Framing up Cloud FinOps: 3 つの質問への回答
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 4 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: この投稿は最新の Twitter スペース シリーズ「Framing up FinOps」の概要です。こちらで視聴できます。Google Cloud の Twitter アカウントでは、新しいエピソードを隔週で公開しています。
現在はかつてないほど費用削減の意識が高まっており、多くの企業が財務レジリエンスを優先事項としています。また、業界アナリストのレポートのとおり、お客様は費用の最適化と費用効率の向上を求めています。
クラウドに投資すると、節約の機会が得られるだけでなく、ビジネス価値のトップラインを成長させるための優位性を見出せます。クラウド費用の管理は時に難しいものですが、簡単に行うことも可能です。実際、多くの組織がクラウドを活用してイノベーションを推進しています。こうした課題を解決するのが Cloud FinOps です。このブログ投稿では、この新しい規範に関するよくある 3 つの質問にお答えします。
Cloud FinOps とは何ですか?
Cloud FinOps は、財務のアカウンタビリティを高め、クラウドでビジネス価値の実現を加速するためにテクノロジー、財務、ビジネス部門のリーダーを一体化し、文化的な転換をもたらす運用フレームワークです。
Cloud FinOps は、ソフトウェア開発における DevOps と同様の進化を遂げることが予想されます。かつて、ソフトウェア エンジニアは単なる開発者でした。しかし今では、ソフトウェアを開発するだけでなく、そのデプロイについて検討し、責任を持つことが全エンジニアの仕事の一部となっています。より多くの企業がデジタル トランスフォーメーションを進めるなかで、文化的な転換が必要になってくるのです。Google は、組織全体の誰もが FinOps を担う未来を思い描いています。
組織に FinOps を大規模に実装するにはどうすればよいですか?
Google は長年にわたり、100 人以上のお客様とともにこのトピックに取り組んできました。そのなかで、FinOps の導入を成功に導くための 5 つの重要な要素を特定しました。
1. アカウンタビリティとイネーブルメント
FinOps の対象はエンジニアだけではありません。テクノロジー、財務、およびビジネス部門のリーダーで構成される一元的な FinOps チームの調整を考えることが重要です。このチームが一丸となることで、財務上のアカウンタビリティを推進し、FinOps のベスト プラクティスを導入することが可能になります。
2. 測定と実現
お客様は、デジタル トランスフォーメーションの取り組みの初期段階に、単価(保存容量単価、仮想マシン単価など)についてよく考えます。しかし、組織が成熟し、FinOps とそれに関連する規範が受け入れられるようになると、ユニット エコノミクスを考慮する必要があります。コスト ドライバーとビジネス収益のトップラインの成長を結びつけられているでしょうか。これには、取引ごと、サービスを提供した顧客ごと、デジタル注文ごとのコストなどの測定が含まれます。この取り組みにおいては、基本的な KPI と成功指標を確立することが重要です。
3. クラウドの最適化
FinOps は一度で終わる取り組みではなく、継続的なプロセスです。さらに、組織全体で費用を意識した文化を推進することは、1 人の従業員や 1 つのチームの仕事ではありません。財務のアカウンタビリティは全員の責任です。最適化について次の 3 点を検討することをおすすめします。
リソースの最適化
多くの場合、最初に考えるべきことは、リソースの効率を最適化することです。たとえば、クラウドでアプリケーションをデプロイする際にインスタンスのサイズをどのように決めているか、あるいは VM を使用していないときにスケールダウンしているかを考えます。適切なサイズと制御方法を導入したら、次に価格について考えましょう。
価格の最適化
次に、オンデマンド料金と予約料金のオプションについてより詳しく比較検討します。たとえば、Google では確約利用割引を提供しています。1 年または 3 年の確約利用割引のいずれかを選択するなど、組織にとって最も財務上合理的なオプションを決定するために、数値を検証します。
アーキテクチャの最適化
多くのお客様は、オンプレミスからデータセンター、クラウドへと移行する際に、リフト&シフトについて考えがちです。しかし、お客様が最も価値と利益を実感する傾向があるのは、BigQuery やその他のマネージド サービス プラットフォームにスタックを移行するときであることがわかりました。この価値を活用するためには、アプリケーション コードのリファクタリングが必要になることがよくあります。
4. 計画と予測
財務リーダーであれば、この FinOps 導入の 4 番目の柱を常に念頭に置いていることでしょう。たとえば、月々の費用が変動するオンデマンドの従量課金制モデルの管理から、実際の年間予算計画に照らし、見通しを確実に立てるためのトラッキングまで、どのように移行するかを検討する必要があります。多くのお客様は、将来の成長を予測するために、過去のデータを使用したトレンドベースの予測を活用しているようです。ただし、トレンドベースの予測にドライバー ベースの予測を組み合わせることで、より的確な予測が可能になることが判明しています。
5. ツールとアクセラレータ
仕事を円滑に進めるには、会社の誰もが必要なときに必要な形で必要な情報やデータにアクセスできる必要があります。Google Cloud では、このようなアクセスを可能にするとともに、クラウド費用に関するビジネス上の意思決定を情報に基づいて行うことができるように、自動化と準リアルタイムの分析情報の両方を提供しています。重要なのは、FinOps を成功に導くにはツールだけでは不十分だということです。繰り返しになりますが、FinOps は人、プロセス、テクノロジーを包括する文化的発想の転換なのです。また、トランスフォーメーションのどの段階かによって、ツールのニーズも変わります。
自分の組織では、Cloud FinOps の構築をどこから、どのように始めればよいでしょうか?
現在のクラウド FinOps の機能がどの段階にあるかを理解することが重要です。組織の複数のクラウド FinOps のプロセスとサブプロセスの成熟度によって、技術、戦略、またはトランスフォーメーションが焦点となります。Google では、お客様と協力して FinOps の成熟度を特定し、カスタマイズしたアクション プランを作成します。たとえば、トランスフォーメーションの初期段階であり、主に技術面に重点を置いている場合は、タグ付け / ラベル付け戦略を実装してクラウド費用をセグメント化し、費用を配分するお手伝いをします。Google Cloud のプロダクト、ツール、リソース、データを活用することで、効率性を推進し、組織にとって最大の価値をもたらすプロセスに多くの時間を割くことができます。
Cloud FinOps を利用すれば、トランスフォーメーションのどの段階にいるお客様も、クラウド上で組織の費用削減とビジネス価値の向上を実現することができます。
このトピックおよび Cloud FinOps に関するその他のトピック(費用の最適化、予測、費用配分、文化の変化など)について詳しくは、Twitter スペースの新シリーズ「Framing Up Cloud FinOps」をご覧ください。新しいエピソードを隔週で公開しています。
- Cloud Billing エクスペリエンス担当プロダクト リーダー Sarah McMullin