Google Maps Platform で Sayurbox は 1 日かかっていた配達プランや仕事の割り当てを 10 分以内に短縮
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 10 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今日の記事は、インドネシアの食のプラットフォームである Sayurbox の共同創業者である Rama Notowidigdo 氏によるものです。Sayurbox は、伝統的な農家から無農薬の新鮮な野菜を都市の玄関先まで即日配達するサービスを提供しています。
インドネシアは伝統的な農業を大切にしており、当社はすばらしい伝統をさまざまな作物に反映させています。マンゴスチン、キャッサバ、ココナッツ、エシャロット、ケールなどがあります。
しかし、多くの農家が貧しい生活を送っているのを見て、若い世代は農業のライフスタイルを捨てつつあります。大地の恵みを育むことに対して誇りを持つのではなく、報われない苦労の多い農家の生活を目の当たりにしているからです。私は、彼らの認識だけでなく、インドネシアの農家の現実を変えたいと思い、2016 年に Sayurbox を創業しました。
私と創業パートナーは、デジタル テクノロジーを使ってインドネシアの農業遺産に誇りを取り戻すことを使命としています。健康的な野菜を都市部に即日配達できるアプリを作ることで、農村の生活水準を向上させ、農家の人々が自分たちの献身的な農作業が遠く離れた人々の生活を支えることに誇りを持てるようにしたいと考えています。
Google Maps Platform は、高品質な農産物を食卓に届けるためのサプライ チェーンの革新を可能にする世界最高水準のマッピング ツールを通じて、このミッションの実現を支援しています。
マップを活用したサプライ チェーンの革新で農家と都市住民を結びつける
伝統的な「カンプン」と呼ばれる村での農民の生活は、インドネシアのにぎやかなメガシティとはかけ離れているように見えるかもしれません。しかし、新鮮な農作物と、より健康的で多様な食の選択肢を求めるインドネシアの中産階級の急増は、自然な相乗効果をもたらしています。課題は何でしょうか。流通面でのハードルの高さがネックになっています。
ここで当社の出番です。Sayurbox のソーシング センターは、田舎において農家から直接商品を集め、3 つのソーシングハブのいずれかにインテリジェントに配達します。そこから、Google Maps Platform を使って実現した配達プランとルートの最適化により、オンラインのお客様に注文当日に仕分け、梱包、配達することができます。
また Geocoding API や Geolocation API を使えば、複数の仕事を束ねた配達プランを自動的に割り当てることができます。そのため、従来は 1 日近くかかっていた仕事が、今では 10 分以内で終わるようになりました。Google Maps Platform のおかげで、心を込めて育てた野菜が、収穫したときのように新鮮な状態で家庭に届くようになりました。
Google Maps Platform で 3 倍の成長を吸収
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)がインドネシアにまで広がったとき、地元で採れた新鮮な野菜の需要が急増し、人々が屋内に滞在することで 3 倍もの注文がありました。Google Maps Platform がなければ、都市部で高品質な農産物が緊急に求められている状況に対応できなかったと思います。当社の AI を活用したサプライ チェーン システムは、Google Maps Platform のルート最適化や、Google Cloud の各種ツール、たとえば、Firebase や BigQuery などを活用して、演算能力とデータ処理能力の両方を瞬時にスケーリングすることで、需要の急増に容易に対応しました。
その後の展開は、大きな驚きでした。新鮮で高品質な農産物の恩恵を受けた 20 代、30 代のお客様が、自宅の庭に作物を植えたり、使われていない土地を開発したりして、自らも兼業農家として活動を始めました。
今では、当社の Sayurbox を活用して農産物を販売していただいております。これは、当社のソリューションの充実度と多様性の強化にもつながっています。地面を耕すことへの誇りを、これほどまでにダイレクトに感じられるとは思いませんでした。また、技術革新が農業の成長の新たなサイクルを刺激することを発見したときの喜びは大きいものでした。
地方にも変化をもたらしています。Sayurbox の成功は、高品質の有機農作物がビジネスになることを証明しています。農業のベスト プラクティスを実践することで、より一層の努力が報われ、より高い売上を得ることができています。そのため、農薬に頼っていた農家が、代わりに無農薬の作物を栽培する流れが生まれています。
最終的には、当社の使命は、農家を支援するだけではなく、テクノロジーを導入してインドネシアの生活水準を向上させることです。未だに非効率性に悩まされている国にデジタル サプライ チェーンを構築することで、当社はネットワーク効果による繁栄と健康的な生活の実現に貢献しています。
例えば、移動手段の制限により配車ビジネスが苦しくなる中、フリーランスのドライバーがサービスへの需要を通じて COVID-19 の嵐を乗り切るための支援を行っています。一方、Google Maps Platform による超効率的な物流により、都市部の家族に新鮮な野菜をスーパーよりも安い価格で提供できます。
デジタル マッピング ツールが可能にする無限の有機的成長の未来
Google Maps Platform のおかげで、当社は成長の機会を切り開き始めたに過ぎません。ラスト ワンマイルだけでなく、ファースト ワンマイル、ミッド ワンマイルでも農家を盛り上げていく予定です。Google Maps Platform のプロダクトや機能を利用して、Sayurbox のソーシング センターまでの最速で効率的なルートを提供する農家向けアプリを開発しており、より多くの農家が Sayurbox のネットワークに参加できるようにしています。
また、パートナーの Terralogic と協力して、Maps JavaScript API の Traffic Layer(リアルタイムの交通データを配達プランに反映させる)など、Google Maps Platform の先進的な機能を採用し、配達システムをさらに効率的にしています。これらのプロジェクトにより、当社はより多くの農家を支援し、魅了し、カンプンのコミュニティにさらなる繁栄をもたらし、都市の食卓にさらなる価値と多様性をもたらすことができます。
当社の願いは、農場から消費者に直接届く新鮮な野菜や商品を、感動的なショッピング体験として提供することです。これまでは、有機栽培の野菜を販売することが一つのポイントでした。現在はそれだけではなく、農家の方々が有機栽培、水耕栽培、従来の栽培、そして訳あり野菜を販売する際に、このアプリがお役に立てればと考えています。また、Google Maps Platform を利用することで、大切な農業の伝統に活力を与えることができます。
Google Maps Platform の詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
- Sayurbox 共同設立者、Rama Notowidigdo 氏