Google Cloud Cortex Framework を活用した DIFF 財務ソリューション
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
SAP Finance and Controlling を利用している企業は、これらのデータセットを他のプラットフォームからの財務データと組み合わせることで、日中の資産配分およびヘッジ取引をさらに効率的にモニタリングできるよう常に取り組んでいます。このような取り組みを進めるために、多くの企業が Google のデータクラウドを選択し、BigQuery を使用したクラウド ファーストなデータ プラットフォーム アプローチを通じてビジネス インサイトを統合、加速、強化して、データドリブンなイノベーションを大規模に推進しています。
さらに、Google Cloud Cortex Framework のベスト プラクティスやアクセラレータ コンテンツも活用することで、スケーラブルなオープンデータ基盤を確立し、さまざまな目的に沿ってインサイトを深めることが可能となります。このたび、Google Cloud は、DIFF Consulting とパートナーシップを結んだことをお知らせいたします。これによりお客様は、同社が持つ SAP Finance に対する深い知識、数多くの導入を成功に導いた経験、Google Cloud Cortex Framework への同社の財務ソリューションのデプロイにおけるサポートをご活用いただけるようになります。以下に示した最近の例をご覧ください。
企業の財務機能が、従来の現金管理から、流動性の戦略や予測も含めたより広範な役割へと進化するなかで、財務担当者には、流動性の予測やキャッシュフローのモデル化を可能にする優れたレポート機能が必要になってきました。この分野のエキスパートとして DIFF Consulting は主要な財務関係者と頻繁にやり取りし、以下のことを可能にする優れたレポート機能の必要性を確認しました。
- SAP S/4HANA などの ERP システムからの財務データをオープン バンキング API などの SAP 以外のシステムやサードパーティ アプリケーションと統合する
- すべてのソースからの重要なインジケーターをリアルタイムでモニタリングする
- クラウドで大規模に利用可能な AI / ML 機能を活用する
- これらすべての統合データセットの可視化を向上させる
ただし、基本となるデータが正確でないとレポート機能を改善しても意味がないため、財務関係者にはデータ整合性を確保するための管理の強化も必要です。さまざまなアプリケーション、システム、相互接続されたビジネスが存在する昨今の複雑なグローバル環境では、効率的な管理メカニズムが不可欠です。たとえば、ビジネス パートナーにリンクされた銀行データの管理は、複雑で時間のかかる処理であり、これにはベンダーのマスターデータ内にある古くなった銀行キーの特定、重複の検出、アクティブでなくなったベンダーの特定といったタスクが含まれます。システムが無数にあり、関連するデータの量が多いため、これらのタスクには大掛かりな手作業を要することが多いです。
昨年、DIFF Consulting が Google Cloud Cortex Framework との連携を開始したとき、同社はビジネス イノベーションを加速できる可能性をすぐに見出しました。これが、同社が Treasury Analytics Pre-Built Solution と Bank Data Validation App を Cortex Framework 上に構築した理由です。
これらのアプリケーションは、Google Cloud の優れた機能と Cortex Framework の迅速なデプロイ機能を活用することで実現できる可能性の一例にすぎません。
Google Cloud と Cortex Framework を利用する理由
当初から DIFF Consulting は、Google Cloud をハイパースケーラー市場の革新企業と認識しており、Google テクノロジーの手法を発展させ、Google Cloud パートナーになることを決めていました。Cortex Framework がリリースされたとき、DIFF はその技術スタックのメリットをすぐに確認し、それらを活用したいと考えました。
- Google Cloud Cortex Framework の Data Foundation と Application Layer は両方とも、DIFF Consulting のソリューションを含め、さまざまなソリューションの迅速な開発を可能にします。
- Cortex Framework は、Google Cloud のサーバーレス BigQuery プラットフォームを活用して、大量のデータを大規模かつきわめて効率的に処理します。
- Cortex Framework は統合ツールに依存することなく、BigQuery のオープン性に沿って、サードパーティのデータ可視化ツールと連動します。
- Google Cloud は、成熟した安定性の高いプラットフォームであり、これを基盤としてソリューションを構築し、REST API 経由でそのソリューションをバンキング システムや財務システムなどの SAP データソースや SAP 以外のデータソースと統合できます。


