FinOps のスケッチノート: Cloud FinOps のご紹介
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 11 月 15 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
クラウドへの移行とは、単にワークロードの移行や革新的な新しいアプリの構築を行うことだけではありません。それは組織にとって大きな第一歩ですが、序章にすぎません。クラウドへの投資から価値を最大限に引き出すには、考え方や組織文化を根本的に転換し、テクノロジーの浸透に応じて組織をどのように運営していくかを再考することが必要です。
クラウドに対応した文化で迅速なイテレーション、チーム間のコラボレーション、財務上の規律が実現されていくなかで、組織の各チームはともに働き方を変えていく必要があります。各チームメンバーは、自分の役割を認識し、プロセスに財務管理を組み込む方法を理解する必要があります。このような転換によって、組織はクラウドの可能性を最大限に引き出すことができ、チームはイノベーションの実現を加速させ、費用を削減し、競争力を高めることができます。
簡単なことではありませんが、やるだけの価値があります。改善の繰り返しと部門横断的な調整を実現することで、継続的にクラウドから最大限の価値を引き出すことができます。適切な組織文化、考え方、テクノロジー パートナーを持つことで、組織は素晴らしい成果を挙げることができます。


これまでに Google Cloud のブログ投稿をご覧になったことがあれば、Cloud FinOps について少しは目にしたことがあるのではないでしょうか。一方で、FinOps がどのようなもので、どのような機能を持ち、どのように使い始めればよいのかわからない方も多いと思います。そのような方に朗報です。Cloud FinOps や Google Cloud Platform サービスについての理解を深めていただくために、今後数か月にわたり、上述のようなスケッチノートを提供いたします。
Cloud FinOps とは
Cloud FinOps は、運用フレームワークと文化的な転換により、テクノロジー、財務、ビジネス部門を結合して、財務のアカウンタビリティを高め、クラウド トランスフォーメーションを通じてビジネス価値の実現を加速させます。言い換えると、費用に対する意識とクラウドのアジリティを高めるための組織文化の転換です。一般的に考えられていることとは異なり、Cloud FinOps は単に費用削減の実践ではありません。FinOps Foundation の言葉を借りれば、Cloud FinOps とは、クラウドから最大限の価値を引き出して、効率的な成長を促進することです。
Cloud FinOps には、次のような 5 つの主要な構成要素があります。
- アカウンタビリティとイネーブルメント: 部門横断的なチーム、標準、イネーブルメントを設定して、クラウドの費用を大規模に管理できるようにします。
- 測定と実現: KPI と価値の指標を使用して費用の透明性を高め、成功を促進します。
- 費用の最適化: クラウドのリソース、料金、アーキテクチャに注目して、継続的な費用最適化の取り組みを進めます。
- 計画と予測: 予算編成、割り当て、予測、チャージバック(代金請求の差し戻し)の方法をモダナイズして、費用効果の高い開発を実践できるようにします。
- ツールとアクセラレータ: ニア リアルタイムの費用レポート、自動化、ツール インテグレーションによって、データドリブンなビジネス上の意思決定を行えるようにします。
これらの構成要素によって、ガバナンス、ポリシー、指標、ツールを定義、整備して、クラウドの費用を計画、予測、管理、追跡できるようになるだけでなく、最適化も可能になります。
Cloud FinOps の導入には、主要なエンジニアリング チーム、財務チーム、テクノロジー チーム、そして経営陣の承認が必要です。この導入は、各ビジネス関係者が自身のクラウド費用の責任を持ち、最適化の取り組みを進めることの実践となります。
FinOps チームの主要な役割としては何があり、チームの規模はどれくらいにする必要があるかという質問を受けることがよくあります。FinOps チームの規模を、クラウドで使う費用となんらかの形で関連させる必要があるとお考えの場合は、考え方を変えてみてください。それよりも、これは組織が活用していく能力の問題です。複数の帽子(役割)を被った 1 人か、1 つの大きな帽子を被ったグループかということです(実世界では奇妙に思えるかもしれませんが、言いたいことをわかっていただけるのではないでしょうか)。とはいえ、FinOps Foundation の 2022 年の調査データで示されているように、一般的なチームの規模は 3~9 名です。主要な役割を詳しく見ていきましょう。
- Cloud FinOps マネージャー: Cloud FinOps 機能を監視して、ビジネス ユニットのクラウド イニシアチブを支援し、ビジネス目標と主な目的を達成できるようにします。
- Cloud FinOps アナリスト: ビジネス リーダーが的確なビジネス上の意思決定を行えるように、クラウド ワークロードの費用の可視性を高め、予算に対する支出をより高い精度で追跡可能にします。
- 費用最適化リード: クラウド リソースのモニタリングと監査を行い、運用費用の効率化を促進します。
- データ アナリスト エンジニア: データ分析を構築、統合して、クラウド財務モデルとレポートに活用します。
- プラットフォーム エンジニア: クラウドの費用自動化ツールを開発して、継続的インテグレーションおよびデリバリー パイプラインに統合します。
これを組織内に大規模に実装するのは難しいと思われるかもしれませんが、ご安心ください。Google Cloud が、Crawl-walk-run(簡単なことから着手し、徐々に範囲を拡大する)アプローチを使って段階的に進めていくお手伝いをいたします。
Google Cloud への投資から最大限の価値を引き出す方法は、ほかにもいろいろあります。Google Cloud からの今後の Cloud FinOps スケッチノートをどうぞお楽しみに。
-Cloud FinOps 担当責任者 Eric Lam
-Cloud FinOps、費用最適化担当プラクティス リード Pathik Sharma