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リテール

Shopify のエンジニアが 2021 年のブラック フライデーとサイバー マンデーに最高のパフォーマンスを発揮

2021年12月13日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 12 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

多くの人が、この週末は史上最大のブラック フライデー / サイバー マンデー(BFCM)となるだろうと予測していました。特に独立系ブランドや DTC(顧客直販)ブランドにとっては、その予測は正しかったようです。商取引に不可欠なインターネット インフラストラクチャの大手プロバイダ Shopify は、世界中で 170 万以上の販売者に対応しています。この週末の連休に、同社の販売者においては、独立系ブランドや DTC ブランドからの消費者による購入が記録的な数(世界で 4,700 万人)に達しました。全世界で 63 億ドルを売り上げ、前年比 23% 増(2020 年の全世界での売上 51 億ドルから増加)となりました。この結果自体が非常に大きな数字ですが、昨年にはパンデミックをきっかけとしたオンライン ショッピングへの移行があったことを考えると、今回の増加はまさに驚異的です。

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しかし、このような規模に対処するには何が必要でしょうか。Shopify のエンジニアは、ショッピングのピーク時に対するソリューションに革新的なアプローチを導入し、業界の注目を浴びており、Google サービスを活用して販売者と買い物客のパフォーマンスをこれまでにない水準に向上させています。

Shopify のエンジニアによって示された大規模販売イベントにおけるパフォーマンスの改善方法

Shopify は、同社の販売者にとってピークシーズンがいかに重要であるかを認識しています。Shopify は、ブラック フライデー当日の 11 月 26 日午後 12 時 2 分(米国東部標準時)にピーク時の売上として毎分 310 万ドル以上を達成しています。同社では最もスキルの高いエンジニア チームの 1 つを活用して、販売者のスケーラビリティとベロシティを向上させる先駆的なツールを開発しています。

Shopify のエンジニアリング担当バイス プレジデントの Delaney Manders 氏は、「2021 年の BFCM の記録的な週末の売り上げは、パフォーマンスとスケールを念頭に構築されたインフラストラクチャでないと達成できません」と述べています。「Shopify のエンジニアリングと Google Cloud 間の優れた連携により、下り(外向き)トラフィックはインフラストラクチャ全体で平均約 30 TB/分となり、販売者は販売のピーク時にもほぼ完ぺきな稼働状況を消費者に提供できました」

カスタマー エクスペリエンスと Google Cloud で設計されたオペレーションの最適化ツールにより、Shopify はトラフィックの多いイベントの間も、販売者と消費者に合理的で信頼性の高いパフォーマンスを提供しています。Shopify Inbox、Shop Pay のようなツールを使用して、Shopify のエンジニアは販売者と消費者のエクスペリエンスを最適化するための最高のツールを設計してきました。それらのソリューションにより、Shopify のエンジニアは苦もなくスマートに作業ができ、販売者は負担やストレスを感じることなくイベントのピーク需要に対応できます。ブラック フライデー / サイバー マンデーは、多くの Shopify の販売者にとって季節ごとのイベントかもしれませんが、大規模なスケーラビリティ、低レイテンシ、最適化された稼働率により、高トラフィックで高リスクのイベントも他の日と同じように簡単に実行できます。

Shopify のエンジニアは、販売者や消費者だけでなくバックエンドも対象としています。販売者と買い物客のパフォーマンスを最適化するツールを開発しつつ、エンジニア自身のワークロードも簡素化しました。このようなアプローチにより、Shopify では大きなイベントの日もいつも通りスムーズに進みます。

ショッピングの手間(フォームの無駄)を省く Shop Pay

エンド カスタマーにとって、時間のかかる購入手続きは、購入意欲をそいだり、購入を遅らせたりする原因となります。Shopify は、ブラック フライデー / サイバー マンデーのような大きなイベントでは、インテリジェントでシームレスな購入手続きが特に重要であると認識しています。同社のエンジニアが開発した Shop Pay は、購入プロセスの迅速化を支援するソリューションです。より迅速な購入手続きのサポートに加え、買い物客の好みを記憶して、すべてを暗号化して安全を保つことで、ショッピング体験をパーソナライズします。

Shopify のデータによると、Shop Pay は購入手続きのスピードを 4 倍にします。Shopify が 10,000 店の大規模な販売者を分析した結果、Shop Pay を有効にした販売者は通常の購入手続きを行う販売者に比べて、チェックアウトから発注に至る割合が平均して 1.72 倍であることがわかりました。このプラットフォーム パフォーマンスのイノベーションにより、販売者の成長と維持が大幅に向上しました。

バックエンドを多数に対応させる Shop Mover

Shopify では、可能な限りアジャイルで最新のオペレーションを維持するために、汎用 MySQL データ移行ツールである Ghostferry を開発し、オープンソース化しました。Google Cloud サービスがサポートする Ghostferry は、アプリケーションの実行中に、異なる MySQL インスタンス間でのデータの移動を最小限のダウンタイム(5 秒未満)で行います。Shopify の Shop Mover は Ghostferry と Google Cloud サービスの上に構築されており、複数のデータベースにまたがるデータシャードのロード バランシングを可能にします。Shop Mover は、Shopify のデータセンターから Google Cloud への最初の移行に使用されたツールであるだけでなく、現在では毎年数十万ものショップを移行させています。Shopify の販売者が 2021 年の BFCM の大量のボリュームに対応できたのは、Shop Mover があったためです。Shopify によるグローバルな展開は、販売者と買い物客にとっての良好な取引につながっています。

Shopify のエンジニアは、販売者のためにプラットフォームのパフォーマンスを最適化しながら新しい地域へのアクセスを展開するために、Google Cloud のグローバル インフラストラクチャを活用しました。Shopify は Google Cloud の 25 のリージョンと 76 のアベイラビリティ ゾーンのネットワークを活用して世界中の販売者をサポートしています。低レイテンシと高い信頼性により、世界中の買い物客や販売者に最適なパフォーマンスを提供しています。Google とのパートナーシップにより、Shopify のエンジニアはグローバルな Virtual Private Cloud(VPC)を活用して、複数の地域にまたがるアプリケーションの作成とデプロイの合理化を図っています。また、Shopify が世界中でビジネスの継続性を維持するのに貢献している国内での障害復旧についても合理化しています。  

Shopify のエンジニアリング チームにおけるクリエイティビティ、スケール、ベロシティの文化は、イベントのピーク時のパフォーマンスを向上させるための優れたソリューションを実現し続ける原動力となっています。Shopify のエンジニアが合理的な作業環境を見込み、販売者が負担を感じずに自信を持って買い物客にサービスを提供できるのは、カスタマー エクスペリエンスの向上と大規模なオペレーションの合理化を目的とした斬新なアプローチがあるからこそです。そして同時に、販売者と買い物客にとってのより良いホリデー ショッピングの体験につながっています。


- Google Cloud Platform Office of the CTO テクニカル ディレクター、Adrian Otto
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