側面から言うと、測定は特別な難題です。最近 Harris Poll が Google Cloud の委託を受けて行った調査によると、正式な ESG プログラムを実施し、その影響を測定していると回答した組織は 22% にすぎず、前年から 3% 減少しています。このような状況から、経営幹部は公式声明に関して苦しい立場に置かれており、回答者の 87% は、目標をより正確なものとするために、サステナビリティの取り組みを測定する優れたツールを導入したいと答えています。さらに言えば、これらの経営幹部は、組織がグリーンウォッシングに陥る最大の要因として、サステナビリティの目標を設定するまたはサステナビリティの公約を掲げる際に、目標や公約の実現に向けた具体的な測定、最適化、変革の計画を立てていないことを挙げています。
Google Cloud Ready - Sustainability プログラムは、組織の ESG ジャーニーのあらゆる段階に対応することを目的に構築されたもので、その道のりは結果とプロセスを測定することから始まります。測定はこのプログラムの基礎中の基礎であると言えます。1 年前に発足して以来、Google Cloud Ready - Sustainability プログラムには、大気質、温室効果ガス、エネルギー消費、資源使用などのさまざまな分野で独立した検証可能な環境測定を提供することを専門とするパートナー企業が増え続けています。
Aclima は、Time Magazine が選出した 2023 年度の影響力の高い企業トップ 100 に名を連ねており、ロービング センサーと固定式センサーのグローバルなネットワークを利用して、大気の状態の診断や気候変動の原因となる大気汚染を追跡しています。Aclima は、米国と世界中のほぼ 20 か国で数十億にのぼる局地的な大気汚染と温室効果ガスの測定値を収集し、年間数千万の人々(その数は増え続けています)のために大気質を測定およびマッピングしています。
BlueSky Resources は、Airlogic という Google Cloud ネイティブのデータ取り込みおよび分析エンジンを活用した、センサーに依存しないアプローチを使用して、世界中のさまざまな業界の顧客が自社の資産の大気メタンやその他の排出量を定量化し、排出量の問題に対処できるようにしています。現在、BlueSky Resources は世界中の 180 か所以上の施設を積極的にモニタリングし、鉱業、廃棄物管理、エネルギー業界に、リアルタイムのセンシングだけでなく、過去の傾向の評価にも役立つ検証された測定値と最適な構成を提供しています。
Floodbase は、グローバルなパラメトリック洪水保険を設計および発動するためのエンドツーエンドのデータ ソリューションです。衛星観測データと ML を組み合わせて、世界中のあらゆる場所でほぼリアルタイムの洪水モニタリング、アラート、リスク分析を可能にします。人道的保険および民間保険の分野において、Floodbase は 30 を超える国々で使用されており、洪水の多い地域が気候災害に備えて対処できるよう支援しています。
Floodlight は、地上センサー、空中衛星、AI から取得されたサステナビリティや ESG に関連するデータセットの広範なカタログ(直接測定されたスコープ 1 とスコープ 2 の温室効果ガス排出量を含む)を提供する地理空間データ インテリジェンス企業です。Floodlight の気候リスク評価ツールは、海岸浸食、暴風雨リスク、乾燥、海面上昇による潜在的な脅威を特定し、生物多様性の把握やハリケーン リスクの軽減に役立つ環境的脆弱性の全体像を提供します。このツールは特に、特定の資産の価値を 1 週間未満で定量化する、または経験的ソースデータまで遡ってクリーンな監査証跡を提供するのに有用です。
Keen AI は、顧客が自社のエネルギー インフラストラクチャ資産に関連する重要なデータを簡単に収集、共有、分析し、現状を正確に評価して、十分な情報を基に将来の状態を予測できる、最先端の AI およびシステムを開発することを専門としています。Keen AI は、Google Cloud との提携を通じて Vertex AI などのサービスを利用しています。これにより、顧客のユースケースに合わせたプロトタイプの迅速な開発と AI を活用したソリューションの導入を比較的短期間かつ合意された予算の範囲内で行うことができます。
Planet は、グローバルな衛星データ ストリームをほぼ毎日処理し、顧客やパートナーのワークフローに配信しています。顧客やパートナーはこのデータを使用することで、日々進化して環境変化に対応するアプリケーションを迅速に構築できます。同社の 50 PB に及ぶ地球データのアーカイブは成長し続けており、地球の大陸上のあらゆる地点の画像が 1 か所あたり平均 2,400 点収録されています。
