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Public Sector

Google と National Science Foundation がクラウド リソースへのアクセスを拡大

2021年4月8日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

コンピューティング パワーやトレーニング リソースをより公平に利用できるようにするという公約の一環として、Google Cloud は、National Science Foundation(NSF)が新たに創設した Computer and Information Science and Engineering Minority-Serving Institutions Research Expansion(CISE-MSI)プログラムというイニシアチブから資金援助を受けたプロジェクトに対して研究クレジットとトレーニングを提供します。このプログラムは、マイノリティ受入大学(MSI)の研究能力を支援するため、資金援助の対象となる研究を NSF の CISE 局のプログラムでサポートされている範囲に広げるものです。研究範囲には、次の CISE プログラムの適用対象となる研究が含まれます。

このプログラムを創設するにあたり、CISE はまず MSI に注目しました。MSI には、黒人大学、ヒスパニック系学生受入大学、部族大学が含まれます。MSI は多様性の受け入れの中心的存在であり、革新の促進、コンピュータ、情報科学、エンジニアリング分野での現在および将来の学部生 / 大学院生の人材育成、米国の長期的な競争力強化を担っています。この初回応募の申込期限は 4 月 15 日です。

NSF は、ほとんどの科学、エンジニアリング分野の研究や教育に資金を提供しており、その額は米国が学術機関に対して実施している基礎研究支援の約 4 分の 1 を占めます。2017 年以来、Google は NSF と協力してクラウド リソースや研究機会へのアクセスを拡大しています。NSF の BIGDATA 資金援助プログラム には 300 万ドルの Google Cloud クレジットを提供しました。また、National AI Research Institute for Human-AI Interaction and Collaboration を支援するために 500 万ドルの資金を拠出することを確約しています。さらに、NSF の CloudBank に参加しているクラウド プロバイダの一員として、NSF の資金援助を受けた研究者がクラウドを利用しやすくなるように継続的に取り組んでいます。

より詳しく: Google / NSF の Q&A

このパートナーシップについて詳しく知るため、Alice Kamens(Google の高等教育機関担当戦略的プロジェクトおよびプログラム マネージャー)と、Fay Cobb Payton 博士(NSF の CISE 局のプログラム ディレクター)にお話を伺い、この新しい CISE-MSI 資金援助イニシアチブが重要である理由を説明していただきました。

この新しいプログラムを始めようと考えたきっかけを教えていただけますか?

Payton 博士: NSF のアワード ポートフォリオを評価したところ、CISE 局で提供している各種研究プログラムに参加しているマイノリティ受入大学の数が少なく、この点を改善できないかと考えました。2019 年と 2020 年に一連の CISE-MSI ワークショップを開催し、HBCU、HSI、TCU の教員にどのような支援があればよいかについて話を聞きました。これはトップダウン式のアプローチではなく、実際にコミュニティ主導のものでした。

Kamens: 同時期に、Google でも私たちの研究資金援助イニシアチブを評価しており、同じようにマイノリティ受入大学がプログラムに十分に取り込まれていないことに気づきました。MSI の研究者や教員にも Google のリソースを利用してもらいたいと考えていました。そんなとき、NSF が近々 MSI-RE プログラムを開始するという噂を聞き、Payton 博士 に会ってこのプログラムのキャパシティを拡大するためにどのように協力できるかを話し合いました。

Payton 博士: これについて、多くの同僚と議論を交わしました。たとえば、CloudBank プロジェクトのプログラム ディレクターを務める Deep Medhi、CISE の副アシスタント ディレクターの Erwin Gianchandani をはじめとする CISE のリーダー、それからコンピュータおよびネットワーク システムの部門ディレクターである Gurdip Singh などです。彼らとの議論を元に、MSI 内、および複数の MSI にわたる研究能力と研究パートナーシップの構築に焦点を合わせることに決めました。既存の CISE パートナーシップに基づき、基礎研究に携わる次世代の人材を掘り起こしてトレーニングを行う道を作ろうと考えたのです。

MSI や研究者にとっての主なメリットは何ですか?

