株式会社TBSテレビの導入事例:G Suite を活用した働き方改革で労働時間削減と生産性向上を両立。いつでも、どこでも、セキュアに仕事ができる環境を実現
Google Cloud Japan Team
全社を挙げて本格的な「働き方改革」に取り組んでいる株式会社TBSテレビ(以下、TBS)。より一層、視聴者から愛され、信頼されるメディア グループの実現を目指す取り組みの一環として、IT を最大限に活用した業務の効率化に取り組んでいます。TBS グループ、約 6,500 人を対象とした、IT を活用した働き方改革を推進するプロジェクトを、情報システム局で支える 2 人に話を伺いました。
2015 年 4 月に、テレビ放送 60 周年を迎えた TBS。総合メディア グループとして、放送、映像・文化、配信、不動産・ショッピングなどの事業を展開。放送文化の担い手としての役割を果たし、視聴者の人生に輝きを届ける取り組みを推進している。
写真左から
- 情報システム局 システム開発部 部次長 稲川 太郎 氏
- 情報システム局 システム開発部 峯松 健太 氏
クラウド ストレージを無制限に利用できる G Suite を採用
「テレビ局は、過酷な職場というイメージがあるかもしれませんが、日々、業務改善を推進しています。現在、IT を活用した全社的な "働き方改革" により、少しでも、より働きやすい環境にできるように取り組んでいます。まだ紙でのやり取りや、物理的なメディアでのファイル受け渡しは残ってはいますが、 IT の役割の認知度は高くなってきていることもあり、会社全体として、IT への期待感は、ますます高まっている状況です。」(稲川さん)TBS では、働き方改革の推進にあたり、まずは全社員にアンケートを実施。その結果、一番多かったのが「メールを何とかしてほしい」という要望でした。稲川さんは、「以前は、外出先でメールが来ているかどうかを確認するために、ブラウザでログインすることが必要でした。その制限により、例えば外出時に仕事の合間のスキマ時間をうまく活用することができないという問題がありました。」と話します。
「働き方改革により、業務の生産性も向上していかなければなりません。そのためには、紙と鉛筆で行っていた手作業を、IT 化するための "文房具(IT ツール)" の提供が必要でした。IT 活用で文房具といえば、グループウェア ということで、Google の G Suite 導入の検討に入りました。すでに、Gmail を使っている社員も多かったので、他のグループウェアを導入するより、G Suite であれば社内での活用促進も速く、混乱なく会社に馴染むだろうと考えました。」(稲川さん)
本格的に検討を開始したのは、2017 年 7 月から。G Suite 以外にも、いくつかの製品を比較検討した結果、12 月に G Suite を導入することを決定します。その後、G Suite 導入に向けた準備作業を行い、2018 年 4 月より社内への先行導入を開始。まずは、毎週 100 ユーザー程度ずつ増やしていき、6 月に約 1,600 ユーザーへ導入、7 月に約 4,000 ユーザーを追加し、7 月2 日に全社展開を開始。現在、登録 ID 数は、約 6,500 ユーザーに増えています。
G Suite の採用を決めた理由を峯松さんは、次のように話します。「映像データを扱う仕事なので、クラウド ストレージを無制限に利用できることが、G Suite を選定した最大のポイントでした。一般的なクラウド ストレージは、1 人あたり数十ギガバイトしか利用できないものが多く、これでは 30 分~ 60 分の映像データを 1 本程度しか保管できません。そこで、無制限のデータ容量が極めて重要なポイントでした。」さらにテレビ局の仕事は、局外で作業することも多いため、セキュリティも重要。「以前は、PC を立ち上げて、ブラウザからログインしなければメールを使えなかったため、個人所有のスマートフォンのチャット ツールや個人で所有しているメール アカウントを使う社員が増え、情報漏えいのリスクがありました。G Suite を導入することで、こうしたシャドー IT を防ぐことも目的の 1 つでした。」(稲川さん)
文書を複数の担当者で編集できる G Suite の共同編集は秀逸
