プログラム可能なクラウドへの進化
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 3 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
組織を成功に導くには、データの力の活用が鍵となります。ただし、ビジネスの性質やユーザーの期待は変化するため、データドリブンであることの意味も変化します。めまぐるしく変化する今日の状況下で、組織はデータに即座に反応する必要があります。ユーザーは、リアルタイムの最新データと分析情報を使用したアクションを求めています。反応の速いアプリケーションやシステムを構築することで、ユーザーが求め、組織が活用できるリアルタイムの分析情報を提供します。
Google Cloud では、Google のサーバーレスのプロダクトによって、サーバーの管理を必要とせずにイベントに反応するアプリケーションを迅速に構築できるように、デベロッパーを後押しします。Google は、お客様のクラウドへの移行をお手伝いする中で、いくつかの世界最大規模の組織が、複数のサービスを簡単に接続し、ビジネスの分析情報を高速で推進することにより、ビジネス クリティカルなアプリケーションを迅速に作成するところを目にしてきました。このサーバーレスなプロダクトを使用することで、Google はプログラム可能なクラウドのデータ分析情報を提供します。
簡単にサービスに接続できるため、開発者はビジネスの価値を向上させるアプリケーションを開発できます。サーバー メンテナンスのために開発者を雇用するのではなく、開発者が競合他社に先んじるための製品や機能を市場に出せるようになります。L’Oréal の開発者は、Google Cloud のサーバーレス コンピューティングや分析ツールを使用してカスタマイズされた包括的な美容体験を消費者に提供しています。同様に、Shopify の開発者は Google Cloud を使用することで、販売者のスケーラビリティとベロシティを向上させ、IKEA の開発者はショッピング体験をパーソナライズしています。
クラウド ワークロードの拡大にともない、Google のお客様のユースケースはさらに複雑で精巧なものになっています。Google は、より少ないコードを使用して多様なアプリケーションやサービスへ接続することに対する需要が高まっていることを確認しました。業界に関係なく、お客様はサーバーレスのアーキテクチャを活用して、Google Cloud サービス、サードパーティのサービス、独自のカスタム サービス間でクラウドを接続および拡張しています。一般的なユースケースを次に示します。
データ処理パイプライン。非同期またはインラインで変換を実行。例: ホーム セキュリティ カメラで画像をキャプチャし、その画像を処理して配達や盗難を検出。その後、Cloud Functions が新しいデータを Vertex AI にフィードし、モデルを更新してより正確なものに改善。
リアルタイム分析。Cloud Functions を使用して Cloud Storage から BigQuery にストリーミングされたファイルを分析。例: 受信ログのセキュリティ脅威分析により、分析情報を引き出し、悪意のある動作を検出。
変更データ キャプチャ(CDC)。ダウンストリーム システムで処理するためにデータの変更を検出してキャプチャ。例: CDC イベントを Firestore から Cloud Functions の関数に送信して、ユーザーへの通知やデータ ウェアハウスの更新などのアクションを実行。
Cloud Ops の自動化。クラウド リソースのプロビジョニングや変更の際に、インフラストラクチャのライフサイクル操作をプログラムで強化。例: Compute Engine VM の作成またはシャットダウン時に、カスタマイズした通知を作成。
ビジネス プロセスの自動ワークフロー。信頼性が高く追跡可能なビジネス ワークフローを実現。例: 割り当てや請求のしきい値に達する前に、自動的にリソースを調整して対処する、または、支払い処理や倉庫在庫チェックから納品通知まで、e コマースの注文をエンドツーエンドで実行するなど。
サービスを統合する場合、密結合を導入するのは非常に簡単ですが、時間の経過とともに脆弱になり、速度が低下し、デバッグが困難になります。Cloud Functions、Eventarc、Workflows、Tasks、Scheduler を使用すると、本質的に非同期で疎結合の状態で、個々のサービスのアジリティを維持しながら、迅速なイノベーションが可能な状態でサービスを統合できるようになります。さらに、Google Cloud で実行されている既存のアプリケーションは、Cloud Functions を使用して簡単かつ柔軟に拡張できます。
プログラム可能なクラウドを実現する統合パターンには 2 つのタイプがあります。
1. 同期による拡張。Cloud Functions を利用した同期による拡張によって他の GCP サービスの既存の機能を増強。たとえば、デベロッパーは以下を使用できます。
BigQuery SQL クエリの一部としての Cloud Functions。新しいリモート ユーザー定義関数(UDF)を備え、データ分析とレポートを複雑なプロシージャル コードとビジネス ロジックに統合します。
Cloud Functions のカスタム ブロッキング コード。ユーザーが Identity Platform を介してアカウントの作成やログインを行う場合に使用します。
2. 非同期のイベント ドリブンによるパターン。Eventarc、Workflows、Tasks、Scheduler を利用した非同期のイベント ドリブンによるパターンにより、トリガーやイベントへの対応(イベント発生時の処理を指定)を可能にします。たとえば、デベロッパーは Eventarc を設定してイベントの Workflows をトリガーすることで、イベントが Google Cloud、サードパーティ、カスタム サービスの組み合わせによって確実に処理されるようにできます。
Google Cloud のサーバーレス テクノロジーによって、組織が容易にクラウドに移行できるようにすることで、今後さまざまな可能性が期待できます。Google の最新の Easy as Pie Serverless(とても簡単なサーバーレス)ハッカソンでは、世界中の 1,500 人以上の開発者が、わずか 10 週間で 97 のソリューションを考案して構築し、Google Cloud によるソリューションの市場投入がいかに容易かを示しました。最も重要な点は、サーバーレス テクノロジーが「Low-ops(低負荷の運用)」のビジョンの実現に役立ち、開発者はインフラストラクチャの設定や管理の方法に関する知識を持たなくてもソリューションを得られるということです。プログラム可能なクラウドは変化に対応できます。すなわち、組織のカルチャーがデータドリブンからイベント ドリブンへと飛躍し、価値の高いビジネス上の問題に専念できるようになります。ぜひ今すぐ、変革を始めてください。
- グループ プロダクト マネージャー Vidya Nagarajan Raman