Enexor が、Google Cloud を活用して世界中のコミュニティのためにクリーン エネルギーの未来を構築
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 4 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: アースデイは、よりクリーンで、健康的で、サステナブルな未来をつくるために、私たち誰もが貢献できることを再認識する日です。Google Cloud では、新しい技術を開発し、サステナブルな変化を遂げる革新的なスタートアップ企業らの貢献と成功を祝福したいと思います。今年のアースデイは、Enexor BioEnergy に注目し、Google Cloud ソリューションを活用して、プラスチックや農業廃棄物からクリーンでサステナブルなエネルギーを生み出す同社の取り組みについてご紹介します。
電気のない世界を想像してください。そこでは、何十億もの人が危険な燃料や、埋立地のゴミを燃やして、食事を作り、暖をとるのです。子どもたちは咳き込み、家の中は有毒な煙が充満して息苦しい状態です。そのせいで 家族全員が病気にかかっています。ポンプや浄水場がないため、汚れた川や汚染された井戸からバケツで汚染水を運んでいます。電気や照明がないので、病院や緊急医療クリニックは簡易的なサービスを日中だけ提供しています。
2022 年であるにもかかわらず、世界の途上国に住む数十億の人々にとって、この過酷な生活は現実なのです。
プラスチックや有機廃棄物からクリーンなエネルギーを生み出す
今年のアースデイでは、安全で安価なバイオエネルギーを利用できるとしたら、このような国に住む人びとの生活はどのようになるかを想像してみましょう。この世界では、室内の空気は新鮮です。蛇口を開ければきれいな水が流れ、家、会社、学校には電気が通っています。医師や看護師は、24 時間体制で患者を治療できるようになり、高度な医療機器を使用して救命を行います。地域経済が活性化し、起業家が活躍します。
これが、Enexor BioEnergy とそのパートナーが、「一度に 1 村ずつ」築いているサステナブルな未来なのです。Enexor Bio-CHP™ システムでは、廃棄されたプラスチック、有機物、もみ殻やトウモロコシの殻、海藻、ココナッツ、その他のバイオ物質などのバイオマス廃棄物からクリーンでサステナブルなエネルギーを生み出し、炭素排出量を大幅に抑えカーボン オフセットを行っています。この Bio-CHP は、依頼してわずか 1 日で簡単に設置できます。さらにより多くの電力が必要な場合は、複数のシステムを並べて設置できます。Enexor は、斬新な Energy-as-a-Service(サービスとしてのエネルギー)というビジネスモデルを基に Bio-CHP を提供することで、同システムが環境へのプラスの影響を即時に生み出し、お客様が早急に導入できるようにしています。
Bio-CHP は 1 台で 100 世帯以上分のエネルギーを生み出し、学校、会社、製造施設、注水ポンプ、Wi-Fi システム、通信塔など、需要に合わせた再生可能エネルギーと熱を供給しています。Bio-CHP は高温システムを使用して超小型タービンに電力を供給し、頑丈なコンテナ内でプラスチックやバイオ物質を安全に酸化させることでクリーン エネルギーを生み出しています。このバイオエネルギーの生産によって、有害な温室効果ガスの排出量を大幅に削減しています。
Bio-CHP はコミュニティの廃棄物問題を解決すると同時に、より手頃な価格で再生可能エネルギーを提供することで、Bio-CHP が設置された地域に新たなビジネス チャンスを作り出し、成果を向上させています。これには、安価な電力を使用して地域のサービスや特典を拡大し、ブロックチェーン対応のデジタル通貨や PayGo などのサービスを用いて廃棄物収集を奨励することで、地域コミュニティのクリーンアップ活動を推し進めることが含まれています。また、Bio-CHP は、サステナビリティへの取り組みの最大化や、エネルギー復元性の向上、現在のエネルギー コストや廃棄物コストの削減を目指す企業にとって理想的なソリューションです。
Google for Startups Accelerator: Climate Change への参加
Bio-CHP の開発にあたり、最高水準の機械学習と人工知能を当社のテクノロジーに組み込むためには、信頼できる経験豊富なパートナーのサポートが必要だと考えていました。このような経緯で、Google for Startups Accelerator に登録し Google for Startups Accelerator: Climate Change に参加しました。
このアクセラレータでは、サステナブルな未来を創り出す取り組みを行っている他の企業の紹介や、コラボレーションやパートナーシップにつながる新しい機会が提供されました。このアクセラレータに参加することで、当社の小さなチームは Google Cloud の優れた人材、プログラム、ソリューションを継続的に活用できるようになりました。特に、Google Cloud の専任スタートアップ エキスパートによる素晴らしいテクニカル サポートと、新しいソリューションを求めて使用した Google Cloud リサーチ クレジットに焦点を当てたいと思います。
たとえば、Enexor は、燃料組成に合わせて Bio-CHP のオペレーションを自動的に調整する予測メンテナンス ツールを開発しています。また、Bio-CHP のシステムやコンポーネントの障害が起きる可能性を事前に認識し、警告を出すツールも開発中です。
Google Cloud の専任スタートアップ エキスパートと Enexor が密接に連携して、このようなツールに適した予測モデルを開発しています。また、Enexor は提供された Google Cloud リサーチ クレジットを利用して、TensorFlow、Vertex AI、Cloud CDN、AutoML で高度なモデルを構築しています。各システムはテネシー州にある Enexor のグローバル本社からリモートでモニタリングされているため、予測メンテナンス ツールを使用することで、送配電網のない(オフグリッド)地域における Bio-CHP の安全性、信頼性、効率性を高めています。
2040 年までに 130 億 kWh のクリーン電力を生み出す
将来的に Enexor は、より大きなデータセットを高速処理するための BigQuery、ダッシュボードを構築するための Google データポータル、さらには、機械学習(ML)ワークロードをより効率的に処理するための Google Cloud Tensor Processing Units(TPU)などの Google Cloud ソリューションを検討する予定です。
このようなソリューションのサポートを得て、2040 年までに、130 億 kWh のクリーン電力を生み出して、1 億 2000 万トンの CO₂ 削減し、100 万人がクリーンでサステナブルなエネルギーを利用できるようにするという Enexor の 3 つの重要な目標の達成を目指します。Enexor は、各 Bio-CHP システムを使用して、埋立地から発生するメタン排出量を削減して、化石燃料による発電を炭素クレジットで相殺し、廃棄物処理の輸送排出を最小限に抑えることにより、年間最大 2,000 メートルトンの CO₂ 換算排出量を削減しています。
Enexor は現在、ガーナのアクラで Bio-CHP を導入する準備を進めていて、有機廃棄物やプラスチック製造廃棄物をサステナブルなエネルギーに変換する予定です。Enexor は、アクラの地域コミュニティや NGO と協力して、廃棄されたプラスチックや有機廃棄物を回収し、川や海への流出を阻止することで、再生可能な燃料資源として利用することも考えています。2022 年のアースデイを祝う中、Enexor が推進するサステナブルな未来を想像すると、次に何を成し遂げているか楽しみで仕方ありません。
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- Enexor BioEnergy 創業者兼最高経営責任者 Lee Jestings 氏