女性歴史月間特集企業: Jobecam
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
3 月は女性歴史月間です。これは、女性が率いるスタートアップ企業や、テクノロジー業界の女性による優れた業績を称えるために集う期間です。全 4 回シリーズの 2 回目となる今回は、ブラジルの創業者 Cammila Yochabell 氏をご紹介します。同氏が設立した SaaS 企業 Jobecam では、クラウド テクノロジーの支援を少し利用して、雇用プロセスから無意識の偏見をなくすことを目標にしています。
「The Voice」という有名なテレビ番組があります。この番組のようなブラインド オーディションを、雇用プロセスでも実現できるとしたらどうでしょうか。女性で訛りもある私は、採用担当者から経歴やスキルについて質問責めにされるという困難な面接を数多く経験しました。そこで私が目指したのは、雇用と採用のプロセスをより公平にすることでした。白人女性として、私は大多数の人よりも恵まれた立場にいることを認識しています。雇用プロセスの効率を上げ、あらゆる人に公平な機会をもたらすプラットフォームを構築する義務が自分にあると感じたのもそのためです。
私が設立した Jobecam の目的は、独自のブラインド面接プロセスで企業の多様性を向上させることです。当社の SaaS プラットフォームでは、AI を活用して画像をぼかし、面接中の声を変更することで、無意識に抱いてしまう偏見を排除します。採用担当マネージャーは候補者の性別や人種、年齢、宗教ではなく、資質、能力、経験に集中できます。雇用プロセスにおける効率性と多様性の低さ
女性、有色人種、障がいを持つ応募者、そして LGBTQ+ のコミュニティは、雇用の場面において最も不公平な扱いを受けています。多様性のあるチームを構築することは正しい行いというだけでなく、ビジネス面でも賢い判断と言えます。多様性に関する取り組みを行っていない企業では、多様性に投資している企業に比べて収益が平均で 33% 少なくなっています。
また、従来の雇用プロセスは時間と費用の両面で非常に非効率です。求人の投稿、面接、候補者のオンボーディング、トレーニングまで、採用担当者と企業は採用活動に多くのリソースを投じていて、候補者 1 人につき約 120 日を費やしています。自社に合わない候補者のためにこの時間を無駄にするのではなく、募集しているポジションに最適な人材のために時間を使うべきなのです。
Jobecam
Jobecam では、雇用プロセスの効率性と多様性の両方を向上させたい企業のために 2 つのソリューションを提供しています。そのうちの 1 つが、設定した質問に候補者が回答する面接の様子をあらかじめ録画し、AI を活用して採用担当者の要件と候補者の回答の単語をマッチングさせて最適な候補者を素早くランク付けするというものです。最適な候補者を絞り込んだら、候補者と採用担当者がリアルタイムで会話を行う仮想面接室が用意されます。リアルタイムと事前録画済みのどちらの面接でも、候補者は自身の画像と声を変更できます。Jobecam の面接プラットフォームでは、偏見に基づく決定につながりかねない要因ではなく、スキルと経験で候補者を評価できます。
お客様からは、雇用プロセスにおける多様性が 68%、効率性が 82% 向上したという声を頂いていす。これを達成できているのも、Google Cloud を活用したスマートなデジタル採用プラットフォームのおかげです。
Jobecam と Google Cloud
候補者の面接動画をすべて Cloud Storage に保存しているため、採用担当者はいつでも素早く候補者の面接にアクセスして評価できます。Cloud Storage のおかげで動画のレイテンシが短縮されて面接の再生もスムーズになったため、採用担当者が候補者を評価する際に遅延が起きることはありません。
Google Cloud の Speech-to-Text API を使うことで、音声をテキスト化するための自動処理時間を 93% 削減でき、5 分かかっていたものが 20 秒にまで短縮されました。これによって面接にかかる時間が短くなっただけでなく、採用担当者はあらかじめ録画された面接をよりスピーディに受け取って処理できるようになりました。Jobecam では、変更のアップロード、修正、スケーリングの管理を Firebase で行っています。Firestore のおかげでビルド時間が 62% 削減されました。40 分かかっていたものが 15 分に短縮され、今もさらに速くなっています。
テクノロジー業界の母親を支援
Jobecam を創業したのは、互いの違いに価値を見出せる世界を実現するためです。テクノロジー業界の女性たちをサポートするのは、私にとって非常に重要な取り組みです。テクノロジー業界における男女格差をなくすという私の目標を推進するために、スタートアップ エコシステムで働く母親のトレーニングと人脈形成を行うことを目的とした初の企業 B2Mamy で、私はメンターとして活動しています。私自身も子を持つ母親であり、コミュニティ内のビジネス チャンスとリーダーシップを推進しながら、他の女性や子供たちをサポートできることを嬉しく思っています。Google for Startups Residency Program の協力を得ることで、B2Mamy はさまざまなコミュニティの 1 万人以上の女性に手を差し伸べることができ、とても実りの多いボランティア活動となりました。Google のリソースやトレーニング、サポートを利用して B2Mamy のような価値ある企業をサポートすることで、ブラジルだけでなく国外の女性にも手を差し伸べるという同社のミッションを手助けすることができます。
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