Google Cloud と STS による米国海軍のテクノロジーが、国防総省の枠を越えた拡大を推進
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
米国海軍は、船舶のさびや腐食の対策に、毎年莫大な金額を費やしています。船舶の大部分が鋼鉄でできていることを考えれば、これはもちろん想定内のことです。しかし、船舶、航空機、車両の検査は、米国海軍の機能を最高状態に維持するためには不可欠ですが、時間がかかります。
この問題に対処するために、Google Cloud とSimple Technology Solutions(STS: 連邦政府向けクラウド ソリューションを専門とする小規模な 8a HUBZone 企業であり Google Cloud パートナー)は、海軍省(DON)の小規模企業イノベーション リサーチ プログラムの資金を受けて、船舶の確認困難箇所のさびと腐食の特定をサポートするプロジェクトの第 1 段階を無事に完了させました。第 1 段階が無事に完了した今、STS と Google Cloud のチームは、第 2 段階を始動させています。
第 1 段階では、STS が Google Cloud の人工知能 / 機械学習(AI / ML)プラットフォームを使用して、腐食検出および分析ソリューションを構築しました。チームは、Google のネイティブのコンピュータ ビジョン機能と市販のドローンを利用して、船舶の航空画像から「重要な腐食」を特定することに成功しました。信頼スコアは 90% を超え、誤検出はほとんどありませんでした。このエンジニアリング上の功績を実現するには、新たに出現したソフトウェア テクノロジーとハードウェア テクノロジーの複雑な統合が必要でした。
プロジェクトの第 2 段階では、必要とされるあらゆるプラットフォーム全体で同等の腐食検出能力を達成することを目指します。そのために、ソリューションを拡大して、国防総省(DoD)全体の航空機、建物、橋、その他のインフラと、石油・ガス、建設、海運などの民間業種を含めます。
第 2 段階で STS は、商用化と迅速な市場投入を優先課題としながら、フロントエンド ユーザー インターフェース(UI)もソリューションに追加します。UI にはプラットフォームのインタラティブ 3D モデルが含まれ、激しい腐食の検出を、船舶または航空機上の正確な位置にマッピングします。これにより、検査担当者が現場で個別にソリューションを使用し、作業場所の優先順位付けを最適化することが可能になります。
海軍省の海軍事業持続テクノロジー チーム リーダーである Steve McKee 氏は、次のように述べています。「プロジェクトの目標は、船舶、航空機、車両のみを対象としていたのではなく、業種を越えてあらゆる形態の腐食を完全に克服することに置いていました。腐食は海軍や国防総省に特有の問題ではありません。防衛産業、海運、航空、鉱業などにも関係があります。このソリューションが大きな反響を呼ぶであろうセクターは、無数にあります。防衛エコシステム全体にメリットがあると確信しています。」
AI / ML プラットフォーム検出および分析機能の拡大は、エンジニアリングの課題としては複雑であり、大規模な新しいデータの収集、センサー機能の拡大、新しいアルゴリズムが必要になります。たとえば次のようなものです。
新しいデータの収集: STS は、民間のドローン飛行サービス会社 DroneUp と提携し、半自律型ドローンを使用して新しいプラットフォームの腐食画像を収集します。DroneUp は、データ収集の自動化に加え、船舶やタンクの外部だけでなく内部も可視化します。新たなモデルのトレーニングを促進するために、海軍省、空軍省、その他の連邦政府機関における複数のグループが、プラットフォームを越えた腐食データの発見に貢献しています。このコラボレーションは、腐食の検出と検査が広範囲に共通する課題であることを示す証です。
センサー機能の拡大: 画像や RGB カラーモデルとカメラセンサーのデータだけでは、すべてのプラットフォームでの腐食の検出には十分ではありません。たとえば、航空機では一般に、厚く塗られた塗料に腐食が隠れているため裸眼では確認できず、赤外線またはマルチスペクトル センサーが必要です。同様に、潜水艦と船舶では、無響タイルが使われていたり、表面がゴムで覆われていたりします。プラットフォームに依存しないようにして、商用化の見込みを最大限に高めるためには、「センサーデータのエコシステム」が必要です。
新しいアルゴリズム: 多様なセンサー入力に対応して新しいデータ テクノロジーとモデルが開発され、いずれソリューションに取り入れられます。また、既存のモデルも、検査担当者の活動に優先順位を付ける分類スキーマを含むよう改良されます。
AI / ML とドローン画像を組み合わせたこのアプリケーションは、このテクノロジーについて、国防総省の枠を越えた多くの可能性の一端を示しています。このコラボレーションが第 2 段階に続く中、Google Cloud と STS は、この腐食検出モデルをさらに拡大する方法に向けて引き続き努力し、最終的には、全タイプのインフラを網羅して腐食に対するプロセスを改良します。
プロジェクトの詳細については、事例紹介をお読みください。
-Google Cloud グローバル公共部門担当バイス プレジデント Mike Daniels