合同産業株式会社:業界が直面する課題を乗り越え、さらに先を目指す合同産業。そのチャレンジを Google のソリューションがサポート
Google Cloud Japan Team
ビル メンテナンスを軸に事業を展開する合同産業株式会社は、ICT 導入に積極的に取り組み、業務の属人化とブラック ボックス化、そして業界の恒常的な課題である人材不足の解消に挑戦しています。こうした取り組みを推進するにあたり、早くからその可能性に着目していた Chromebook と Google Workspace を採用し、数々の成果を生み出しています。同社 IT 部門の責任者と担当者の 2 人に話を伺い、そのチャレンジの足跡を追いました。
利用している Chrome Enterprise サービス:Chrome Enterprise、Chromebook
働きやすく、価値の高い会社の実現にはICT が切り札になるという強い思い
ビル メンテナンス業界は労働集約型産業であり、慢性的に人手が足りないという深刻な課題もあります。大手は ICT や AI、清掃・警備ロボットといったテクノロジーを積極的に導入し、人材不足の解消を目指していますが、中堅中小企業においては大きな投資は困難です。従業員の高齢化がデジタル化の壁になっている側面もあります。
合同産業は社員約 500 人という中堅規模の企業です。人材不足や業務の属人化といった課題を解決し、持続的に事業を発展させていくためにはやはり IT が切り札になると、執行役員で ICT 推進室長も務める佐藤悟氏は語ります。
「以前、業務の棚卸しを実施したところ、いたるところで紙の書類が使われ、押印による承認も多く残っていました。業務連絡や伝達もノートと電話が中心で、専門的な知識や経験が必要となる部分も多いことから、ほとんどの業務が属人化している状況でした」
業務が属人化、ブラック ボックス化していたために、提供するサービスの向上や業務品質の維持管理が難しく、非効率な業務による長時間労働が蔓延していたといいます。
そこで同社は、業務品質向上と顧客・従業員満足度アップを目的とし、業務効率化やペーパーレス化の先を目指して動き出しました。具体的には、デジタル活用による情報の可視化、ノウハウの蓄積・分析とフィードバックの活用、時間の有効利用と適正化、コミュニケーション手段の拡充に着手したのです。
この取り組みをサポートしているのが、Google のソリューションです。業務可視化とデータ蓄積・再利用のために、Google Cloud Platform(以下、GCP)上で点検や検針、報告書作成などビルメンテナンスに関わる業務支援ツールを自社開発し、運用しています。加えて Google Workspace を導入し、各種業務のデジタル化で時間の有効活用とコミュニケーション変革も実現しました。
Google の多様なツール間連携がスピードアップと情報共有を促進
Google のクラウド ソリューションは 2010 年代前半から導入しています。なぜそんなにも早い時期に Google に着目したのか。佐藤氏は次のように話します。
「2011 年、Chrome OS の基となる Chromium OS の存在を知ったのが Google との出会いでした。将来的にはオンプレミスからクラウドへ移行してくだろうと予測しており、それが目の前に実際に現れたのが衝撃でした。翌年には Chromebook のプロトタイプに触れる機会があり、Chrome OS はいずれ主流 OS の 1 つになる可能性が高いと確信し、台湾から Chromebox を輸入し検証を行いました」
Chromebook を試用する一方で GCP と Google Workspace の活用を始めていた同社は、2014 年 5 月に Chromebook の本格導入を決断します。ただ、これは Chromebook ありきで進めたわけではなく、GCP と Google Workspace を使っていること、現場が Google Glass や Android スマートフォンを採用していたことが強く影響したようです。
「他社のハードウェアも比較検討しましたが、Chromebook の圧勝でした。GCP、Google Workspace、Android 端末にもシームレスに連携でき、リモートでの一括管理や端末のセキュリティ、そしてトータルコストを考えると、Chromebook の採用はもはや必然であったとさえいえるでしょう」と佐藤氏は振り返ります。
同社ではこれまで計 260 台の Chromebook を導入してきました。Google Workspace と組み合わせた活用により生まれたメリットについて、武田氏は次のように説明します。
