フジテック株式会社の導入事例:Chrome のセキュリティと可用性を評価し Chromebook を採用。起動が速く、盗難や紛失時にもデータ漏えいのリスクを軽減
Google Cloud Japan Team
都市部は、地方から人が集まり人口が密集するために建物が高くなります。建物が高くなればなるほど、縦に人を運ぶ乗り物である昇降機の重要性も高まります。Chromebook の導入により、昇降機の徹底した安全管理や現場の作業環境の改善に取り組む、フジテック株式会社(以下、フジテック)の情報システム担当役員および現場のメンテナンス責任者に話を伺いました。
■ 利用している Chrome Enterprise サービス
Chrome Enterprise、Chromebook、Chromebox、Chromebox for meetings、Chromebit
■ フジテック株式会社
エレベータ、エスカレータ、動く歩道の研究開発から販売、生産、設置、メンテナンス、リニューアルまで、一貫したサポート体制で、安全・安心な昇降機を提供する専業メーカー。世界 24 の国と地域で事業拠点を展開。売上高 168,795 百万円(連結 平成 29 年 4 月 1 日~平成 30 年 3 月 31 日)売上構成比は、海外が 6 割、国内が 4 割。従業員数 2,919 名(単独 平成 30 年 3 月 31 日現在)
■ 写真左から
常務執行役員 情報システム部長 友岡 賢二 氏
近畿統括本部 / 神戸支店 据付・改修グループ 副参事 花田 高志 氏
低コストで運用も楽、常に最新のサービスを利用できる Google は強い味方
東京や大阪などの都市部では、乗らない日はないといっても過言ではないエレベータやエスカレータ。毎日乗る、都市空間移動システムであることから、安全・安心で、確実な動作が求められます。2018 年に創業 70 周年を迎えたフジテックでは、すでに重要な社会インフラとなった昇降機を、全国 120 か所を超えるサービス センターでサポートしています。エレベータの研究開発生産拠点「ビッグウィング(滋賀県彦根市)」、エスカレータの研究開発生産拠点「ビッグステップ(兵庫県豊岡市)」、メンテナンス / リニューアル技術の研究開発を行うアフター マーケット拠点「ビッグフィット(大阪府茨木市)」らにおける研究開発生産や販売、生産、据付、保守、リニューアルまでの一貫したサポートを効率的に実施するためには、IT の活用は不可欠です。同社の IT 戦略について、常務執行役員 情報システム部長の友岡 賢二さんは、次のように語ります。
「約 30 年間、専門家として IT に関わり、過去 20 年間は ERP を中心とした基幹システムに注力してきましたが、これまでの IT のサポート範囲は非常に限定的でした。たとえば、生産管理システムを導入しても、実際にラインで働いている担当者が得られる直接的な恩恵はごくわずかでした。この状況が、モバイルとクラウドの登場により一変します。モバイルやクラウドにより、現場の担当者に旬の IT のメリットを迅速かつグローバルに提供できます。その強力なパートナーが Google です。Google のプロダクトは、低コストで、運用も楽。また常に最新のサービスを利用できます。」(友岡さん)
さらに友岡さんは、「Google が提供しているサービスで、使えるものはすべて使うという方針です。」と話します。その一環として、同社では、Chromebook、Chromebox、Chromebox for meetings、Chromebit、G Suite を採用しています。
イノベーションのジャンプが大きいのが Google サービスを使うメリット
これまで昇降機のメンテナンス担当者は、ノート PC を社外に持ち出して業務に使っていました。しかしノート PC は、ログインし、次に VPN に接続してようやくアプリを利用できます。友岡さんは、「アプリを使いたいときに、パッと使えないという課題がありました。またハードディスクにデータが保存されているため、ノート PC が盗難にあったり、紛失した場合、データが漏えいするリスクもありました。そこで必要な情報を、印刷して持っていくことになり、印刷コストがかかり、最新版がどれだか分からなくなる問題もありました。」と言います。そこで 2014 年 10 月より、Chromebook 導入の検討を開始し、数台を導入して検証を実施。軽くて持ち運びやすい、起動が速くすぐにアプリが使える、データ漏えいの不安がないなどのセキュリティと可用性を評価して採用を決定。また、いつでも、どこからでもシステムの緊急対応ができる Google リモート デスクトップも好評でした。その後、2015 年より本格的な導入を開始。まずは約 40 名の情報システム部員に 1 人 1 台、Chromebook を配布しています。 同社では、国内に約 3,000 名の従業員がいますが、営業部門や昇降機の設置部門、メンテナンス部門など、主に社外で業務をする部門に Chromebook を配布。軽量タイプと高機能タイプの 2 種類の Chromebook を 222 台導入しています。軽量タイプと高機能タイプ、どちらを選ぶかは、利用者の判断に任されています。