Payton 博士: NSF は、前述のいずれかの CISE プログラムに従事していて、CISE-MSI の応募要項で指定された条件を満たす研究者に約 700 万ドルの資金を提供します。このプログラムは異種交流を奨励しています。交流の形は、異なる大学タイプや研究者間の交流でも、あるいは MSI での仕事量が原因でチャンスが得られない教員、特に学生の指導の比重が高くて研究に手が回らない教員同士の交流でも、どちらでもかまいません。

Kamens: Google は、研究責任者(PI)1 人あたり最大 100,000 ドルの Google Cloud クレジットと、35,000 ドル分に相当するクラスルーム形式のライブ ワークショップによるトレーニングを提供します。これらのマッチング クレジットにより、個々の PI が受け取ることができる援助総額が拡大されます。また、ワークショップは、クラウド技術の基礎、高度なスキル、教員が自身の研究にクラウドを取り入れるためのカリキュラムやトレーニングをカバーしています。

このプログラムは現在から将来にかけてどのような影響をもたらすと期待されていますか?

Payton 博士: 短期的に見ると、今年は初回募集として 10~15 件の研究案に資金が提供されます。長期的には、単に提出された研究案に資金を提供するだけにとどまらず、研究者のキャリア全体を通して研究者との関わりをもっと深めることができれば、と考えています。NSF では、科学に携わる人々に、CAREER アワード、コンピューティング ワークショップ、レビュー パネル サービスなどの幅広い機会を提供しています。プログラム ディレクターとの関係を確立することは本当に重要です。CISE では継続的に「ミニラボ」を開催し、MSI の研究者と CISE のプログラム ディレクターとの関係構築の促進に取り組んでいます。

Kamens: Google では、研究者の方々から、「クラウド コンピューティングを使用すればある問題の答えが数日ではなく数時間で得られるので、研究の進め方が根本的に変わる可能性がある」という声をよく聞きます。私たちの目標は、学界において発見に至るまでの時間を短縮し、最先端の研究を加速させることです。Google にとっては、大学のタイプや規模にかかわらず、すべての研究者が必要なリソースにアクセスでき、各自の研究を加速させるのに適した形で Google Cloud を活用できることが何よりも重要となります。

今後はどのようになるとお考えですか?

Kamens: 今後数年のうちに、クラウドは人間のさまざまな営みの原動力になると思います。研究者や従業員から教員、学生に至るまで、私たちすべてがクラウドのパワーをうまく使いこなせるようになる必要があります。

Payton 博士: これは NSF の支援活動のほんの始まりにすぎません。私は、今回の募集はバージョン 1.0 であると考えています。次回に向けた改善案はすでに提示されています。

詳細については、NSF の Computer and Information Science and Engineering Minority-Serving Institutions Research Expansion プログラムの募集要項をお読みになり、4 月 15 日までに応募してください。このパートナーシップの発表については、NSF の Dear Colleague レターをご覧ください。情報提供ウェブセミナーと、米国工学教育協会による応募者向けの研究案作成ワークショップをダウンロードできます。クラウド コンピューティングの費用を見積もるには、CloudBank のリソースページをご覧ください。

Google Cloud では、日本、韓国、マレーシア、ブラジル、メキシコ、コロンビア、チリ、アルゼンチン、シンガポールでも、適格なプロジェクトに対するグローバル研究クレジット プログラムを拡大しています。お客様独自のプロジェクトを開始または強化するには、応募フォームをご確認ください。


免責事項: このブログ投稿で NSF を取り上げているのは、あくまでも資金援助の機会に関する情報を提供するためです。Google が同機関、またはその製品やサービスを推奨しているわけではありません。

-Google Cloud 教育担当戦略およびオペレーション リーダー Katie Berlent

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