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顧客事例

明治安田生命保険相互会社:AI を活用したセルフ トレーニングに Speech-to-Text を採用、営業職員の効果的な人材育成をサポート

2021年3月23日
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Google Cloud Japan Team

「確かな安心を、いつまでも」という経営理念に基づいて、信頼を得て選ばれ続ける、人に一番やさしい生命保険会社の実現を目指す明治安田生命保険相互会社(以下、明治安田生命)。同社は、MY ライフプランアドバイザー(営業職員)向けのセルフトレーニング アプリである 『AI ロープレ』に Speech-to-Text を採用しています。開発の背景や導入の効果、今後の展望などについて、マネジメント、営業現場、技術現場の担当者に話を伺いました。

利用している Google Cloud サービス:Speech-to-Text

機能面はもちろん Google Cloud のサポートを評価して Speech-to-Text を採用

明治安田生命では、これまで 3 年ごとに中期経営計画を策定し、着実に遂行してきました。2020 年には、10 年後のあるべき姿を見据えた MY Mutual Way 2030 を策定、2020 年 4 月から最初の 3 年間の取り組みとして、MY Mutual Way 2030 I 期をスタートしています。しかし、今般の COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大に伴う環境変化をふまえ、2020 年度は、保険金・給付金の支払い等の基幹業務の確実な実行と、コロナ禍においてもお客様に寄り添ったアフターフォローを提供できる態勢構築を優先すべきと判断し、単年度の経営計画「とことん!アフターフォロー特別計画」を策定しました。

とことん!アフターフォロー特別計画は、コロナ禍およびアフターコロナ時代に向け、お客様と従業員の安全確保を前提に、いかにお客様をサポートしていくかに重点をおいた単年度の経営計画。これを受けて、当初の中期経営計画で本格的な実施を計画されていたデジタル活用については、時期を大幅に前倒しする形で優先的に推進しました。その中の取り組みの 1 つが、すでに 2019 年より約 3 万 5,000 名の営業職員に配布しているスマートフォン端末『MY フォン』の更なる活用でした。

明治安田生命 企画部デジタルイノベーション企画室長の橋田さんは、「『MY フォン』の電話やチャット、写真やビデオなどの機能をフル活用したお客様との非対面のコミュニケーションや手続きサポートなどは、コロナ禍においても非常に有効です。この機にデジタル技術を活用したコミュニケーション力の強化の必要性を感じていました」と話します。

営業職員に普及が進んだ『MY フォン』を使ってまず取り組んだのが、お客様対応をセルフ トレーニングできるスマートフォン アプリである『AI ロープレ』の開発です。『AI ロープレ』は、顔の表情の認識や文書解析、音声解析などの複数の AI 技術を活用することで、トレーニング シナリオに表示された内容が、きちんと話せているか、キーワードに漏れがないか、適切な速さで話せているか、話すときの表情は適切かなどを解析して点数で評価。ここで音声を正確にテキストに変換する技術として、Google Cloud の Speech-to-Text が採用されています。

その採用理由を、明治安田生命 企画部 デジタルイノベーション企画室 兼 情報システム部 上席IT アーキテクトの湯浅さんは、「音声テキスト変換の選定にあたり、いくつかの AI 技術を比較検討しました。最終的に 2 つに絞り、リアルタイムに結果が得られること、業界用語を認識してくれることなど、いくつかの観点で評価して、Speech-to-Text の採用を決めました。機能面はもちろんですが、“こんな仕組みを作りたい”という漠然とした要望からのスタートにもかかわらず、Google Cloud の担当者が非常に親身にサポートしてくれたことも採用決断の後押しとなりました」と話しています。

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『AI ロープレ』の画面イメージ

高い音声認識率がトレーニングをサポート

『AI ロープレ』は、主に新たに採用した営業職員向けのトレーニング ツールとして利用を開始しています。現在、初回訪問や保険コンサルティング、商品紹介など、11 種類のシナリオを登録。約 7,000 名の営業職員が利用しています。営業職員の評価としては、「コロナ禍でも、自宅でトレーニングできるのは助かる」「社員をお客様役にして話をするのは恥ずかしいので、ビデオを確認しながら 1 人で繰り返しトレーニングできるのは非常に便利」と、特に新人の営業職員には好評です。