「現場は GCP 上の自社開発ツールで業務を行っていますが、たとえば点検の際に出てきたデータは Google ドライブに自動蓄積されますし、水漏れなどのトラブルが発生したときはスマートフォンで写真を撮るだけで Google スプレッドシートの報告書を簡単に作成できます。これまではデジタルカメラで写真を撮り、SD カードを PC に差し替え、Word を立ち上げて画像を貼るという作業が必要でした。Chromebook、Android スマートフォン、Google Workspace が効率的に連携できているおかげでその手間がなくなり、格段にスピードアップしました。また、コミュニケーション手段の拡充という点でも効果が表れています。今までは紙や電話でのやり取りが多かったのですが、それが Google Meet や Gmail に代わり、いつでもどこでも情報共有ができるようになりました」(武田氏)
“Chromebook でできる!” その成功体験が共感につながり、文化をつくる
ICT 推進室としては、浸透には苦労も感じていました。まずは Windows のアプリ、とりわけ Excel から Google スプレッドシートへの置き換えです。「中には取引先の要望で Windows を使わざるを得ないファイルもあるのですが、そういった技術的な部分より、長年使い慣れたツールを変えることへの抵抗感が大きかったですね」と武田氏。
これについては「なぜ変えるのか」を丁寧に説明していきながらも、ユーザーの気持ちに立って考えることが大切だと佐藤氏は指摘します。「Windows の使用を完全にやめるのではなく、クラウド上に Chromebook から使える仮想 Windows 環境を用意し、いつでも Windows が使えるという心理的安心感をもたらすようにしています。これによって端末自体は Chromebook への移行を促し、使い続けていくうちに "Chromebook だけで完結するかも" という気づきにつなげるのが狙いです」
佐藤氏は "お孫さん戦法" も有効だと話します。「デジタル好きな年の離れた若手から Chromebook の使い方を広めてもらい、年配社員にデジタルに対する自信をつけさせる。会社が上から指示してもなかなか使ってもらえないので、経営層や IT 部門が社内でアーリー アダプターをいかに見つけ出すか、ここがポイントになると考えています」
こうした取り組みの成果として、印象的なエピソードがあったといいます。2021 年に九州で新たな事務所を開設した際、赴任した社員は Chromebook と共に "お守り" として Windows PC も持ち込んだそうです。ところが業務開始後、「Windows PC は使わなくなったので返却します」との申し入れがあり、ICT 推進室では驚いたとのこと。この例に象徴されるように、実際に「Chromebook だけで仕事ができた」という成功体験が共感として広がりつつあり、佐藤氏も武田氏も手応えを感じています。
そのほか、電話やメールではなく Chromebook での Web 会議が恒常化し、Google Chat によるコミュニケーションも増えました。ファイルも従来のようにメール添付するのではなく、共有して作業する文化が根付き始めています。紙からの脱却も進み、時間や場所・端末に依存しない働き方が広がってきました。総じて「業務にスピード感と一体感が生まれ、大きな変化を実感しています」と武田氏は語ります。
現在は Chromebook に対応しているプリンタも充実しているようですが、Chromebook 導入当時はプリンタとの接続の部分も課題で、当初は複合機を買い換えるなどひと騒動あったようですが、これも Google Workspace を活用する共有文化と紙からの脱却によって解決したといいます。一方、定量的な成果としては、従来は Windows PC 1 台に対し Office ライセンスを 1 つを購入していましたが、Google Workspace への移行でライセンス数を削減でき、コスト面のメリットがありました。
今後については「人材不足をはじめとする課題に IT を活用して対処しながら、現在も展開している外部向けの ICT ソリューションサービスをさらに進化させるとともに、差別化に向けて AR / VR / MR やメタバースにも挑戦していきたいと考えています」と佐藤氏。「Google に対しても、最新技術や革新的デバイスへのこれまで以上のチャレンジを期待しています」と締めくくりました。
1959 年設立。施設の設備管理・警備・清掃などを幅広く手がける建物総合管理事業(ビル メンテナンス)を柱とし、そこに関連する業務支援ツール・ペーパーレス業務管理システムといった ICT ソリューションの開発・外部展開や、持続的なスマート社会づくりにつながる開発事業も手がける。東京と広島に本社を置き、2021 年 10 月時点の社員数は 472 人。「人」にフォーカスし、全社員の幸せを追求したうえで、顧客に喜ばれ、社会に貢献できる企業としての成長を理念に掲げている。
(導入台数)
Chromebook
260 台
インタビュー担当者様
合同産業株式会社
東京本社 ICT推進室 室長
佐藤悟氏
合同産業株式会社
東京本社 ICT推進室
武田麻友子氏
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