株式会社ロッテ : Chromebook が働き方改革と DX 推進の要に。全社員分 2,600 台を導入。
Google Cloud Japan Team
" お口の恋人” というキャッチフレーズを掲げ、「クールミントガム」や「ガーナミルクチョコレート」、「コアラのマーチ」など数々のロングセラー商品を打ち出してきた総合菓子メーカー、株式会社ロッテ(以下、ロッテ)。同社は、働き方改革による生産性向上、DX 精神の醸成を狙い、全社的にデスクトップ パソコンから Chromebook への移行を決断。導入を進めてきた ICT戦略部 部長 緒方 久朗さんに話を伺いました。
利用している Chrome Enterprise サービス:Chrome Enterprise、Chromebook
Chromebook の導入は、DX 時代を生き抜くための最重要項目
1948 年にチューインガムの製造販売からはじまり、時代の流れに合わせてチョコレートやビスケット、アイスクリーム、キャンディなど商品ラインアップを拡張。総合的な菓子メーカーとして業界をリードしている株式会社ロッテ。“ 世界中の人々の豊かなくらしに貢献する ” という考えのもと、近年ではガムを噛むことが人に与える好影響を研究・発信するなど、新たなチャレンジにも積極的に取り組んでいます。
そんな中で課題となっていたのが、社員の働き方。ほぼすべての従業員がデスクトップ パソコンを使用していることで、「働く場所が選べない」「テレワークができない」などの障壁がありました。ICT戦略部 部長 緒方さんは「DX を通じた働き方改革を進める上で、ノートパソコンへの移行は急務。2018 年から導入した Google Workspace をより活用していきたいという意向もあり、Chromebook を検討し始めました」と話します。
Chromebook はコストが安く、デバイスのセキュリティ レベルも高く、既存の VDI(Virtual Desktop Infrastructure) 環境との相性も良かったため、比較的すんなりと導入が決まりましたが、決め手はそれらの現実的なメリットの他にありました。
「社内では従来のアプリケーションでないとこれまで通りの仕事ができないと考えている人も多い中、Chromebook なら、そういった固定概念を打ち壊してくれるだろう、と思ったのです。Google さんは弊社と同じくコンシューマー向けのサービスからスタートし、自由な発想で発展してきました。そのサービスを取り入れることが、社内の保守的な考え方や文化を変え、DX 精神を養い、従業員の意識改革にも繋がっていくと考えています。Chromebook は、その要なのです。」(緒方さん)
社員のほぼ全員が使っていたデスクトップ パソコン 2,600 台と入れ替える大変革。もちろん、不安要素がなかったわけではありません。端的に言えば、社員が使いこなせるか。それが 1 番の気がかりでした。
「他の会社さんでも同じだと思いますが、IT 企業ではないので、社員の IT に対するリテラシーが高いわけではありません。Chrome OS が入ったデバイスで従来まで使っていた仮想環境を動かす、というのは、1 台のパソコンの中に 2 台のパソコンが入っているようなもの。その概念から教育しないといけない大変さはありました。しかし、いずれは慣れていかなければならないものですから、早いに越したことはありません。何をやっても最初は混乱しますから。」(緒方さん)
どうせ変えるなら早い内に。その考えが間違えでなかったことは、思わぬ形で証明されました。COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の流行による緊急事態宣言が発出されたことで、テレワークをせざるを得ない状況となったのです。2019 年に購入決定し、2020 年 2 月から 5 月にかけて配備が完了。なんとか業務を滞らせずに済みました。
脱 VDI を実現し、製菓業界のイメージを変える存在に
本来であれば丁寧にユーザー教育を行う時間などもあったはずが、異例の事態により半ば強制的にテレワークがスタート。新しい環境にも慣れなければ仕事にならない、という実情もありましたが、それでも大きな混乱を招くことなく、移行を完了することができました。その理由は、Chromebook の配布の仕方にあったと言います。
「調達のスケジュールもあったので、最初は 50 台、次に 100 台という形で少しずつ入れ替えていったのですが、IT リテラシーの高い社員を選定し、その人たちから配っていくという形を取りました。そうすることで、パソコンに詳しくない社員たちからの疑問をそれぞれの部署内で解決してもらうという形が作れました。」(緒方さん)
(写真左から)ICT戦略部
小畑 晃一朗さん 遠藤 晴香さん 河淵 紫桜さん
また、それでも ICT へ上がってくる問い合わせについては対応し、加えてマニュアルにも反映させていくことで、質の高いサポート体制を構築することができました。そのため事務、営業、製造現場に関わらずユーザーの反応は良く、既存の業務体制の中にすっと馴染んでいると言います。
また、システム担当者である緖方さんとしても、業務効率が上がったことを実感しています。「これまではシンクライアントのデスクトップ パソコンだったのでノートパソコンになったことでの故障リスクが懸念点でしたが、特に大きな問題は起きていません。管理面では、Chrome OS にアンチウイルス ソフトが必要ありませんし、メールもサーバ側で検閲をしてくれるので、以前と比べるとセキュリティ面の信頼性を高めつつ、管理が楽になった印象です」と話します。
意外なところでは、社外からの反響が少しずつ増えていることに驚いている、と緖方さんは続けます。
「日本の製造メーカーに対して、IT に投資をしない古い体質というイメージをお持ちの方が多いのだと思います。ベンダーやシステムインテグレーターとお付き合いさせていただいていますが、Chromebook を導入したことを伝えると、皆さん驚かれますね。社内でも同様に、当初期待していた社員の意識改革というところにも、良い影響があります。特にマネジメント陣には DX の大切さを伝えられたと思っていて、世の中はこんなにデジタルが進歩しているんだということを実感して貰えたのではないでしょうか。現在は経営陣からも DX という言葉が頻繁に出るようになりましたし、そういう意味では良い傾向にあるのかなと思います。」(緒方さん)
コロナ禍という思わぬ障壁があったものの、知恵と先見の明で無事に完了することができた Chromebook への大規模な移行。最後に、今後の課題や展望を聞きました。
「移行はできたとはいえ、まだ従来のシステムを使わなければいけないシーンがあります。そこに対しても Google Workspace に置き換えていくことでさらに生産性を向上させることができると思っていますし、Google Meet や Google Chat を活用して、より連携を深めることで、リモートワーク下でのコミュニケーションを円滑にしていくことができるだろうと思っています。まだ教育が足りていない部分もありますが、今後は従来型のシステムに依存せず、Chromebook だけで業務が完結させる脱 VDI を目指していきたいと思っています。」(緒方さん)
1948 年に創業。「私たちはみなさまから愛され、信頼される、よりよい製品やサービスを提供し、世界中の人々の豊かなくらしに貢献します。」という企業理念の元、黎明期には日本初となる天然チクルを原材料としたチューイングガムを発売しヒットを生む。以来、誰もが知るロングセラー商品を次々と生み出し、多くの日本人にとって馴染みのある総合菓子メーカーとして業界を牽引する存在に。近年では容器をリユースする循環型ショッピング プラットフォームへの参入など、環境問題にも積極的に取り組んでいる。
インタビュイー
・ICT戦略部 部長 緒方久朗さん
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