Anthos:すべてのアプリケーションに対応する 1 つのマルチクラウド管理レイヤ
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 3 月 5 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2018 年に Anthos を初めて導入したとき、既存のアプリケーションをモダナイズする方法の一つにすぎないという声もありました。「オンプレミスのレガシー アプリケーションをコンテナに入れるだけでクラウドに移行できる」というものです。
しかし、昨年 4 月に一般提供されて以来、Anthos こそがすべてのアプリケーション(レガシー アプリケーションだけでなくクラウド ネイティブのアプリケーションも)のデプロイ、管理、最適化で求めていた方法だ、というお客様の声を耳にするようになりました。Anthos によって管理されるアプリケーションは抽象化されたインフラストラクチャ レイヤで実行されるため、誰が作成したかやどこで実行されるかに関係なく、アプリを効率的かつ安全に運用できるようにする高価値サービスを利用できます。また、ロックインや不必要な複雑さを心配する必要はありません。
言い換えれば、Anthos はアプリケーションを 1 回限りモダナイズするだけのものではなく、ハイブリッド化とマルチクラウド化が進む世界でアプリケーションの効率的な構築、デプロイ、運用を支援する統合プラットフォームです。Anthos はその過程で、クラウドコストを最適化し、アプリケーションの場所に関係なく管理オーバーヘッドを削減することで、インフラストラクチャの自動化と費用の削減を実現します。
マルチクラウドを可能に
マルチクラウドを望む声は多く聞かれます。今日、企業はさまざまな場所にアプリケーションを所有していて、その場所に維持するのか、将来的には移動させるのかを、さまざまな要因に応じて決定できる自由度を求めています。決定要因としては、コスト、稼働時間、コンプライアンス要件、レイテンシに関する考慮事項、他のサービスへの近接さなど、さまざまなものが挙げられます。統合することでビジネスリスクを回避できるわけですが、そもそもアプリケーションにポータビリティがなければ不可能です。
Anthos が開発される以前は、マルチクラウドは複雑で高価なものでした。さまざまなクラウド API やサービスに関して知識豊富な技術スタッフを見つけてトレーニングする必要がありました。また、ある環境用に設計したアプリケーションは、別の環境に簡単に変換または移植できず、結果としてサイロを生み出し、マルチクラウドのメリットが限定されていました。
マルチクラウドでは、お客様が将来を見据えたアプリケーションを自由に構築することもできます。次のアプリの構築場所を前もって決定しておく必要はありません。つまり、ロックインを回避できるよう、場所にとらわれることなく構築して、そのアプリケーションにポータビリティを持たせたいと考えています。
最大共通項としての一貫性
Kubernetes の基盤(特に Kubernetes スタイルの API)のおかげで、Anthos ではマルチクラウドを簡単に実現できます。最新のアップストリーム バージョンを開始点として使用する Anthos は、Kubernetes API(現代のアプリケーション開発の共通言語)と、多くの従来のワークロードをサポートするインターフェースと通信するすべてのワークロードを表示、オーケストレート、管理できます。
Anthos はデベロッパーに最新のクラウド テクノロジーを提供します。Cloud Code などのプロダクトとの統合により、デベロッパーはソフトウェアのテストとリリースをより迅速に、より高い品質で自動化できます。Cloud Run for Anthos を使えば、デベロッパーはどこでも実行できる弾力性のあるサービスを構築できます。また、Config Connector を使えば、VM を含むクラウド リソースに一貫した方法でネイティブにアクセスできます。Anthos に導入されたテクノロジーが何であれ、今日 Anthos 上に構築されるシステムには、明日デプロイされるあらゆる環境で整合性が確保されます。同時に、コストの削減とデベロッパーの生産性向上を実現できます。
セキュリティ、可視化、スケーラビリティ
Kubernetes の一貫性がマルチクラウドを可能にしていると言えますが、Anthos の利点はそれだけに留まりません。それ以外の Anthos のコンポーネントには、他のプラットフォーム プロバイダにはない機能を提供します。お客様は、すべての環境に渡って自動的に適用できるセキュリティ ポリシーを設定することを望んでいます。そうすれば、環境を監査および管理して、ポリシー主導の管理によるコンプライアンスの遵守を示すことができるからです。たとえば、Anthos の結果重視の構成モデルを活用している Anthos Config Manager を使用すると、すべての Anthos のデプロイに渡ってワークロードの実行方法と場所に関するポリシーを定義でき、そのポリシーに沿ってワークロードが実行され続けることを保証できます。
お客様はまた、アプリケーションに対する高い可視性を求めています。Anthos Service Mesh は、Anthos が管理するシステムで実行されるアプリケーションに対して、セキュリティとオブザーバビリティを提供するマネージド サービスです。パフォーマンス、サービスレベル目標、イベント、ネットワーク トラフィックを把握することで、アップグレードやパッチといった困難ながら差別化につながらない作業の一部を排除しつつ、トラフィックをきめ細かく制御できます。
最終的にお客様が求めているのは、さらなる出費なしでマルチクラウドを実現したいということです。実際、お客様が Anthos に期待しているのはコストの削減です。プログラムによって管理されるソフトウェア レイヤとして、Anthos は組み込みのステータス自動化機能で運用上のオーバーヘッドを削減し、デベロッパー ツール チェーンを最適化することでデベロッパーの生産性を改善します。そして今後は、従来のソフトウェアのライセンス費用から組織を解放することで、節約をさらに加速します。
すべての場所に Anthos を
マルチクラウド インフラストラクチャの現状と目標うとする状態を可視化し、目標を実現できる能力を備えた Anthos は、環境を最適化して、コスト、稼働時間、パフォーマンス、セキュリティの目標達成を支援します。Anthos が提供する運用データを活用すれば、パフォーマンスやレイテンシのニーズ、ある場所での 1 回の停止などの条件に基づいてアプリケーションを管理する方法を決定できます。まさにマルチクラウドの可能性であり、数ある Anthos 独自の利点の一つです。
お客様は Anthos の能力を非常に革新的と表現し、より多くの種類のアプリケーションに Anthos を拡張したいと考えています。最新のアプリケーションのデプロイ、管理、制御機能を、なぜ新規のアプリケーション以外にも拡張しないのですか?ごもっともなご質問です。Google はあらゆる場所のあらゆるアプリケーションに Anthos を導入できるよう取り組んでいます。それまでの間、Forrester Research の最新レポート「Total Economic Impact report」で、Anthos が収益に与えるプラスの影響について詳細をご確認ください。
- By エンジニアリング部門ゼネラル マネージャー兼バイス プレジデント Eyal Manor