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顧客事例

株式会社大和総研:Vision API を用いたサポートデスク業務の自動化で DX 推進

2021年2月4日
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Google Cloud Japan Team

※ 以下、本文中に掲載している企業名、部署名は 2021 年 2 月取材時点のものです。
株式会社大和総研ビジネス・イノベーションは 2021 年 4 月 1 日付で株式会社大和総研ホールディングス、株式会社大和総研と統合し、株式会社大和総研となりました。

大和総研グループの一員として一般企業や金融機関などにシステムを提供する大和総研ビジネス・イノベーションでは、2019 年 10 月に金融機関向けの顧客サポートを「金融サービス企画部サービスサポート課」として統合。さらなるサービス品質向上を目指し、業務の DX を積極的に推進しています。今回はその一環として実施された サポートデスク業務の自動化・効率化について Google Cloud がどのように活用されているのかをお話しいただきました。

利用している Google Cloud サービス:Vision APIAutoML Natural LanguageSpeech-to-Text など

Vision API を活用し、わずか 1 か月で実用的なシステムを構築

「サポートデスク業務では、電話、メール、FAX など、さまざまな接点でお客さまからのお問い合わせをいただきます。新設されたサービスサポート課ではそれらを 1 つずつ近代化していく取り組みを行っており、最初に手をつけたのが圧倒的に件数の多い電話でした。具体的には 2019 年末から Google Cloud の Speech-to-Text を利用した音声のテキスト化に取り組んできました。そんなこともあり、今回お話しする FAX への対応については後回しになっていました。」


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そう語ってくださったのは、株式会社大和総研ビジネス・イノベーション 金融サービス企画部サービスサポート課の DX 推進担当である吉川さん。当時、同社ではサービスサポート課に届いた FAX は、当番社員が内容を確認して担当者に手渡しで振り分けるという業務フローになっていたそうです。「非効率であることは認識していた」(吉川さん)とのことですが、件数的に電話ほど多くなかったこともあり、どうしても優先順位を下げざるを得ませんでした。

しかし、2020 年初頭、COVID-19 の感染拡大に伴う緊急事態宣言発令でその状況が大きく変わってしまいます。大和総研グループは従来からリモートワーク環境が整備されており、在宅でもオフィスとほぼ同水準の業務を行うことができるようになっていましたが、FAX についてだけは、その確認と振り分けのために毎日誰かが出社しなければならなかったのです。そこで同年 7 月には、FAX 受信機の機能を利用して受信 FAX を PDF 化してファイルサーバーに保存、それを当番社員がリモートで定期確認して担当者に振り分けるというフローへ移行しました。この時点で緊急事態宣言発令前の状況に近づけることができましたが、吉川さんはこれを機に、大きな負担になっていた当番社員の目視による振り分けという点についても自動化することを決意します。

「これを機に FAX 内容を OCR でテキスト化し、自動的に担当者に振り分けるシステムを開発しようということになりました。そのプラットフォームに Google Cloud を選んだのは、先にお話しした電話音声のテキスト化における Speech-to-Text の認識精度が非常に高かったから。電話音声テキスト化の際はさまざまな選択肢を検討したのですが、今回はまず Vision API を試し、充分に満足できる精度を確認でき、コスト的にも納得できるものだったので、なるべく早く実現したいという思いもあって導入を即断しました。」(吉川さん)

新たに作成したのは受信した FAX から作成された PDF から Vision API で情報を抽出し、あらかじめ定められたルールに沿って各部署のフォルダに格納、担当者にメールで自動通知するというもの。これを、わずか 1 か月で開発することができました。

「Google Cloud はドキュメントが充実していることに加え、ユースケースも出そろっているので開発はスムーズに進みました。電話音声のテキスト化の際に、Cloud Identity など、Google Cloud の利用環境を整えていたことも大きかったですね。そうした中で最も苦労したのは認識精度をどのようにして高めていくかというところ。当初から 90 %程度の振り分け精度は実現できていたものの、FAX が不鮮明だったり、斜めに読み込まれていたりすると正しくテキスト化されず、正確に振り分けできないということが少なからずありました。そこで現在は、単純なテキスト化ではなく、Auto ML Natural Language による PDF のカテゴライズ処理を追加することで、より精度高く担当者に配信できるようにしています。結果、現在はほぼ間違いも発生せず、信頼できる仕組みとして業務に組み込まれるようになっています。」(吉川さん)

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大和総研ビジネス・イノベーションの DX 推進の一つとして注目

現在、全社的に DXを推進していると言う大和総研ビジネス・イノベーション。今回の FAX 自動振り分けシステムもその一つとして、社内で注目されているそうです。

「DXの推進においては、これまでアナログな状態でしか存在しなかった情報をどのようにデータ化し、そのデータからどのように新たな価値を創出していくのかが重要です。大和総研グループ一丸となってデータ活用に取り組んでいく雰囲気、環境があったからこそ、今回の取り組みもアナログ情報のデータ化だけにとどまらず、そのデータの活用にまで踏み込むことができたと考えています。」(吉川さん)

また、社内事例として今回の取り組みの概要を共有したところ、他部署からも大きな引き合いがあったと言います。

「金融機関のバックオフィス業務など、FAX の利用が多い業界を担当している部署から、この仕組みを転用できるのではないかと問い合わせを受けています。本来であれば、FAX を利用した業務は撤廃し、メールやその他の媒体を使った情報のやり取りに切り替えていくのが一番ですし、いずれはそうなるでしょう。しかし、現時点では FAX を利用した業務が多々残っている事が現状です。その現状を責めるのではなく、その中でも業務を効率化できるのだという事例ができたのではないでしょうか。」(吉川さん)

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「サービスサポート課の責任者としても、迅速に良いものを、しかも安く構築できたことをとても高く評価しています。課として求めているのは省力化とサービス品質の向上。FAX については良い成果が出せたので、今後は同じく Google Cloud を使っている電話音声のテキスト化により注力していきたいですね。今後は音声の分析精度を上げていくにあたり、Google Cloud のプロダクトを積極的に活用していきたいと考えています。」(山崎さん)


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(写真右から)
・金融システム開発本部 金融サービス企画部サービスサポート課 課長 山﨑 達也 氏
・金融システム開発本部 金融サービス企画部サービスサポート課 吉川 澄 氏

株式会社大和総研ビジネス・イノベーション
大和総研ビジネス・イノベーションは、大和証券グループのシンクタンクである大和総研グループの一員として、大和総研で培ってきたリサーチ、コンサルティングをはじめとするシンクタンク機能、システム コンサルティング機能、システム ソリューション機能を融合させ、お客様の事業や地域の特性に合わせたトータル ソリューションを幅広い業態のお客様向けに提供している。国内有数のシンクタンクである大和総研と緊密に連携することで、事業会社や官公庁、健康保険組合など、多岐の分野にわたるお客様に「真に最適なソリューション」をトータルで提供している。2021 年 4 月にはグループ 3 社が統合し、株式会社 大和総研となることがすでに発表されている。


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