Sust Global は、山火事、洪水、熱帯低気圧、水不足、海面上昇の増加に起因する財務リスクや運用リスクを評価してリスク軽減戦略や分散投資戦略を実現する、コンポーズ可能な気候リスクデータおよび分析製品を開発しています。リモート センシングと最先端の気候科学から得られた地理空間データに予測および生成 AI モデリング手法を適用することにより、同社の気候分析ビジュアル プラットフォームである Climate Explorer を通じてリスクの動的ビューを提供します。また、資産管理、不動産、自然を基盤とした炭素除去プロジェクトに携わる顧客は、Sust Global のデータ API 製品である Climate Composer を使用して、豊富な気候情報に基づくリスク モデリングやリスク管理戦略の立案を行うことができます。
UP42 は、世界をリードする光学、レーダー、標高、航空のすべてのデータに 1 か所からすばやく簡単にアクセスできるプラットフォームを提供しています。このプラットフォームはデベロッパー ファーストで設計されており、ソリューションの構築やスケーリングに役立つ柔軟な API と Python SDK を備えています。ユーザーは既存の画像を検索したり、目的のエリアの画像を撮影するよう衛星に指示を出したりできます。地球観測データへのアクセスに対する技術的および商業的障壁を取り除くことで、UP42 は、組織が社会経済的変化を大規模に推進する森林再生、食料安全保障、および防災ソリューションを開発できるよう支援しています。
Watershed は、顧客が自社の気候に及ぼす影響を(数か月ではなく)数週間単位で測定、報告、削減するために使用するエンタープライズ気候プラットフォームです。このプラットフォームは Google Cloud 上で一から構築され、粒度の高い実用的な炭素測定、ワンクリックでの開示と報告、目標設定ツールと脱炭素化ツール、最先端の炭素除去技術へのアクセスを提供します。Google Cloud との提携を通じて BigQuery などの Google Cloud ツールを利用することにより、Watershed は気候の測定や報告のプロセスを効率化し、ビジネスの状況を迅速かつ正確に炭素データに読み替えます。
ESG の進捗の測定に向けて次の一歩を踏み出す
気候や ESG に関するシステム全体にわたる透明性の高い報告は、忠実度と頻度の高い測定に依存しています。さらに、各指標が監査可能なデータによって正しく説明されるように、これらの測定値は中央の意思決定支援および報告プラットフォームで使用できる必要があります。現在までどの組織も、各領域の全容を把握できておらず、既存の進化し続けるフレームワークや規制を満たすために必要な専門分野の知識または気候科学の専門知識のレベルで測定値に照らし合わせた報告ができるまでには至っていません。したがって、ソリューション プロバイダの助力を得ることが不可欠です。そのようなソリューション プロバイダの選定条件としては、これまで専門分野において運用面や地球規模での影響力を実証していること、関連する分析情報を生成するためにサステナブルなクラウド リソースを提供していること、サステナビリティ インサイト コミュニティの各メンバーが貢献できるように報告を調和させることが挙げられます。
測定は、アクションのロードマップを提供する元となります。それはサステナビリティ プログラムを成功させるための鍵であり、顧客、地域社会、規制機関との信頼を築くために行うべき最初のステップです。測定は、関係者が要求する明確で信頼できる報告を提供するとともに、ビジネス リーダーに彼らが求める定量的な結果も与えます。これは Google Cloud Ready - Sustainability プログラムの使命、すなわち、サステナビリティを目的として構築されたクラウドを基盤とする反復可能で影響重視のソリューションに組織を結び付けることです。Google Cloud Ready - Sustainability プログラムの成長し続けるパートナー エコシステムは、システム全体の信頼できる報告を提供するために必要なツールとなります。
Google Cloud Ready - Sustainability の検証済みソリューションは、Google Cloud パートナー ディレクトリのリストと Google Cloud Ready Sustainability Partner Advantage ページでご覧ください。該当する場合は Google Cloud Marketplace でもご確認いただけます。これらの技術が ESG 目標の達成にどのように役立つかをお客様がより深く理解し、お客様の特定の課題に適したソリューションを見つけ、より早くソリューションを導入できるようにお手伝いできれば幸いです。
Google Cloud Ready - Sustainability 検証イニシアチブの詳細と、サステナビリティの変革を目指して Google と提携している全パートナーの一覧については、こちらをご覧ください。