ウェイン州立大学と Syntasa: AI で公衆衛生評価を変革
Austin Adams
Director, Partners, Google Public Sector
Michael Finn
SVP of Public Sector, Syntasa
※この投稿は米国時間 2025 年 12 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
公衆衛生においては、地域のニーズを明確に把握することが重要です。このような情報があれば、重要な資金を確保し、新しい取り組みを開始して、最終的に人々の生活を改善できます。
このような考えから着想を得て、ウェイン州立大学の救急医学教授であり、公衆衛生およびトランスレーショナル サイエンス担当のアソシエイト副学長である Phillip Levy 医学博士とその同僚は、プロジェクト PHOENIX: the Population Health OutcomEs aNd iNnformation eXchange を立ち上げました。PHOENIX は電子カルテから属性データ、血圧、臨床診断などの情報を取り込み、それを 70 種類を超える匿名化されたデータソースからの社会的要因や環境要因と統合して、仮想ウェアハウスに格納します。研究者、アドボケイト、コミュニティ リーダー、政策立案者は、このデータを使用して、さまざまな要因と健康状態との関連性について理解を深め、的を絞った対策を策定できます。
PHOENIX チームは、この機能を利用して、地域医療ニーズ評価(CHNA)プロセスを変革できる可能性があることに気が付きました。米国では、連邦政府、公衆衛生部門、非営利医療法人、連邦政府認定の医療センターは、3 年ごとの CHNA の実施が連邦政府により義務付けられています。CHNA のほとんどの作業は手動による時間のかかるもので、完了までに 1 年要することもあります。
そこで、ウェイン州立大学、Google Public Sector、Syntasa がコラボレーションして、このような重要なレポートの作成にかかる時間を大幅に短縮する革新的なソリューション、CHNA 2.0 を開発しました。PHOENIX のデータと Vertex AI Platform を組み合わせた CHNA 2.0 を使えば、数週間で完全な CHNA レポートを作成できるため、医療機関のリーダーはこれまでよりも迅速に貴重な分析情報を入手できるようになります。
一般公開データからコミュニティの感情を抽出
CHNA レポートの作成において最も困難なプロセスの一つは、コミュニティの状況を把握するために詳細な調査を実施することです。それは通常最も時間がかかるプロセスでもあり、有益な情報につながるアンケートの作成、レビュー、実施、分析には数か月かかっていました。CHNA レポートが完成する頃には、アンケートのデータはほぼ 1 年前の古いものとなっており、組織はコミュニティに対して価値あるインパクトを生み出せない場合がありました。
CHNA 2.0 では、PHOENIX ウェアハウスの公衆衛生データとともに、Syntasa Sentiment Analytics の分析情報を利用します。Syntasa Sentiment Analytics は、アンケートの情報と、Google 検索およびソーシャル メディアの投稿からのリアルタイム データを組み合わせます。Syntasa Sentiment Analytics により、人々がどのような質問をしており、どのような問題に関して投稿しているかについて分析情報を入手でき、喘息への懸念の高まりや病院での待ち時間に対する不満など、特定のコミュニティに影響を及ぼしている医療関連の問題を明らかにできます。
このソリューションのアーキテクチャは、Syntasa Data + AI Platform 上に構築されています。ワークロードは Google Kubernetes Engine(GKE)で実行することにより拡張性を確保し、プラットフォームが入手した感情データを迅速に処理できるようにしています。また、このプラットフォームはデータ基盤の一部として Cloud SQL と Google Cloud Storage を使用し、BigQuery が負荷の大きい感情分析を担っています。BigQuery は、検索とソーシャル メディアの情報からなる大規模なデータセットを効率的に処理するうえで必要なパフォーマンス、効率性、汎用性を備えています。


人間と AI が力を合わせてレポートを作成
必要な情報を収集した後、CHNA 2.0 は Vertex AI と Gemini を使用して、アナリストがレポートを短時間で作成できるようにします。CHNA レポートは非常に複雑でページ数も多く、複数のデータ要素を手作業で取り込む必要があります。Syntasa はレポートを扱いやすい小さなタスクに分解して、人間による監督をプロセスの中に組み込むことにより、この問題を解消しました。
これにより、CHNA の担当者がレポートの構造を定義すれば、Gemini がカスタマイズされたデータセットから分析情報を抽出し、関連する詳細情報を入力します。人間と AI の両方のインテリジェンスを組み合わせることにより、CHNA 2.0 はわずかな時間でレポートを作成できます。
また、組織はこの方法を使用して、常に最新のデータをもとに更新される生きたドキュメントを作成することもできます。つまり、公衆衛生当局の担当者は、コミュニティについて把握するために何年も待つ必要はなくなり、いつでも最新の分析情報にアクセスして、より迅速かつ効果的な意思決定ができるようになります。その結果、CHNA プロセスは静的なプロセスから動的なプロセスへと変わり、すべての人の生活を改善する、リアルタイムのデータドリブンな意思決定が可能になります。
テクノロジーで公衆衛生をサポート
ミシガン州のディアボーン市は、CHNA 2.0 を使用して大きな成功を収めた最初の市です。長期的な目標は、この機能をミシガン州の他の都市や郡、そして全国に広げることです。
ウェイン州立大学と Syntasa との連携で実現したこのプロジェクトは、適切なテクノロジーと戦略的パートナーにより、長年にわたる公共部門の課題に対してパワフルでスケーラブルなソリューションを構築できることを示しています。ウェイン州は Google Public Sector と連携して最先端の AI とデータツールを活用することで、重要なプロセスを自動化しただけでなく、公衆衛生当局の担当者がコミュニティにより良いサービスを提供できるようにしました。
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-Google Public Sector、パートナー担当ディレクター Austin Adams
-Syntasa、公共部門担当シニア バイス プレジデント Michael Finn 氏

