造船所に橋を架ける?Google Public Sector が米国海軍のコラボレーション推進をサポート
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 12 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
地球規模で常時活動を続ける米国海軍にとって、国やタイムゾーンをまたぐ、チーム間での安全で確実なコラボレーションは必須です。常時、約 100 隻の艦船に配置されている米国海軍所属の 5 万人の搭乗員にとってはなおさらのことです。搭乗員は、日常的な保守作業から艦船の重大な修理作業に至るまで、あらゆることについて地域の造船所との間で連絡を取り合う必要があります。
Google Public Sector は、横須賀と佐世保にある「米海軍横須賀基地艦船修理廠及び日本地区造修統括本部(SRF-JRMC)」の施設に対してサポートを行い、米国海軍海洋システム コマンド(NAVSEA、米国海軍に属する 5 つの「システム コマンド」のうち最大の規模を誇る)を直接支援しています。NAVSEA では、Google の対脅威保護機能とゼロトラスト機能を備えた Google Workspace を使用することで、SRF-JRMC と世界中の海軍関係者が、効果的で安全、かつコンプライアンスの確保されたコラボレーションを行えるようにしています。
SRF-JRMC の施設で働く人々には、特徴的な 2 つの課題がありました。1 つ目の課題は、コラボレーションとコミュニケーションのチャネルが効果的に機能していない点にありました。Google Workspace がデプロイされるまで、日本にいる海軍士官がセキュリティで保護された接続を使って通信するには、基地内にいる必要がありました。また、通信が行われるのは通常、時差の関係から深夜でした。こうした問題は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行によりスタッフの移動に制約が生じたことで、さらに深刻になりました。
2 つ目の課題は、言語の壁です。基本労務契約(MLC)に基づき 3,000 人の日本人従業員が SRF-JRMC の造船所で重要な業務を担っていることから、指導的立場にある海軍関係者は、日本語を母語とする相手ともっと簡単にコミュニケーションを取れる方法を必要としていました。この障壁がなくなれば、業務の遂行がより速く、より効果的になり、コラボレーションにより適した環境になるはずです。
安全なコラボレーションを可能に
米国海軍は Google Public Sector と連携して Google Workspace を SRF-JRMC で利用できるようにしました。現在、Google Workspace は海軍の造船所で行われている業務を支えています。Google Voice の安全なボイスオーバー インターネット プロトコル(VoIP)通話オプションを使えるようにしたことで、職員がオンサイトでも家でも通話やセッションに加わって、大陸をまたいで安全かつ確実にコミュニケーションを取れるようになりました。さらに、Google Meet の英語から日本語への字幕翻訳機能といったソリューションを早期アクセスで利用することで、ミーティング中にリアルタイム翻訳を行って言語の壁を取り除けるようになりました。このプラットフォームを利用することで、国固有のダイヤルイン番号を使って面接ができるようになるため、米国海軍は電話料金を毎月何千ドルも節約できます。
また、Google ドライブや Google ドキュメントなどの Google Workspace ツールも人事ワークフローの単純化に役立ち、造船所で働く現地日本人従業員の採用を効率的に行えるようになりました。共有 Google ドライブを設けることで、NAVSEA チームの中で複数のファイルを送受信する必要がなくなり、オンプレミスの保存容量を最小化できます。さらに、Google ドキュメントを使用することで、海軍で働く人々の間、および採用候補者との間で、どのデバイスでも安全にコミュニケーションを取りコラボレーションを行うことができます。
SRF-JRMC の最高情報責任者 Peter Guo 氏は次のように話します。「この施設は、海外にあるものとしては米国海軍最大の艦船修理廠で、ここでは運用上の即応性と継続性が最も重視されます。クラウド コラボレーションの機能を利用することで、大陸を越えてシームレスで安全な接続を行うことができ、同僚間の言語障壁を地球規模でなくすことができます。時間や場所を問わずに業務を遂行する能力が強化されました。特にネットワークの機能停止時や自然災害の発生時に、安全にコミュニケーションと連携を行う能力が増しました」。
パンデミックへの対応を支援
COVID-19 が世界的に流行する中、Google for Government の各種 Workspace ソリューションも、先行き不透明な時期に SRF-JRMC のコミュニケーションやコラボレーションを支える、価値あるツールを提供する有益なソリューションとなりました。SRF-JRMC の IT 部門は、Google Workspace のデプロイに加えて、COVID-19 パンデミック対応ダッシュボードを作成しました。これは COVID-19 の大流行に関する日本と世界各国のオープンソース データを集約し、最新のガイダンスを表示するものです。彼らは、Looker Studio を使用して 2 時間足らずでダッシュボードを構築し、地域の入院患者数を追跡するために、自動化されたデータ収集プロセスを活用しました。サイトが構築されるまでは、NAVSEA チームはこの情報を何時間もかけてコンパイルしていましたが、今ではリアルタイムで情報を得られます。
Guo 氏は次のように話します。「このダッシュボードができたことで、COVID-19 の最新情報に関する冗長な週例ミーティングを大幅に減らし、手作業でデータを集めてスライド資料で報告する時間を、週あたり 10 時間以上も節約できました。さらに、この機能を使うことで、指導的立場にある者がリアルタイムにデータドリブンな決定を下し、必要とされるリスク低減措置を講じることができるようになりました。造船所中のスーパーバイザーがこのウェブサイトをいつでも参照し、健康に関する措置を追加的に講じて、COVID-19 の感染拡大を最小限に抑えることができるのです。米国海軍が日本に持つ 2 箇所の造船所では 1 分 1 秒が貴重なため、これは業務の効率化に大きな影響を及ぼすことになりました。また搭乗員の安全も確保されるようになりました」。
最善のツールを提供するということは、政府内外を問わず多くの人々の生活や仕事をより豊かなものにすることを意味します。インシデントの発生時および発生後、政府機関が業務の継続に必要なコミュニケーション ツールやコラボレーション ツールを使い続けることができるように、Google は連邦政府、州政府、地方自治体を対象としたワークショップも開催しています。詳細については、米国国防総省向け Google for Government ソリューションと、政府および行政機関向け Google Workspace をご覧ください。