2023 年 Google Cloud カスタマー アワードの行政機関と教育部門の受賞者を発表

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
テクノロジーを活用して市民への奉仕に献身的に取り組んでいる公共部門には、感謝の気持ちが絶えません。今年の Google Cloud カスタマー アワードの行政機関部門と教育部門の受賞者には、アメリカ合衆国全土から 8 つの組織が選ばれました。いずれの組織もそれぞれのコミュニティにおいて、意義のある変化を生みポジティブな影響を残すための、新たな基準を打ち立てようとしています。
受賞組織は、Google Cloud のプロダクトやソリューションを活用して、意義深いアイデアからミッション推進のための具体的な変化を生み、イノベーションを引き起こす優れた能力を示しました。公共部門の受賞者となった 3 つの組織が、業界別の部門での受賞に加えて、テクノロジーによる社会貢献アワードという特別な栄誉を受けました。このアワードの概要は下部でご紹介しています。


Google Cloud カスタマー アワード受賞者: 行政機関部門
受賞者: 連邦緊急事態管理庁(FEMA)。災害への備えと災害支援の提供は、FEMA と 連邦保険・被害軽減部(FIMA)のミッションの核心です。災害という状況下での保険管理、特にアメリカで最も頻繁に起こる自然災害であり、損害額も大きい洪水の場合の保険管理は、技術的に非常に複雑です。連邦洪水保険プログラムでは、建物や家財の洪水保険の保険料算出から、凖リアルタイムの請求処理の追跡まで、あらゆることを Pivot と呼ばれるシステムで管理しています。しかし、進行中の災害支援や緊急事態に対応しつつ、ソフトウェア管理のコストを削減しイノベーションを育む態勢も保つという FEMA の目標の一部として、今後も最新テクノロジーを使用できるようにするためには、システムのクラウド移行が必要でした。この移行により、リアルタイムでのモニタリング、安定性の向上、より幅広いツールや機能の利用など、数多くの改善への道が開かれました。その結果、現在の Pivot はプログラムの要件をより効率的にサポートできるようになり、災害支援の取り組みの効果が大きく高まりました。
受賞者: 合衆国郵便公社(USPS)。郵便公社(USPS®)は、アメリカ住民への遅延のない郵便物の配達を担っています。特に給与小切手や医薬品、その他必需品など、重要な郵便物についてはその使命はひときわ重要です。需要や期待の高まりに対応する必要があると気付いた USPS は 2014 年に、Informed Delivery というメール登録サービスを立ち上げました。Informed Delivery は、登録会員に配達予定の荷物について通知するサービスです。現在このサービスには約 5,900 万人が登録しており、その数は増え続けています。USPS はより良いサービスを利用者に提供するために、Informed Delivery を Google Cloud に移行しました。この移行後、Google Cloud のサービスを活用できるようになったことで、登録サービスの機能の拡充や事業実績の実態調査が可能になりました。USPS では、今後も Informed Delivery の拡大と改良を続けながら、住民の期待に応えられるような高品質の配達サービスを提供していくための体制が十分に整っています。
受賞者: 空軍研究所(AFRL)。AFRL では、契約スタッフや一般市民、軍関係者など 1 万 3,000 人が働いており、スムーズな連携やコミュニケーションが必要です。過去には官僚主義や時代遅れの IT システム、スピードの出ないデータ転送などにより、研究や伝達が妨げられることもありました。Google Cloud への移行の取り組みは、最初は 2 人の研究者によって始まりましたが、あっという間に 2,000 人を超える研究者を巻き込むまでに広がりました。古いコラボレーション ツールを Google Cloud と Google Workspace に置き換えることで、世界中の同僚たちとの共同作業の際、週に 50 万時間を節約していると研究所では試算しています。AFRL の研究者は今では安心してセキュアな情報を共有し合い、よりスピード感をもってイノベーションを促進できるようになっています。
受賞者: ハワイ州福祉局(DHS)。ハワイ州の DHS にとって成功とは、自給自足を促し、個人や家族、そしてコミュニティの健康増進を図ることです。このミッションの鍵となるのは、州の住民がなにか知りたい場合に、すぐに答えにたどり着けるようにすることです。2022 年、ハワイ州の DHS は Statewide Branch Support Desk(SBSD、州全域出張サポートデスク)を導入するため、Google Cloud と連携しました。年中無休の 24 時間対応で運営される SBSD の特徴は、1 日あたり 1,200 件の問い合わせに対応できる仮想エージェントです。これにより、費用の削減と迅速なサービス提供、そして応答時間の短縮が実現できました。仮想エージェントは、補助的栄養支援(SNAP)や貧困家庭一時支援(TANF)などのプログラムについての基本的な情報を提供します。仮想エージェントが問い合わせに対応し正確な情報を提供することで、コールセンターのエージェントは、人間による対応が最も求められる領域に集中して取り組めるようになっています。