以前は、営業所内で営業職員がペアになり、1 人がお客様役になって対面でトレーニングを行っていたため、練習機会が限られてしまうことが課題でした。明治安田生命 企画部 デジタルイノベーション企画室主任スタッフの富田さんは、「トレーニングの実施方法に関しては、各営業所に任されていました。毎日実施している営業所もあれば、週 1 回、月 1 回など、日時を決めて実施している営業所もありました。『AI ロープレ』は、好きな場所、好きなタイミングで、自分 1 人でトレーニングができるので、営業職員から高く評価されています」と話します。

「毎月、新しい営業職員が入社するので、『AI ロープレ』を使ってトレーニングをしてもらっています。また 『AI ロープレ』は、営業職員が上位資格を取得するための検定試験を受ける前提条件にもなっています。現状の新人向け中心のシナリオに加え、今後は、新商品のトレーニング コースなどのシナリオも追加し、ベテランの営業職員にも活用の幅を拡げていければと思っています。」(富田さん)

Speech-to-Text の音声認識率には満足をしているという湯浅さん、「Speech-to-Text が認識できない言葉は、お客様にも伝わらないという認識でトレーニングをしてもらっています。保険業界特有の専門用語に関しても辞書登録をするなど工夫を重ね、運用でカバーしています」と話しています。

AI を活用して「できる営業」の技術を継承

『AI ロープレ』のトーク部分は、現在は営業職員がシナリオで提供される文書を読んで、それを評価する仕組みですが、今後はシナリオのレベルを向上させ、営業職員にテーマを与え、そのテーマに関して、自由な言葉で話した内容を評価する仕組みに進化させる計画です。湯浅さんは、「より高度なシナリオを実現するために、Speech-to-Text の能力をより一層発揮できるのではないかと期待しています。また、Speech-to-Text では、話者の“えー”とか“あのー”などのいわゆるフィラー語が自動で省略されるのですが、音声認識としてはありがたいこの機能、トレーニングの観点からはこれらも認識されるようになると、話者の話し癖の評価と改善にも役立つのではないかと、あわせて期待しています」と話します。

また、Speech-to-Text で音声テキスト変換されたデータや、個人別のトレーニング履歴、成績情報、アップロードされたトレーニング動画などは、すべてデータレイクに保存されているとのこと。今後、このデータを解析することで、これまで暗黙知だったトップセールスの話し方や表情などの知見を形式知に変えて共有したいと考えています。湯浅さんは、「できる営業職員の技術を、デジタル化、数値化することで、効率的・効果的にノウハウを継承したいと思っています」と話します。

さらに、現在、営業職員のみに提供されている『AI ロープレ』について、ほかの部署でも使いたいという要望が増えているそうです。橋田さんは、「企業向けの生命保険を販売する法人営業部や、営業職員に同行してお客様を訪問し、事務サポートを行う事務職員のトレーニングにも使いたいという具体的な要望も聞こえています。『AI ロープレ』は、シナリオさえ作れば、いろいろな部署への横展開も実現可能だと考えています」と話します。

「コロナ禍で出社できない営業職員や、在宅勤務も増えた中で、『AI ロープレ』は非常にタイムリーだったと思います。今後は、利用者が飽きない仕組みやシナリオの充実により、もっと使ってもらえるツールを目指していきます。将来的には、AI がお客様役をしてくれる仕組みにまで進化できればと思っていますので、今後の Google Cloud のサポートにも期待しています。」(橋田さん)

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(写真左から)
・企画部デジタルイノベーション企画室長 橋田 和己 氏
・企画部デジタルイノベーション企画室 兼 情報システム部 上席IT アーキテクト 湯浅 慎司 氏
・企画部デジタルイノベーション企画室 主任スタッフ 富田 聡 氏

明治安田生命保険相互会社

2004 年 1 月、旧明治生命と旧安田生命が合併して誕生。生命保険事業のパイオニアとして、生命保険を中心としたクオリティの高い総合保障サービスを提供。「“ひとに健康を、まちに元気を。”最も身近なリーディング生保へ」と定めた 10 年計画「MY Mutual Way 2030」を策定し、2020 年度は「とことん!アフターフォロー特別計画」に基づいて、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う環境変化をふまえた保険金 / 給付金の支払いなどの基幹業務の確実な実行とアフターフォローに注力しています。
*『AI ロープレ』開発協力:株式会社シーエーシー


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