博士号と 29 件の特許を持つ Alicia Abella について - 通信事業者の変革を支援し、人々がテック業界へ進出する機会を創出

※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Alicia Abella は、Google Cloud の通信業界向けソリューション担当マネージング ディレクターです。その業務は、ブラジルのスタートアップ企業から北米最大手の通信会社まで、多様な市場と文化を土壌とする企業に、複雑で高度なテクノロジーをもたらすことに関わるものです。キューバ移民の娘である Alicia は、博士号を取得し、29 件の特許を持っており、チームを運営し、お客様と連携してきた豊富な経験があります。

新しい発明を世界にもたらす担い手になろうといつも思っていましたか？

いいえ、思いもよらないことでした。私はキューバ移民の一人娘として、ニューヨーク州クイーンズで育ちました。両親は私が教育を受けられるように懸命に働き、お金を貯めていました。私が初めてプログラミングに触れたのは中学生のときでした。パソコンが普及し始めたばかりの頃で、それを操作したり修理したりするのは将来有望な職業だと思っていました。

ニューヨーク大学在学中、AT&T の研究部門である Bell Labs のインターンに参加しました。コンピューティングと通信における最も困難なブレイクスルーに取り組んでいるその分野の第一人者の方々に接することができたのは、大きな経験でした。その後すぐに大学院に進み、自然言語処理、画像認識などのソフトウェアの問題に取り組みました。皆様がよく目にする AI 研究の多くは、当時私たちが取り組んでいたものです。

私は 25 年以上 Bell Labs に勤務し、キャリアアップを続けたのち、AT&T Labs - Research からバイス プレジデントに昇進した最初の女性になりました。Bell Labs 時代、29 件の特許を取得し、最高の技術的業績を表彰する 2 つの賞のうちの 1 つを受賞しました。また、先駆的なビジネスニーズを実現し、素晴らしい人々とともに働きました。

Google Cloud では何か違いはありましたか？

Bell Labs と共通している点からお話しさせてください。Google Cloud には、イノベーション、大きなアイデア、困難な研究があり、そして非常に複雑な問題に進んで取り組む人々がいます。また、Bell Labs も Google Cloud も、法人や個人のお客様との関わりが深い企業です。Google Cloud での私の職務では、以前よりもクライアントに接する機会が多くなりました。違いという点では、Google Cloud には何十億人ものユーザーが日々使用するプロダクトがたくさんあります。そのプロダクトを普及させるためにどれだけの AI とインフラストラクチャが必要なのか数え切れないほどです。

Google Cloud では、費用効率を理由にクラウドを選択するさまざまな通信会社と仕事をしています。各通信会社は Google Cloud とパートナーシップを組み、差別化された体験を顧客に提供し、新しい収益機会を生み出しています。多くの企業が Google Cloud と連携して、5G エッジ コンピューティング ソリューションとネットワーク機能をデプロイし、低レイテンシかつ高帯域幅のアプリケーションをあらゆる地域の顧客に提供しています。

研究の世界からビジネスの世界へと転身されましたが、苦労はありましたか？

両者の間には、理解しておく必要がある、ある種の緊張関係があります。ビジネスには多くの短期的な目標がありますが、それを実現するためのテクノロジーが成熟するまでには何十年もかかる場合があります。優れたプロダクトやサービスを生み出す前提として、コンピューティングが必要な水準まで高速化されるなど、パズルのすべてのピースが成熟するのを待たなければならない場合があります。社会が新しいテクノロジーを受け入れるのを待つこともあります。たとえば、AT&T は 1970 年にデスクトップ型テレビ電話の技術を実証しましたが、Apple が 2012 年に FaceTime を発表するまで、このテクノロジーは普及しませんでした。これは、コンピュータの進化によって、社会が変化した例です。

テクノロジーとビジネスの間を行き来することもあります。幸運なことに、私には難解な技術的概念を、実際にビジネス価値のある潜在的な用途に変換する能力があります。私は聞き上手で、お客様に心から共感できるため、点と点を結び付けることができます。ビジネス ミーティングのポイントをエンジニアに伝え、何を構築する必要があるかについて話し合っています。

この業界についてもっと知ってもらいたいことはありますか？

新しいテクノロジーを開発することがいかに複雑で困難なことであるか皆様にご理解いただきたいと考えています。投資をすぐに回収しなければならないという大きなプレッシャーはありますが、大きなブレイクスルーを得るにはかなりの時間がかかります。顧客や経営者、株主や一般の方々まで、そのプロセスに関わるすべての人々に、そのバランスを見つける必要性をご理解いただきたいと願っています。

テック業界は一握りの天才と替えの効かない創業者が担っているという考えはある意味では真実ですが、皆様にはチームワークの重要性を理解していただく必要があります。私にとって最高の瞬間は、ビジョンが明確で情熱あふれる小規模の専門チームで働いているときでした。最初の特許は非常に刺激的で、チームで取り組んだ結果、取得できたものです。今でもその特許証を壁に飾っています。

この分野に進出する女性やマイノリティの支援にも、深く関わっていますね。

女性として、またヒスパニック系コミュニティの一員として、こうした分野への進出はもっと進んでほしいと願っています。コンピュータ サイエンスの学位を取得した女性の割合は、80 年代半ばにピークに達しました。私が博士号を取得した年に工学系博士号を取得したヒスパニック系女性は 2 人だけで、そのうちの 1 人は私だと聞きました。私はオバマ政権の「ヒスパニックのための教育の卓越性委員会」の委員を務めてきました。また、STEM 分野の女性を支援する非営利団体にも参加しており、人々にメッセージを伝えられるあらゆるフォーラムで講演するように努めています。ロールモデルとしての役割を担うため、さまざまな家族と面会して子供たちの将来について話し合うようにしています。  

新しいテクノロジーのブレイクスルーと同様に、この活動にも時間と労力がかかりますが、前進していけるものと前向きに捉えています。

- Google Cloud コンテンツおよび編集担当チーム