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顧客事例

ipoca:Vertex AI を駆使し、AI 開発経験ほぼゼロからわずか 1 年で高精度な来店人数予測 AI モデルの構築に成功

2022年11月10日
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Google Cloud Japan Team

商店街活性化を目的に、地域・サービス・情報・人を "一本化" することを目指した「一本化勉強会」を前身とする株式会社 ipoca(以下、ipoca)。現在は店舗商圏の 3C(顧客 / Customer・競合 / Competitor・自社 / Company)分析サービス『ミセシル』を中心に、リアル店舗を対象としたマーケティング支援サービスを展開しています。そんな同社が約 1 年かけて開発し、この春に提供開始したばかりの新サービス『アスシル』に Google Cloud がどのように貢献しているのか、開発の中核メンバーの皆さんに話を伺いました。

利用しているサービス:

BigQueryCloud ComposerVertex AI の AutoML 機能Vertex AI Workbench Cloud Storage、Compute EngineGoogle Colaboratory など

利用しているソリューション:

AI と機械学習のソリューション中小規模ビジネス

Google Cloud には必要な機能がワンパッケージで用意されている

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小売店、特に消費期限の短い食品を取り扱うスーパーやコンビニエンス ストアにとって、値引きロス、廃棄ロス、チャンスロスは頭の痛い課題です。ipoca の新サービス『アスシル』は、その課題を解決することを目指したと取締役副社長、山本 正憲氏は言います。

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「『アスシル』は、小売企業様向けの機械学習を利用した DX サービスの総称です。機能としては、AI を用いた簡易的な来店人数予測を元に、小売企業にとって長年の課題となっている食品廃棄ロス、欠品ロスを解決する需要予測を行えるほか、新規出店時の売上予測などを提供しています。」

同社代表取締役社長、一之瀬 卓氏がスーパー店頭で店舗スタッフが悲しそうに期限切れ食品を処分している場面を目の当たりにしたことをきっかけに開発がスタートしたという『アスシル』。その開発・運用基盤に Google Cloud を採用した理由について、事業開発リーダーであり『アスシル』プロジェクト マネージャーの団野 大樹氏は次のように説明します。

「『アスシル』は弊社にとって初めての AI サービスです。社内に AI エンジニアやデータ エンジニアがいない中、事業ドメインの理解や統計・時系列モデルの理解などキャッチアップすべき内容が多岐にわたっていたため、学習しやすく、上流から下流までを 1 つのプラットフォーム内でパッケージ的に、スピーディに環境構築ができる Google Cloud は理想的な選択肢でした。また、データ解析で数億レコードの購買データを取り扱うことから、高速かつ従量制で使えてハイコスト パフォーマンスな BigQuery も導入の決め手となりました。AI モデル構築は、データの前処理や探索的データ分析が労力の 8 割を占めるとも言われていますから処理性能は何よりも重要です。Google Colaboratory との連携のしやすさも魅力的でしたね。」

なお、学習のしやすさについては、チームに学生インターンをアサインしていたことや、COVID-19 対策で 2020 年 4 月からフルリモート化していたことから、Qwiklabs や Coursera、YouTube などで独習できることも重視したそうです。学生インターンとして本プロジェクトに参加している古堅 秀都氏も実質経験ゼロからのスタートでしたが、今では BigQuery を中心にさまざまな Google Cloud プロダクトを使いこなせるまでになっています。

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「私が ipoca にインターンとして参加した時はまだ大学 1 年生で、AI に関する知識などはまったく持っていませんでした。もちろん BigQuery も初めて触ったのですが、操作がとてもシンプルで、次に何をするべきかわかりやすいことがありがたかったですね。また Qwiklabs などの教材に加えてドキュメントも充実しており、探しやすかったため、学習をスムーズに進めることができました。」(学生インターン 古堅 秀都氏)

Vertex AI でベテラン店長を超える精度の来店予測 AI モデルを開発

2021 年 6 月、『アスシル』は協力会社から提供を受けた数億レコードにもおよぶ実際の購買データを分析するところから開発をスタート。まずは BigQuery 上でデータの特性を解析することから始め、そこから Google Colaboratory に接続するかたちで機械学習モデルの検討を進めていきました。その後、Vertex AI へと制作環境を移行し、本格的に AI モデルの開発に入っていきます。

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「Vertex AI のメリットは、PyTorch や TensorFlow などがプリインストールされたマネージドなノートブック環境を備える Vertex AI Workbench により、ブラウザからすぐに実験を始められること。Vertex AI Workbench は可用性が高くパワフルで、しかも BigQuery、Cloud Storage と容易に接続ができ、探索的データ分析や特徴量生成がスピーディに実施できるところも気に入っています。また、ちょうどこのタイミングで Vertex AI に、AutoML Tables の時系列予測機能(Vertex AI Forecast)や、BigQuery ML コンポーネントが追加されたため、多くのモデルを簡易に作成して実験・実装することができました。『アスシル』のコアである需要予測に重要な時系列モデルは日々データが古くなっていくため、精度維持のためのモニタリングや再学習など、MLOps の構築が欠かせません。これら実運用環境へのラインアップが発表されたことで、実際に構築・運用するイメージを持つことができました。」(団野氏)

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そして 11 月、『アスシル』のための AI モデル(来店人数予測)がひとまず完成。購買データの提供を受けた協力会社店舗の人手による作業よりも正確な予測を行うというめざましい成果をあげることができたと言います。

「小売店において、来店人数予測は正しい発注を行うために極めて重要な技能です。『アスシル』がベテラン店長並みの来店人数予測をできるようになることで、経験の浅い店長でも適切な予測・発注ができるようになります。現在はこれに加え、多額な投資が必要となる新規出店時の売上見込みについて、回帰モデルによる売上予測機能を実現。今後は、その予測精度を MLOps によってさらに高めていくほか、お客さまの口コミなどといった自然言語解析、店内の商品や人流の画像解析など、新たな取り組みにも挑戦していく予定です。」(団野氏)

MLOps での安定稼働に向けてはまだ課題は残っているものの、Google Cloud の導入で「実験環境」を手に入れられたことが大きな成果だったと語る団野氏。

「我々がすでに保持している、GPS による人流データやレシートの購買データなどといったビッグデータを手早く解析したり、AI モデル化ができる環境を得られたことで DX 支援に向けた新規サービス化が加速した手応えを感じています。」(団野氏)

また、今回の取り組みの成功を通じ、今後、さらに AI と Google Cloud を活用した取り組みを拡大していきたいと、山本氏は言います。

「『アスシル』『ミセシル』でマーケティングの課題解決を進めていく一方で、DX を推進していく過程での組織・カルチャーの課題も感じ始めています。そこで ipoca  では現在、店舗とシフトワーカーのエンゲージメントを高めていくコミュニケーション サービスの開発に着手しています。HR サーベイとしてどのような因子が働きがいや業績アップに繋がるのか、Google Cloud のデータ分析基盤を通じて効果的なアプローチを探っていきたいです。」(山本氏)


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株式会社 ipoca(イポカ)

創業社長である一之瀬 卓氏が自らの税務会計事務所で主催していた商店街向けのマーケティング勉強会を法人化するかたちで 2007 年に設立。スーパー マーケットやドラッグストアなどの小売流通業を対象とした統合マーケティング ソリューション『ミセシル』を主力サービスとして、マーケティング支援ソリューションを多数展開する。

インタビュイー(写真右から)

・取締役副社長 山本 正憲 氏

・事業開発リーダー 団野 大樹 氏

・インターン 古堅 秀都 氏


株式会社 ipoca の導入事例 PDF はこちらをご覧ください。

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