Spresso のご紹介: 利益率とコンバージョン率のバランスを取る新しいソリューション

※この投稿は米国時間 2023 年 1 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

価格戦略に関して、利益率とコンバージョン率のバランスを取ることは、小売業者にとって長年の課題であるだけでなく、今日の急速に変化する商取引環境によりさらに複雑化しています。

商品原価の上昇、輸送費用の変動、消費者需要の変化、インフレーションといったマクロ経済的要因が、常に状況に応じた価格を設定することをほぼ不可能にしています。これらの要因に加え、Cookie やサードパーティ データ ツールの段階的な廃止により、小売業者は窮地に立たされており、現実のビジネス上の問題、中でも価格設定と収益性の問題に対する解決策の模索が最優先事項となっています。

Spresso Insights のご紹介:

ML、高度な分析、AI を活用してデータドリブンで実用的な分析情報とより高いビジネス成果を提供する、モジュール式 SaaS ソリューションの Spresso をご紹介します。

このソリューションは、小売業者を念頭に置いて設計、開発されました。Google Cloud とのパートナーシップにより GCP Marketplace で入手可能な Spresso は、その最もパワフルなアセットであるデータに基づいて小売業者が有意義な行動を起こせるようにすることを目的としています。

現実の問題に対処するため小売業者が構築した価格最適化ソリューション

Spresso の価格最適化ソリューションは、小売業者が抱える価格設定に関する課題に直接応える形で作られました。

このソリューションには、小売業者にとって魅力的な次のようなメリットがあります。

• コンバージョン率を損なうことなく、SKU レベルの収益性が高まる。

• 自社データの活用により、競合他社の価格設定ではなく、消費者の行動に基づく先を見越した価格決定が可能。

• リアルタイムの動的な価格設定により、サイトへのトラフィックを最適なプライス ポイントへ自動的にルーティングして、利益と顧客の支払い意欲のバランスを効果的に調整（常に大きな損失を回避）。

Spresso が初めて提供するマーケットプレイス サービスには、価格最適化に加え、企業が LTV を予測して顧客離れに対処できるよう設計された、顧客の価値評価および顧客維持モジュールが用意されています。データと高度な分析を活用して、先を見越した顧客維持戦略への移行をサポートします。

価格設定であれ顧客の維持であれ、企業が先を見越した戦略を採用できるようにすることが、Spresso の中心的なテーマです。実用的な分析情報を通じて、高度な分析を誰でも利用できるようにすることを使命とする Spresso のソリューションは、マーケティングから財務、マーチャンダイジング、データ サイエンスまで、ビジネスのあらゆる側面で先を見越した戦略を支援するよう設計されています。

Google がこのパートナーシップに期待している理由もまさにそこにあります。

GCP Marketplace ですぐに使える分析情報

Google Cloud を利用するという決断は、Spresso にとって簡単でした。Google Cloud は、他にはないプロダクト スイート、セキュリティ、パフォーマンス、スケーリングを Spresso にもたらします。

Spresso にとって GCP を利用することは、デベロッパーのベロシティ、スケーラビリティ、そしてこれまでにないセキュリティの向上を意味します。Google Kubernetes Engine のおかげで、Spresso チームは、クラウド管理ではなく、ソリューションに集中できるようになりました。これにより、イノベーション並みのスピードでプロダクトが進化し、反復処理を迅速に行い、必要に応じて新しいプロダクトや機能をリリースできるようになりました。

さらに、Google Kubernetes Engine には、自動クラスタ管理機能、自動スケーリング機能、そして組み込みセキュリティのベスト プラクティスが備わっているため、Spresso は堅牢でスケーラブルなソリューションを提供できます。

Google Kubernetes Engine に加え、Pub/Sub、Memorystore、Cloud SQL、Cloud DNS、Cloud Storage など、GCP が提供する一連のプロダクトは、プロダクトの構築とスケーリングを行うための中心的プラットフォームを Spresso に提供します。

小売業者にとって、Spresso が GCP で強化されたということは、ウェブサイトの処理速度を落とすことなく、最適化と価格の呼び出しを速やかに実行できることを意味します。Spresso は小売業者のビジネスに合わせてスケーリングできるため、小売業者は集客と収益性に集中できます。また、小売業者は顧客データの安全性を確保できるため、安心感を得られます。

Google Cloud の信頼できるパートナーである Spresso は、このソリューションから利益を得ようとする幅広い小売業者に高度な分析機能を提供できます。Spresso が GCP Marketplace に掲載されたことにより、価格の問題に対処して収益増加を促進する当社の実績あるソリューション「価格最適化モジュール」を、小売業者が簡単に入手できるようになりました。