現在、G Suite で使っているサービスは、ドライブ、Gmail、カレンダー、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、ハングアウトなど。峯松さんは、「利用者からは、G Suite は使いやすく、アプリも利用できるので、スマートフォンからの使い勝手が非常にいいと好評です。実際に使ったときの動きのサクサク感も高く評価しています。G Suite を使ってもらい、操作性についてレポートしてもらったのですが、制作の現場だけでなく、営業担当者などからも、G Suite は使いやすいと好評でした。Google は G Suite を自社で使っており、改善を繰り返しているので、操作性が優れているのかもしれません。」と話します。「導入しても、使ってもらえないと意味がありません。そこで、操作の説明がしやすいことや、使いやすさも重要でした。G Suite は、たとえば Gmail の本文にファイルのリンクを貼る事で、直接ドライブに移動してデータを確認するといった操作に一貫性があることや、マニュアルがなくても直感的に使えることなどを高く評価しています。特に、文書を複数の担当者で共有して編集できる共同編集の機能は本当に秀逸です。ある情報番組では進行表をスプレッドシートで作成し、迅速に情報共有しています。内容に変更があった際にも瞬時に確認・共有ができ、最新の進行表がどれかわからないといったこともありません。」(峯松さん)
G Suite の中でも、社内外でかなり頻繁に使われているサービスの 1 つがハングアウト。証跡として残したいものは Gmail でやり取りし、ちょっとした連絡だけならハングアウトでメッセージを送るという使い分けをしています。「ハングアウトは、過去のメッセージを検索できるのも便利な機能です。」(稲川さん)
また、ハングアウト Meet のテレビ会議も問い合わせが多い機能です。峯松さんは、「カレンダーで予定を作成して、参加者を招待するだけで、テレビ会議を実施できます。という説明をすると、あまりの簡単さにみんな驚きます。今後、在宅勤務やシェア オフィスでの作業が増えることも予想されるので、ハングアウト Meet のテレビ会議機能は、大きな効果が期待できると思います。」と話しています。
導入当初は問い合わせが多かったということですが、ほとんどはログインの仕方など、使い方に関する簡単なものだったそうです。しかし問い合わせには丁寧に対応するという、システム開発部の方針に基づいて、AI 型のチャット ボットを構築したり、講習会を開催するなど、さまざまなサポートを実施。また G Suite の使い方マニュアルを作成し、Google サイトに掲載し、社外からも閲覧できるようにしています。
G Suite の導入で、いつでも、どこでも仕事ができる環境を実現した TBS では、次の取り組みとして、テレワークやオフィスのフリーアドレス化を検討しています。フリーアドレス化により、空いているスペースやテーブルでの打ち合わせも可能。会議室不足の解消が期待できます。また、もっとスマートフォンでも仕事ができる環境の実現も模索しています。
「日常生活では PC があまり使われなくなり、スマートフォンが中心になったのに対して、仕事ではスマートフォンが使えず、 PC が必要というのは矛盾しています。デバイスに依存することなく、仕事ができる仕組みを実現したいと思っています。そのほか、Google Cloud Platform(GCP)の、AI や Cloud Vision を使った画像解析などのサービスを使って、人がチェックしている部分を自動化してみたいと思っています。特にやりたいのは、Google Cloud Video Intelligence による動画分析で、映像の中にスポンサーの競合商品が映り込んだりするのを防ぐ仕組みに活用できるのではないかと期待しています。」(峯松さん)
また 28 局で構成される JNN(ジャパン ニュース ネットワーク)系列局に、G Suite を推薦する取り組みも、引き続き推進していく計画です。「すでに G Suite を導入している局もありますが、まだ何を導入すべきか悩んでいる局も多いので、必要に応じて各局に伺い、G Suite の導入を啓蒙していきます。これにより、系列局における情報共有の活性化も期待できます。」(稲川さん)
今回、TBSでは、各部署で IT リテラシーの高い人にインフルエンサーとして協力をしていただき、局内に広めていくという手法で、G Suite の導入を進めました。これにより、効率的かつ効果的な、G Suite の展開が可能になりました。導入当初は、利用者からの問い合わせも少なからずありましたが、今では利用者から "G Suite を導入してくれてありがとう" という言葉ももらえるまでに、利用が促進されています。今後、TBS では、社内のレガシーシステムを、GCP に移行することで、さらに働き方改革の推進を支援していく計画です。
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