Chromebook のメリットは、起動が速く、すぐに Google のサービスを利用できることです。またコスト パフォーマンスの高さも魅力でした。友岡さんは、「Chromebook は、ノート PC の半分のコストで導入できる感覚です。」と話します。
また、Chromebook には、OS のアップデートやセキュリティパッチなどによる停止時間がないこともメリットの 1 つ。現場や情報システム部門の作業を、OS のアップデートやセキュリティパッチなどで止めてしまう心配がありません。
さらにデータが Google ドライブに保存されることや、システム管理者が端末上のデータをワイプ処理で削除できるなど、高い Chrome のセキュリティにより、Chromebook の盗難や紛失時にも、データが漏えいするリスクを軽減できます。運用管理も Google アカウントを持っていれば、権限の範囲で管理画面から簡単にポリシーを変更できるので、運用コストの削減も期待できます。
管理面での効果を友岡さんは、次のように語ります。「新規導入で、これまでのものとの比較ができないので、定量的な効果を測るのは難しいのですが、それだけイノベーションのジャンプが大きいというプラスがあると思っています。」
一方、現場の効果について近畿統括本部 / 神戸支店 据付・改修グループ 副参事の花田 高志さんは、「以前は、エレベータが動かないといったトラブルの際には、現場の担当者と事務所の設計部門、開発部門と携帯電話でやり取りして解決していたために、窓口へ連絡が集中することがありました。Chromebook を導入したことで、外出先で現場の担当者から連絡を受けても、Chromebook で資料や図面を確認し、その場で対応策を伝えることができます。また 24 時間 365 日体制で緊急対応ができるのは大きなメリットでした。」と話します。
2018 年 6 月に発生した大阪府北部地震では、多くのエレベータが停止したため緊急対応が必要でした。花田さんは、「地震のあと電話がつながりにくくなったのですが、事務所のスタッフが、ハングアウトで復旧場所や復旧内容を現場のスタッフに伝え、現場のスタッフはその場所が復旧したら次の場所を確認するなど、ハングアウトは非常に役立ちました。」と話します。ハングアウトに関しては、会社支給のスマートフォンと個人所有のスマートフォン(BYOD)、どちらでも利用できるようになっています。
Chromebook 以外では、Chromebox が滋賀県と大阪府の情報システム部門の拠点に先行導入されています。現在は 15 拠点に 20 台が導入され、テレビ会議に利用しています。友岡さんは、「専用のテレビ会議システムもありますが、会議室を予約したり、IP アドレスの交換、会議番号を入れたりと手続きが大変です。Chromebox for meetings は操作が簡単で、会議をすぐに始められるので、利用頻度は高くなっています。また海外の拠点とは、PC やスマートフォンを使って、ハングアウトで会議をすることもあります。」と話します。
さらに広報室が主体となり、Chromebit をデジタルサイネージに利用しています。現在は、東京と香港で活用し、東京本社のエントランスでは、Chromebit を使ったプロモーション映像を表示しており、今後は、国内外の拠点にも展開していく計画があるそうです。
今後の Google サービスへの期待を友岡さんは、次のように話しています。「Chromebook に関しては、とにかく軽くて、使いやすい製品を追及してほしいです。またメンテナンスの現場では、ウェアラブル デバイスがあれば、両手がふさがらないので便利です。さらに、Cloud AutoML にも興味があります。たとえば Gmail では、反復性のある操作を機械学習がアシストしてくれます。このように、ユーザーが求めるのではなく、機械学習が人の行動を理解して、情報をプッシュしてくれるコンピューティングの世界を作っていきたい。それができる Google を信頼しているし、期待もしています。」
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