多腕バンディット アルゴリズム

価格最適化モジュールの基盤は、多腕バンディット アルゴリズム（MAB）です。革新的でデータドリブンな文化で好まれるこの多腕バンディットは、ML アルゴリズムを利用して最もパフォーマンスの高いバリエーションにトラフィックを動的に割り当て、パフォーマンスの低いバリエーションへの割り当てを回避します。

MAB がデータドリブンな文化で好まれる主な理由の一つは、複数の目標に対して最適化できることにあります。Spresso の場合、価格最適化ソリューションは、コンソール内で設定した目標に沿ってコンバージョン率と利益のバランスを取ります。

仕組み

MAB はデータ サイエンティストに愛用されていますが、Spresso の価格最適化ソリューションのメリットを享受するのにデータ サイエンティストである必要はありません。Spresso アプリは、小売業におけるあらゆるビジネス機能で簡単に使用できるよう設計されています。マーチャンダイジング チームにとっては特に有効なツールです。ビジネスに関する知識に基づいて商品の最低価格と最高価格を設定し、コンバージョンと利益の望ましいバランス、つまり目標を指定するだけでよいのです。

バンディットは、指定された範囲内で均等に振り分けた 5 つのプライス ポイントを決定すると、直ちに小売業者のウェブサイト上で均等にそれらのプライス ポイントを消費者に表示します。

その後、コンバージョン率が最も高い、利益を最も生み出しているなど、アプリ内で設定した目標に沿ったプライス ポイントをリアルタイムで特定し、そのプライス ポイントへのサイト トラフィックを増やすよう動作します。

バンディットは常に有効です。データ探索が止まることはありません。他のプライス ポイントへのトラフィックも少ない比率で維持されます。

そのため、何かが起きて消費者が急に高い価格でもお金を払うようになった場合、バンディットはその変化を認識して動的に対応し、最もパフォーマンスの良い新しいプライス ポイントに合わせて調整します。

しかも、実装は簡単です。イベントデータ、カタログデータ、価格設定のための Spresso の呼び出しの 3 つを入力するだけで実装できます。

Spresso 初期の顧客成功事例

マクロ経済が不安定でサイトへのトラフィックが減少しているにもかかわらず、e コマース小売業者の Boxed は、Spresso Insights を活用することにより、コンバージョン率を維持しながら利益率を高め、年間 300 万ドル以上の増分利益を獲得しました。

最近のケーススタディでは、Boxed は利益率の低い 550 の SKU に Spresso の価格最適化モジュールを使用しました。季節要因からこれらの商品へのトラフィックは減少することがわかっていたため、予想される利益への影響を抑えたいと考えたのです。Boxed は、Spresso のコンソールでコンバージョン率を維持しながら利益を増やすという目標を設定しました。

2 か月足らずで、価格最適化ソリューションは 550 の SKU の利益率を 0.8% から 5.1% に高めると同時に、同じコンバージョン率を維持し、Boxed の年間収益を数百万ドル増やすことに成功しました。

「この前の四半期は粗利益を 88% 増やすことができましたが、その重要な部分を Spresso の価格最適化バンディットが担っていました。しかも、この利益はコンバージョン率やカスタマー エクスペリエンスを犠牲にすることなくもたらされました。スイッチを入れるだけの簡単な操作で、ビジネスの中に隠れていた文字どおり数百万ドルを発見することができたのです。このソリューションはわずか数日で投資回収を実現しました。過去に投資してきた他のソリューションでは見られなかったことです」と、Boxed の CEO である Chieh Huang 氏は語っています。

Boxed の e コマース担当プレジデントの Alison Weick 氏もこう同意しています。「Spresso の価格最適化ソリューションは、マーチャンダイジング チームの秘密兵器です。手動でのスクレイピングから解放され、データを活用して、お客様の気持ちを捉えているという裏付けのある価格設定ができるようになりました。」

適切な価格を設定する

小売業界は進化し続け、複雑な価格戦略に立ち向かっています。小売業者が競争力を維持するには、革新的なソリューションが必要であることは明白です。

Spresso の価格最適化モジュールにより、小売業者は価格戦略をコントロールし、SKU レベルで収益性を高めることができます。自社データとリアルタイムの最適化を活用することで、小売業者は利益とコンバージョン率の適切なバランスを取ることが可能となります。

また、Google Cloud の信頼できるパートナーであるという利点もあるため、小売業者は Spresso プラットフォームのセキュリティ、パフォーマンス、スケーラビリティを信頼できます。

小売業者の皆様は、このソリューションを実際にお試しいただけます。詳細については、GCP Marketplace の Spresso の掲載内容を確認するか、こちらの Spresso ウェブサイトをご覧ください。

- Spresso、最高収益責任者 Anna Meyer 氏