新しい Looker テンプレートと BigQuery ビューを使用してクラウド間で課金データを正規化する
Rupa Patel
Senior Product Manager, Cloud FinOps
※この投稿は米国時間 2024 年 6 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud は、クラウド費用をより適切に管理、最適化するために、他のクラウド プロバイダと並んで Google Cloud の費用を分析するためのリソースが必要であると強く信じています。クラウド プロバイダ間では異なる課金用語が使用されているため、その対応付けを行うために時間を費やす必要がありました。私たちはオープン スタンダードを通じてそれを解決したいと考えています。Google は、FinOps Foundation の創設メンバーであり、FOCUS™ プロジェクトの創設運営委員会メンバーであるとともに、v0.5 および v1.0 オープン課金仕様のプレビュー版と一般提供双方に対する主要な貢献者でもあります。このたび、一般提供されている最新の FOCUS v1.0 に基づいてクラウド全体のクラウド費用管理を簡素化する、新しい Looker テンプレート ビューがリリースされたことをお知らせいたします。
FOCUS とは
クラウド課金データの統一仕様である FOCUS は、複数のクラウド ベンダー全体の費用と使用状況の課金データを標準化する技術仕様です。FOCUS の目的は、クラウドと使用状況データを 1 つの共通データスキーマに統合することにより、クラウド課金データ全体の整合化と標準化を実現することです。FOCUS が登場する前は、複数のクラウド サービス プロバイダ(CSP)間で主要なクラウド費用と使用状況の基準を正規化する業界標準がなかったため、請求額、クレジット、使用状況、指標をクラウド プロバイダ間でどう対応付ければよいかを把握することが困難でした(詳しくは FinOps に関するよくある質問をご覧ください)。
FOCUS イニシアチブは、クラウド課金データのオープン スタンダードを開発しており、すべての主要クラウド ベンダーに採用されています。バージョン 1.0 の導入により、CSP によって生成される課金データセットに共通の分類法、用語、指標が確立されました。
一般提供版 FOCUS v1.0 向けの新しい Looker テンプレートのご紹介
新しい Looker テンプレートを使用すると、FOCUS クエリの結果に基づいてテーブルを生成し、Looker で未払いの請求データを可視化できます。提供されている LookML コードによってこれらのテーブルが自動的に作成および管理されるため、手動で作成する必要はありません。このテンプレートは、サービス、SKUS、ゾーン、リージョン、リソースタイプ全体の費用傾向を可視化する方法の概要を示しており、多くの利点があります。
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すぐに使えるテンプレート: カスタム ダッシュボードの登場を待つ必要はありません。テンプレートを使用すると、費用の傾向(サービス、料金、地域別の内訳)を示す、事前に可視化されたビューにすぐにアクセスできます。
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簡単なフィルタリング: このテンプレートはデータ アナリストでなくても使用できます。Looker には、特定の期間やサービスを基準にフィルタし、数回クリックするだけで詳細にドリルダウンできる直感的なインターフェースが備わっています。
- カスタマイズ性: テンプレートは優れた出発点ですが、Looker の柔軟性により、特定のニーズに合わせてビューをカスタマイズできます。カスタム指標を追加したり、可視化を変更したり、ダッシュボードを既存のワークフローに埋め込んだりする必要がある場合は、簡単に行うことができます。
請求サービス、パブリッシャー、コミットメントなどに基づく費用の表示
一般提供版 FOCUS v1.0 向けに更新された BigQuery ビュー
Google は、費用と使用状況に関連する Cloud Billing データを BigQuery にエクスポートする手段を 3 種類提供しています。標準の課金データのエクスポート、詳細な課金データのエクスポート(リソースレベルのデータと料金フィールドを料金エクスポート テーブルに結合)、料金のエクスポートです。Google は 1 月に、SQL クエリの結果を表す仮想テーブルである新しい BigQuery ビューを導入しました。このビューは、データをプレビュー版 FOCUS v1.0 の形式に変換するものでした。そしてこのたび、FOCUS v1.0 の一般提供に合わせて BigQuery ビューを更新することになりましたのでお知らせします。すでにプレビュー版を使用しており、BigQuery ビューを一般提供版 FOCUS に更新する場合は、新しい変更を反映するように最新の状態に保たれている既存のガイドをご覧ください。
BigQuery ビューの優れている点は、クエリ可能な仮想テーブルに、ビューを定義する基本クエリで指定されたテーブルとフィールドのデータのみが含まれていることです。BigQuery ビューは仮想テーブルなので、すでに BigQuery へ課金データをエクスポートしている場合、データ ストレージの追加料金は発生しません。BigQuery ビューを使用すると、以下のことが可能になります。
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FOCUS v1.0 仕様に適合した Google Cloud Billing データを表示してクエリを実行する
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Looker Studio のような可視化ツールのデータソースとして BigQuery ビューを使用する
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共通の FOCUS フォーマットを使用して、Google Cloud の費用を他のプロバイダのデータと一緒に分析する
仕組み
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FOCUS BigQuery ビューは、既存の Cloud Billing データ上にある仮想テーブルとして機能します。この機能を使用するには、詳細な課金データのエクスポートと料金のエクスポートを有効にする必要があります。FOCUS BigQuery ビューでは、基本 SQL クエリを使用して Cloud Billing データを FOCUS スキーマにマッピングし、指定されたフォーマットで表示します。こうすることで、FOCUS ネイティブであるかのようにデータをクエリして分析でき、さまざまなクラウド プロバイダ間で費用を分析しやすくなります。
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Looker テンプレートは、Looker Studio ではなく、Looker と Looker Core でサポートされています。テンプレートをすぐに使用するには、詳細な課金データのエクスポートと料金のエクスポートが有効になっていることを確認してください。また、新しい Looker プロジェクトおよび接続を作成するための権限も必要です。
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BigQuery ビューとは異なり、この Looker テンプレートは一時テーブルを利用します。提供されている LookML コードによってこれらのテーブルが自動的に作成および管理されるため、手動で作成する必要はありません。
Google は、FOCUS の力を Looker と BigQuery で簡単に活用できるように手順ガイドを作成しました。前述の Looker テンプレートとサンプル SQL クエリを表示し、手順ガイドに沿って活用するには、こちらから登録を行ってください。
サービス、リージョン、アベイラビリティ ゾーン、コミットメント別に費用を比較する
将来に向けて: オープンな課金標準をリード
Google は、お客様、業界の FinOps 実践者、FinOps Foundation、CSP、SaaS プロバイダなどとともに、オープンな課金標準によるスタンダードを今後も形作っていきたいと考えています。FOCUS Looker テンプレートと BigQuery ビューを活用したクラウド費用の統合ビューを今すぐお試しください。詳細を確認して利用するには、こちらからご登録ください。
上述の機能の開発に協力してくれた Paige Rutherford、Sidney Stefani、Jingjie Zheng、Jacky Liu、Gina Huh に感謝の意を表したいと思います。
-Cloud FinOps、シニア プロダクト マネージャー Rupa Patel