Google Cloud カスタマー アワード受賞者: 教育部門
受賞者: ソーク生物学研究所。ソーク研究所は傑出した研究機関であり、扱うデータも膨大な量です。しかしデータ量が豊富だからといって、より多くの科学的知見が得られることにはなりません。この課題に対処するため、ソーク研究所は、インフラストラクチャ全体をクラウドに移行して大量のデータの処理と保存を簡素化するという 5 か年計画に乗り出しました。研究所では現在、数百テラバイトに及ぶ元データのシーケンシング時に複数のバッチジョブをスムーズに処理するために、Google の仮想マシンを採用しています。この計画に期待される成果には、コンピューティング費用の 25% の削減と、1 億 2,600 万ドルの NIH 助成金の獲得が含まれます。この助成金は、人間の脳について初となる包括的なエピゲノム ベースの分子マップの作成に対するものです。人間の脳の分子マップを作成するには、マウスの脳の場合より 20 倍も多くのデータを処理する必要があります。研究所の新しい Google Cloud インフラストラクチャは、その達成に不可欠な要素です。
テクノロジーによる社会貢献のアワード
3 つの州政府機関が、テクノロジーによる社会貢献のアワードを獲得しました。部門はソーシャル チェンジ、サステナビリティ、そしてダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンです。それぞれの分野のリーダーとして頭角を現したこれらの受賞組織は、非公共部門の競合と比べても優れています。これらの組織によって、より発展的な未来への道が共同で形作られています。
Google Cloud カスタマー アワード受賞者: ソーシャル チェンジ アワード
受賞者: ハワイ州運輸局(HDOT)。自然災害と異常気象に向き合う中で、回復力の切実な必要性を認識した HDOT は、気候関連の課題からコミュニティが受けた影響に適応、対応し、またその影響から回復するための気候戦略に投資してきました。その注目すべきアプローチの一つが、Google Cloud の Climate Insights ソリューションを、強化したデータ モニタリング機能と組み合わせて州全体で使用することです。州全体の追跡システムを Climate Insights と統合することで、HDOT は脆弱性をいっそう可視化し、改善に向けた適応性のあるアクション プランの策定を促すことができました。このプランには、リスクとリソース割り当てへの理解を深めるための Climate Resilience Platform(気候変動レジリエンス プラットフォーム)の確立も含まれています。
Google Cloud カスタマー アワード受賞者: サステナビリティ アワード
受賞者: ニューヨーク州環境保全局(NYSDEC)。ニューヨーク州環境保全局(NYSDEC)は、地域の複雑な大気汚染の管理を担っています。同局は、州全体のコミュニティで大気の質と温室効果ガスをモニタリングする取り組みを、Aclima および Google Cloud とのコラボレーションで実施しています。現地の大気汚染の原因を調査するために、大気の質や温室効果ガスの測定値を何十億も収集する必要があり、これに Aclima の移動式モニタリング フリートを活用します。この取り組みの目標は、区画ごとに大気汚染物質データを集めて、大気汚染による負担の不均衡につながっている原因の特定に役立てること、そして気候変動のもとになっている温室効果ガスなど、コミュニティ内の大気汚染物質を低減するための戦略を立てることです。
Google Cloud カスタマー アワード受賞者: ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン アワード
受賞者: ミネソタ州公安局(MN DPS)。ミネソタでは住民の 10% 余りが英語を話しません。そのため、新たに移り住んだ難民などの一部のグループは、車を運転するための要件を満たすうえで課題があります。ミネソタ州公安局は、言語の壁によって、これらのグループは必須の保険への加入や REAL ID 準拠の運転免許証の取得を阻まれ、移動やサービスの利用を制限されていると認識しています。そこで MN DPS は Google Public Sector とのコラボレーションにより、同州のサービスに Google Cloud Translation AI を導入しました。住民が英語だけでなくスペイン語、ソマリ語、モン語でサービスを利用できるようにするためです。この取り組みは、これまで適切なサービスを受けられていなかったミネソタ州民への公平なサービス提供を促し、ミネソタ州を誰もが豊かに生きる機会を得られる場所にするために役立っています。
2023 年のアワードを受賞した皆様、おめでとうございます。行政機関部門と教育部門の Google のお客様が、今後もそれぞれのミッション達成を目指し、次世代のイノベーションをリードしていくことを楽しみにしています。Google Cloud が多くの機関に選ばれている理由については、行政機関のお客様成功事例のページをご覧ください。