Cortex Framework のテクノロジー上の利点と、SAP の財務管理ソリューションに対する DIFF Consulting の優れた専門知識を組み合わせることで、DIFF は財務担当者が毎日のように直面する課題を解決できるようにする次のようなソリューションを迅速にリリースできています。
DIFF Treasury Analytics Pre-Built Solution
DIFF Treasury Analytics Pre-Built Solution は、主要な財務インジケーターの適切な可視性が不足しているという課題を単一のプラットフォームで解決することに焦点を置いています。これにより、一元化された情報がリアルタイムで更新され、可視化を強化できます。
この事前構築済み分析ソリューションは、経営陣や役員レベルのインサイトを提供することを念頭において財務担当者とともに作成されました。このソリューションは、さまざまなソースからデータを収集して、主要な財務インジケーターを計算し、さまざまなダッシュボードを通して使いやすい方法で可視化します。
Cortex Framework と BigQuery を活用することで、DIFF は、さまざまなソースから情報を読み込んで、それをモデル化し、直感的な方法で可視化できるようになりました。財務に関連して BigQuery に読み込まれるデータとしては以下のようなものがありますが、これらに限定されません。
- キャッシュフロー
- スケジュール設定された買掛金と売掛金
- 支払指図と販売注文
- 財務契約
- ビジネス パートナー、銀行口座、銀行キー(およびその他のマスターデータ)
- 企業の銀行データ(REST API 経由)
注: これらのデータの一部は Google Cloud Cortex Framework Data Foundation からすぐに利用できます(ビジネス パートナー、販売注文、買掛金、売掛金などのデータ)。
これらのデータに基づいて、DIFF は財務部門のニーズを重視したさまざまな種類のレポートを用意しました。
- 現金持高
- 見通し
- 債務状況と投資状況
- リスクへのエクスポージャー分析
- 流動性と支出の分析
このソリューションの開発時に、DIFF は BigQuery と Cortex Framework を活用することにいくつもの利点を見出しました。たとえば、以下のことが可能になりました。
- さまざまなシステムやソースからの情報を簡単に統合する。財務担当者は財務トピックを一元的に可視化して処理する方法を常に模索しており、これは特に複数の SAP システムや SAP 以外のシステムが関連している場合に困難です。
- Tableau のような顧客が好む可視化ツールを BigQuery に接続することで、データ可視化の拡張オプションを提供する。
- 素晴らしいパフォーマンスを実現する(BigQuery は驚異的なスピードでクエリを処理できるため)。
- 実装の簡素化により顧客の費用を削減して、デプロイを加速化し、企業が長期プロジェクトに着手する必要がないようにする。




最近のテクノロジー ソリューションの重要な側面の一つが、情報の分析を行動に移せることです。Google Cloud Cortex Framework を利用することで、BigQuery の既存のデータだけでなく、BigQuery からアクセス可能な一般公開データセットやサードパーティ データセットも活用するようにアプリケーションを開発できます。そして、これこそが、DIFF Consulting が実現していることなのです。このソリューションをデプロイするお客様は、実装にかかる時間の短縮と、実用的なインテリジェンスの利用の促進というメリットを得ることができます。
DIFF Bank Data Validation App
DIFF Bank Data Validation App は、SAP S/4HANA 財務管理マスターデータ内の銀行キー、ベンダーの変更、古くて非アクティブなベンダーに対する管理を改善することで、システム内の銀行情報の整合性と品質を確保することに焦点を置いています。このソリューションでは、Google Cloud Cortex Application Layer と SAP Fiori を利用することで、DIFF Bank Data Validation App の機能を実現しています。
このアプリの目的は、マスターデータに対する特定の制御を簡素化するツールを提供し、ユーザーが SAP で処理を行えるようにすることです。
- 銀行キーの検証(重複やその他の不整合の特定)
- ベンダー ビジネス パートナーと財務ビジネス パートナーにおける古くて非アクティブな銀行キーの使用のモニタリング
- ベンダーのアカウントへの変更のモニタリングと確認
- 過去 24 か月間に請求書発行や支払いが行われていない非アクティブなベンダーの特定


DIFF Treasury Analytics Pre-Built Solution と DIFF Bank Data Validation App は、Google Cloud Cortex Framework によって強化された各プラットフォームを最大限に活用した場合に可能となることを表しています。
Google Cloud Cortex Framework の詳細については、Google のソリューション ページをご覧ください。機能を実際に確認するには、Cortex Data Foundation を今すぐお試しください。
-DIFF Consulting LLC、創業者 / CEO Diego Dora 氏
-SAP ソリューション管理担当責任者 Joe Darlak