地理空間データを大衆化して、さまざまな業界におけるサステナビリティの慣行を促進
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 7 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
地理空間データは、自治体、農家、エネルギー会社、その他多くの組織の運営の仕組みを変革しています。地理空間データには地球に関する一定期間の情報が含まれており、組織はこのデータを利用して変化をより正確に把握できます。このデータにより、さまざまな業界にわたり効果と効率の向上に向けた取り組みがますます加速しています。長い間、組織がこのきわめて価値の高いデータにアクセスして活用するための方法は、かなり限られていました。
Google Cloud Ready - Sustainability パートナーである UP42 は、自社のデベロッパー プラットフォームを通して、地理空間データをより多くの組織にとって利用しやすく便利なものにする取り組みを進めています。同社は、衛星運用事業者や地理空間データ プロバイダと連携してデータを収集し、業務の強化と進化のためにそうした分析情報を使用している企業がすぐに利用できる形式でデータを配信しています。
たとえば、ドイツの企業 CarbonStack は、UP42 を利用してヨーロッパの画像を分析し、植林が可能な地域の確認と植林後のカーボン オフセットの追跡を行うことで、クライアントが排出量を削減できるようサポートしています。
UP 42 の最高技術責任者 Barry Nagel 氏は次のように語っています。「当社の使命は、あらゆる規模の組織が地理空間テクノロジーのメリットを享受できるようにすることです。UP42 は、地球観測データを収集して処理し、そのデータを有効活用するビジネスや自治体がすぐに利用できるようにすることで、この使命を全うできるよう取り組んでいます。」
UP42 チームは、Google Cloud で独自のプラットフォームを実行することで、さまざまな種類のデータソースと形式を処理するとともに、ワークロードを処理して、お客様が完全に統合されたソリューションを構築してエンドユーザーに届けられるようにするという大きな課題に対処しています。
データ形式の仮想宇宙
「当社のビジネスの性質から、ビジネスが成長していくなか、当社のプラットフォームの信頼性とパフォーマンスを確実に維持するためには、スケーラブルで柔軟性の高いインフラストラクチャが必要でした」と Nagel 氏は語ります。「それには Google Kubernetes Engine(GKE)が最適でした。当社の最大の課題は、さまざまなプロバイダが提供する地理空間データの形式、パッケージ、説明があまりにも多種多様であることに関連しています。GKE で大規模に運用することで、お客様向けにこうした課題を解決することができました。」
UP42 は、GKE を使用して、複雑なネットワーキングとクラスタ管理の需要を管理し、お客様のニーズに合わせてスケールしています。また、GKE を使うことで、その時々に必要な量のコンピューティングのみを実行して費用を低く抑えながら、UP42 プラットフォームのメタデータ抽出モデルとデータ配信モデルの運用を行っています。
さらに、UP42 の内部データ分析機能に BigQuery を活用し、さまざまなソースからのあらゆる形式の情報を正規化、標準化、処理して、内部使用と外部使用に対処できています。また、Looker がビジネス インテリジェンス(BI)インターフェースとして機能し、データが BigQuery を通過した後にそのデータから得た分析情報を視覚的に表示することが可能です。
Nagel 氏は次のように話しています。「私たちは根本的に、地理空間データの力を信頼しています。データドリブンな意思決定のために地理空間データを処理できるということは、ひいては人々の生活の向上につながります。これは、都市計画、農業、気候変動、そして当社のお客様が実現しているその他の重要なユースケースすべてにおいて言えることです。BigQuery と Looker を組み合わせて利用することで、UP42 チームのメンバー全員が独自のダッシュボードを構築して、独自の指標を確認できます。この組み合わせにより、膨大な量のデータの処理が簡単になりました。」
UP42 はまた、Google Cloud Storage をアーカイブ データに使用しており、お客様が過去のデータを収集する速度を大きく向上させると同時に、プロバイダからデータセットを再注文するという、従来から困難とされている処理の負担を軽減しています。これらすべてを、あらゆるタイプのビジネスがアクセスできる、標準化された形式のデータを豊富に備えた 1 つのプラットフォームという形で実現しています。
よりサステナブルな未来に向けたパートナーシップ
UP42 プラットフォームが複雑な作業やインテグレーションすべてに対処するため、お客様はセルフサービスで地理空間データを使用して作業を進めることができます。UP42 を使えば、さまざまなプロバイダが提供するデータに 1 つのタッチポイントから簡単にアクセスできます。さまざまなプロバイダ仕様に合わせて調整する必要もなく、すべてのデータ プロバイダに対し 1 つの注文パラメータ セットを使用できます。
Nagel 氏は次のように述べています。「当社のお客様は、当社のプラットフォームを利用して本当に驚くようなことを実現しています。特筆すべきユースケースの一つが、衛星画像を活用してアフリカ大陸全体の農業の状態を追跡し、農家の収穫高を予測したアフリカのスタートアップです。この企業は当社のデータ分析プラットフォームを利用して、過去と現在のデータから農家にとって有益な分析情報を生成しました。」
もう一つのそうした例は、ドイツ企業の KfW です。KfW は、UP42 を通して衛星データを利用し、地域全体の食料安全保障の鍵となる、ニジェール川沿いのかんがいインフラストラクチャのモニタリングを行いました。KfW が UP42 を利用したことが最終的には湿地創出の促進につながり、ニジェールで稲田の数が 3 倍になり、80,000 人の生活状態が改善されました。
「実際、UP 42 プラットフォームを活用して実現できるユースケースに限りはありません」と Nagel 氏は語ります。「Google Cloud を使用することで、地理空間データを誰もが利用しやすいものにして、農業、運輸、自治体のインフラストラクチャ管理、エネルギーといった世界でも特に重要な各業界で改善を支援できます。」
UP42 はサステナビリティ関連のイニシアチブを促進できる計り知れない可能性を持っているため、Google のサステナビリティ プログラムを通して Google Cloud と提携し、UP42 のお客様にさらに大きな機会を提供しています。UP42 は今後、Google Cloud テクノロジーをご利用のお客様が効率よく利用できるようにするため、Google Cloud Marketplace からも入手できるようになります。
Google Cloud のサステナビリティ関連のプログラムと取り組みについて詳しくは、Google のサステナビリティへの取り組みのページをご覧ください。