制限的なクラウド ライセンスのグローバルな弊害、1 年後の今
Marcus Jadotte
VP of Government Affairs and Public Policy, Cloud
Giorgia Abeltino
Sr. Director, Government Affairs & Public Policy, Google Cloud Europe
※この投稿は米国時間 2025 年 9 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
1 年前の今日、Google Cloud は欧州委員会に、Microsoft の反競争的なクラウド ライセンス慣行について正式な苦情を申し立てました。具体的には、Azure の最大の競合他社のクラウド上で Windows Server ソフトウェアを使用する企業に金銭的ペナルティを課す慣行についてです。
規制当局の監視にもかかわらず、Microsoft がほとんどのクラウド利用者に対して制限的なライセンス ポリシーを維持する意向であることは明らかです。それどころか、悪化の一途をたどっています。
最近の収益報告会で、Microsoft は、ソフトウェアの利用者に Azure の使用を強制する取り組みは「まだ完了には程遠い」と述べ、また、この取り組みは「成長を牽引」する 3 つの柱の一つであるとしました。9 月末に近づくにつれ、Microsoft はライセンスの変更をさらに実施し、マネージド サービス プロバイダが Azure の競合他社のクラウドで特定のワークロードをホストすることを禁止することで、より多くの顧客を Azure に強制的に移行させようとしています。
規制当局もこの状況に注目しています。包括的な調査から、英国の競争・市場庁(CMA)は最近、制限的なライセンスがクラウドの利用者、競争、経済成長、イノベーションに悪影響を及ぼすことを発見しました。同時に、より多くの世界中の規制当局も Microsoft の反競争的行為を精査しており、公正な競争が政治や国境を超えた問題であることを証明しています。
ある程度の進展は見られたものの、制限的なライセンスは依然として世界的な問題であり、クラウドの利用者を囲い込み、経済成長を阻害し、イノベーションを抑制しています。
経済、セキュリティ、イノベーションへの悪影響
制限的なクラウド ライセンスは、昨年、世界経済に多大な損害をもたらしました。これには、Microsoft が企業に支払いを強制する直接的なペナルティと、経済成長、サイバーセキュリティ、イノベーションに対する下流での損害が含まれます。制限的なライセンスを廃止することで、世界中の経済を活性化できる可能性があります。
Microsoft は、従来のワークロードを競合他社のクラウドに移行することを選択したお客様に対して、依然として 400% の価格引き上げを課しています。このペナルティにより、競合他社のサービスを使用するコストが高くなるため、お客様は Azure を使用せざるを得なくなります。CMA によると、競争の欠如によりクラウドの価格がわずか 5% 上昇しただけで、英国のクラウド利用者は年間 5 億ポンドの費用を負担しています。EU での別の調査では、制限的なライセンスが企業に 10 億ユーロの税金に相当する負担を課していることがわかりました。
米国では、Microsoft のライセンス戦略による競争の欠如により、政府機関が毎年 7 億 5, 000 万ドルを過剰に支出しています。
また、Microsoft が顧客を単一障害点となる安全でないモノカルチャーに誘導するため、サイバーセキュリティと信頼性も損なわれます。Microsoft の安全でないソフトウェアに対する攻撃が政府機関や重要産業に広がっています。
AI テクノロジーがビジネス市場を劇的に変革する中、お客様がクラウドに移行して AI に大規模にアクセスするにつれて、Microsoft の反競争的なライセンスを廃止することがこれまで以上に重要になっています。どのクラウド、ひいてはどの AI ツールが自社のビジネスに最適かを決めるのは、Microsoft ではなくお客様です。
行動しないことによる継続的なリスク
これらすべてを物語るであろう、CMA が発見した最も顕著な事実として、ここ数年で最も制限の厳しいライセンス条項が導入されて以来、Microsoft Azure の顧客獲得率が競合他社の 2 倍から 3 倍に達していることが挙げられます。選択肢が少なく、競争が低下することは、ドラギ報告書が警告した、欧州の競争力に対する「存続の危機」そのものです。
欧州国際政治経済研究所の最近の調査によると、制限的なライセンスを廃止することで、政府は「2030 年までに最大 1.2 兆ユーロの EU GDP を追加で獲得」し、「年間最大 4,500 億ユーロの財政節約と生産性向上を実現」できる可能性があります。今こそ、世界中の規制当局と政策立案者が行動を起こし、デジタル トランスフォーメーションとイノベーションを推進すべき時です。
欧州委員会に苦情を申し立ててから 1 年が経ちましたが、私たちのメッセージはこれまで以上に明確です。クラウド ライセンスの制限的な慣行は、企業に損害を与え、ヨーロッパの競争力を損ないます。次の 100 年の技術革新と成長を推進するため、規制当局は今すぐ行動して、企業に損害を与える反競争的なライセンス慣行を終わらせる必要があります。
-Google Cloud、政府関連業務および公共政策担当バイス プレジデント Marcus Jadotte
-Google Cloud ヨーロッパ、政府関連業務および公共政策担当シニア ディレクター Giorgia Abeltino



