AI を活用して自動車業界の環境保護を加速する 5 つの方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 12 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
自動車業界は、技術と気候のイノベーションを活用してサステナビリティに対する責任を果たすべきという潮流に促され、大きな変革を成し遂げようとしています。気候に関する懸念、規制による圧力、消費者と投資家両方からの要望が増大するなか、自動車メーカーとサプライヤーはよりサステナブルな業界の実現に積極的に取り組み、説明責任を受け入れています。
サステナビリティに対する責任に関する考察
サステナビリティに関する議論は、周辺的な懸念事項から、ビジネスの成長と復元性を実現するための中心的な戦略へと移行しました。サステナビリティに関する公約は世の中にあふれていますが、積極的に関連プログラムを実施し、目標に照らして成果を測定している企業はほんの一部です。この隔たりから、ある大きな課題が浮き彫りになります。それは、結果と進捗状況を測定できる精密で検証可能なサステナビリティ指標とツールの必要性です。この点で、技術のイノベーション、特に AI がサステナブルな変革の実現において果たす役割の重要性は計り知れません。
- AI 対応のサステナブルなサプライ チェーン
復元力のあるサプライ チェーンは、サステナブルなサプライ チェーンと同義です。変化する環境への適応力に優れ、障害の影響を最小限に抑えることができます。パンデミックや気候に起因する事象など、前例のない混乱の時代に直面している自動車業界は、サプライ チェーンのエコシステム全体をつなぎ、モニタリングするためのソリューションの構築に AI を活用しています。Prewave のソーシャル メディアとニュース メディアをリアルタイムでモニタリングするツールや、サステナブルな調達をリアルタイムでモニタリングする NGIS の TraceMark プラットフォームなどの技術は、環境、社会、ガバナンスの標準に準拠したサプライ チェーンを実現するうえで有用です。たとえば、Unilever などでこれらの技術が活用されています。
- 製造の進歩
Renault Group の事例は、AI 分析によって製造プロセスのエネルギー効率を向上させる方法を示しています。同社はエネルギー消費量のモニタリングと最適化に AI を採用することでエネルギー消費量を 25% 削減することに成功し、2025 年までにさらに 25% の削減を目指しています。これは業界初の取り組みです。この例は、オペレーションに省エネを組み込み、サステナビリティの目標を達成するために AI が果たす役割をよく表しています。
- 自動車設計における AI 主導の進化
Volkswagen と Google Cloud のコラボレーションの事例は、AI が自動車設計にもたらす変革を象徴しています。Volkswagen は ML アルゴリズムを利用して、風洞実験などの大量のリソースを必要とする従来の空力試験手法と比べて大幅に自動車設計プロセスを効率化しました。これによって明らかになったのは AI の費用対効果の高さだけではありません。環境面で最適化された自動車のサステナブルな開発を促進できるという可能性も見出されました。
- グリーン エネルギーへの転換を可能にするインテリジェントな充電機能
電気自動車(EV)の双方向充電機能の登場は、より環境に優しい自動車の未来に向けた大きな節目となりました。この機能は、停電時に住宅への電力供給を可能にするだけでなく、電力網の安定化も実現します。AI によるインテリジェントな充電機能がバッテリーのライフサイクルの予測と管理を強化し、効率的なエネルギー使用を促進します。AI を活用したイノベーションのもう一つの例は、Renault のピアツーピア充電サービスです。これは、充電インフラストラクチャへのアクセスを改善し、エネルギー管理に対するコミュニティ ベースのアプローチを強化することで EV 導入のハードルを下げるものです。このようなスマートな技術統合は、自動車業界におけるグリーン エネルギーへの移行の促進に欠かせません。
- AI 時代におけるモビリティの未来
進化する自律走行車の領域でも、AI が不可欠であることが明らかになっています。Cruise は Google Cloud の AI を導入して自律走行車のソフトウェア開発を強化し、安全性と運転効率を最適化しています。さらに Google マップの AI 機能を通じて環境に優しいルート選択を提案し、EV 充電インフラストラクチャを見つけやすくすることで、モビリティを刷新しています。
今後の展望: サステナブルな成長を促進する AI
AI の能力を深く掘り下げていくほど、AI が自動車業界のサステナビリティを促進する可能性を秘めていることが明らかになります。AI 機能を単に補助的に使用するのではなく、サステナブルなイノベーションの中心的な促進要因として活用できるかどうかは、業界のリーダーと意思決定者にかかっています。業界の複雑なエコシステムと AI を融合することで、オペレーショナル エクセレンスと環境スチュワードシップを同時に見直すまたとない機会を手にできます。
Google Cloud は、戦略的ロードマップに AI を組み込むことに取り組んでいる先駆者の皆様とのパートナーシップを歓迎します。互いの力を合わせることで、サプライ チェーン強化のために AI を採用して大きな変化を起こし、製造ワークフローを刷新し、最初からサステナビリティが組み込まれた次世代の自動車を開発できます。今こそ、自動車業界のサステナビリティに向けた取り組みにおいて切磋琢磨し、先陣を切って道を切り開くために、迷いなくこの変革に乗り出す絶好のタイミングにほかなりません。
COP28 の期間中もブログを投稿していきますので、こちらをチェックしていただければ幸いです。
-Google Cloud、ストラテジック パシュート担当 VP Umesh Vemuri
-Google Cloud、自動車業界担当グローバル アカウント エグゼクティブ Jennifer Werthwein