インディアナ州運輸局は、Google AI を使用して 30 日間で遂行する必要のある州知事命令に対応し、360 時間の手作業を削減

Brad Hoffman
Director, State, Local, Higher Ed Central, Google Public Sector
Alison Grand
Deputy Commissioner and Chief Legal Counsel, Indiana Department of Transportation
※この投稿は米国時間 2025 年 9 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
公的機関は、より迅速かつアジャイルな運用をすべく高まり続けるプレッシャーにさらされていますが、多くの場合、数十年分のレガシーデータによって妨げられています。厳しい納期を守り、義務を果たすために不可欠な重要な情報が、膨大な非構造化ドキュメントのコレクションに埋もれていることがよくあります。組織の知識を実用的な分析情報に変換するという課題は、モダナイゼーションへの道のりにおける共通のハードルです。
インディアナ州運輸局(INDOT)は最近、まさにこのシナリオに直面しました。Mike Braun 州知事による州知事命令 25-13 に従い、すべての州機関は、行政の効率性に関する報告書を 30 日以内に完成させ、すべての法定責任をその主要な目的に対応付けるよう指示されました。INDOT にとって、この報告書を完成させるために必要な重要な情報は、編集可能なドキュメントと静的なドキュメントに混在していました。何十年分ものポリシー、手順、マニュアルが局内の複数のサイトに散らばっていたのです。手作業でのレビューには数百時間かかると予想され、期限に間に合わせるのはほぼ不可能でした。この厳しい納期のため、データ処理と報告書生成に革新的なアプローチが必要でした。
INDOT のリーダーは、複雑な課題を変革の機会と捉え、AI を活用したソリューションを構想しました。そこで同機関は、既存の Google Cloud 環境でパイロット プログラムを構築することを選択しました。これにより、Gemini の機能をすぐにデプロイできました。この戦略的なアプローチにより、チームは難しいコンプライアンス要件を、行政の効率性を強力に実証するものに変えることができました。
手動分析から AI を活用したパイロット版まで 1 週間で実現
INDOT のチームは、1 週間のアジャイル スプリントで、検索拡張生成(RAG)を中心とした革新的なワークフローを構築しました。この手法は、特定の非公開データに基づいて生成 AI モデルをグラウンディングすることで、モデルを強化し、正確でコンテキストに応じた回答を提供できるようにします。
技術的なワークフローは、データの取り込みと前処理から始まりました。チームは、即座に「抽出、変換、読み込み」(ETL)を実行する Python スクリプトを迅速に開発し、内部ウェブサイトから法令をスクレイピングして、多数の内部ファイルからテキストを解析しました。この重要なステップで、次の段階であるインデックス作成のためにデータがクリーンアップされ、構造化されました。次に、Vertex AI Search を使用して、厳選されたドキュメントの堅牢かつ検索可能なベクトル インデックスを作成し、これが生成モデルの決定的なナレッジベースとなりました。
データがインデックス化されると、Vertex AI 内の RAG エンジンは、クエリに応じて最も関連性の高いドキュメント スニペットを効率的に取得します。このコンテキスト情報は、Vertex AI を介して Gemini に渡されました。この 2 段階のプロセスは、モデルの回答が公共のインターネット データではなく、INDOT の公式文書のみに基づいていることを確実にするうえで、非常に重要でした。
行政の効率性の新たな基準を確立
1 週間の集中的な取り組みで、チームは機能するパイロット版を完成させ、9 つの INDOT 部門で報告書のドラフトを生成しました。その忠実度は 98% という驚異的な数値でした。忠実度とは、新しい報告書が元のソースドキュメントの情報をどれだけ正確に反映しているかを示す指標です。この革新的なアプローチにより、手作業にかかる時間を推定 360 時間削減できました。同機関のスタッフは面倒なデータ収集から解放され、報告書の精査と検証という価値の高い作業に集中できました。このソリューションにより、INDOT は行政の効率性に関する報告書を期限内に提出したインディアナ州最大規模の機関となりました。
この行政の効率性に関する報告書を作成するプロセスは、行政官の多くにとって斬新な体験であり、Gemini のような大規模言語モデルがもたらす変革の可能性を直接的に示すものでした。このプロジェクトは、重要な期限を守るのに役立っただけでなく、AI イニシアチブに対する行政官の幅広い支持を得る道を開き、最終的にはインディアナ州の交通ニーズに対応する能力を高めることにつながります。
インディアナ州運輸局、副局長兼最高法務顧問、Alison Grand 氏
AI で生成された報告書のフレームワークは非常に効果的だったため、他の 60 の州機関の公式テンプレートとなり、AI の責任ある使用を強力に実証し、州全体の政策のリーダーとしての INDOT に対する大きな信頼を築きました。Google Cloud 上にスケーラブルで安全な RAG システムを構築することで、INDOT は厳しい納期を守っただけでなく、将来のイノベーションのための再利用可能なモデルを作成し、インディアナ州民へのより良いサービス提供という使命の実現を加速させました。
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-Google Public Sector、州、地方、高等教育機関担当ディレクター Brad Hoffman
-インディアナ州運輸局、副局長兼最高法務顧問 Alison Grand 氏