没入感のあるリアルな景色を確認できる地図を構築: 3D マップのウェブ版が一般提供開始

Chris Raykovich
UX Designer, Google Maps Platform
Aleh Medzviadziuk
Software Engineer, Maps JavaScript API
このたび、3D マップの一般提供が開始されたことをお知らせいたします。これにより、企業はウェブとモバイルウェブ全体で、没入感のあるフォトリアリスティックな 3D の体験を通じて、各地を生き生きと示すことができるようになります。
プロダクション レディなソリューションである 3D マップは、リアリティがある地図をインタラクティブに利用したいという需要の高まりに企業が対応できるように支援します。高画質な環境と強力なカスタマイズ機能を備えた 3D マップを使用すると、場所を生き生きと表現してユーザーを引き付け、十分な情報に基づいた購入の意思決定を促し、没入感のあるストーリーテリングでブランドを差別化できます。
没入感のあるルート計画策定を実現
3D マップでは、アスリート、観客、イベント主催者のいずれもが、さらに強い関心を持って、よりダイナミックに実世界を探索できます。たとえば、RunConcierge は 3D マップと Vertex AI の「Google マップによるグラウンディング」とを組み合わせて、マラソンやその他のスポーツ イベントのランナーや観客向けの没入感がある「体験マップ」を作成しています。Tata Consultancy Services(TCS)と Neurun は、このテクノロジーを活用して、世界最大級のランニング イベントである TCS ニューヨークシティ マラソンのレース週間の盛り上がりを実現しています。ランナーとファンは、コースと地形をバーチャルでプレビューしたり、地元のレースリソースを見つけたり、イベントに関するさまざまな質問に対する回答を即座に得たりできます。RunConcierge を使用すると、イベント主催者はチャット エージェントを利用して最新のレース情報を入手できるため、参加者や観客はレース当日を安心して穏やかに過ごすことができます。

「マラソンは基本的に人力で行われるため、TCS ニューヨークシティ マラソンは、3D マップと AI の力を活用してユーザー エクスペリエンスを向上させるための実際にある理想的なラボになっています。RunConcierge のようなイノベーションは、AI と没入感のあるマップがあらゆる場面で私たちを導く未来を示しています。」-TCS、スポーツ スポンサーシップ担当グローバル責任者、Michelle Taylor 氏
不動産の発見と購入者の信頼を促進
3D マップにより、ユーザーが住宅の周辺環境を探索できるため、不動産プラットフォームは優れたコンバージョンを促進できます。
Realtor.com は 3D マップを使用して、住宅購入者が周辺地域を「飛び回って」探索できるようにしています。Realtor.com は、公園や遊び場から地元のレストランやコーヒー ショップまで、あらゆるものをリアルな 3D 環境で可視化することで、住宅購入者が周辺地域の雰囲気を把握できるようにし、より確信を持って予約できるようにしています。
Realtor.com® の 2025 年消費者意識と利用状況調査によると、過去 1 年間に住宅を購入した、または購入しようとした人の半数が、実際に住宅を見ることなく購入を検討すると回答しました。これは 2023 年の 44% から増加しています。初めて家を購入する人においては、その割合は 52% に達しています。FlyAround は、オンラインでの住宅検索において、新たなレベルの情報と明確さを提供することで、進化する消費者の期待に応えるように設計されています。


Realtor.com の新しい FlyAround 機能を使用すると、住宅購入者は静止写真や地図の限界を超えて画面内を移動し、物件の全体像を確認できます。また、敷地の寸法、地形、住宅の周辺地域への適合度などを確認できます。
「Realtor.com は、非常に魅力的なエンドユーザー エクスペリエンスの構築において、常に市場をリードしてきました。不動産の未来は没入型であると私たちは考えています。今後、購入者や借主は自宅にいながら快適に家、近隣、さらには都市を発見し、探索していきます。Google Maps Platform の 3D マップを使用して、弊社では、お客様が購入/賃貸プロセスの早い段階で周辺環境を「感じ」ることができるようになることで、さらに多くの情報に基づき、より自信を持って迅速に意思決定することをサポートしています。Google とともに不動産におけるこのようなユーザー エクスペリエンスの新しい時代を定義できる可能性に期待しています。」- Realtor.com、プロダクトおよび AI イノベーション担当シニア バイス プレジデント Dave Herman 氏
目的地の発見、旅行の計画、予約の迅速化を促進
旅行の予約、ホテルの選択、住宅の購入など、ユーザーは場所を文脈の中で理解したいと考えています。3D マップを使用すると、周辺地域、目的地、ルートをリアルに表示できるため、お客様はより自信を持って意思決定できます。
Localyse は、3D マップを備えた包括的な旅行アプリを作成しました。このアプリでは、お客様が予約前に目的地をリモートで探索できます。また、自転車、徒歩、自動車など、あらゆる移動手段によるルートを、実際に移動する前に没入感のある 3D ガイド付きツアーでプレビューできます。Gemini API との統合により、このアプリは最適な停車地をインテリジェントに選択し、豊富なコンテキスト情報を提供しています。その一方で、Places UI キット には、場所に関する詳細な分析情報のためのシームレスなインターフェースが備わっています。この強力な組み合わせと、ダイナミックな徒歩ルートの最適化のための Compute Routes により、よりスマートでインタラクティブなユーザー エクスペリエンスが実現します。


Roamly を使用すると、ユーザーは予約前に目的地をリモートで探索できます。また、自転車、徒歩、自動車など、あらゆる移動手段によるルートを、実際に移動する前に没入感のある 3D ガイド付きツアーでプレビューできます。
「JavaScript の 3D マップを試してみたところ、映画のような直感的なものをこんなにも簡単に構築できることに驚きました。地図上に場所を表示するのと、ユーザーがダイナミックな視点から場所を感じられるようにするのとでは、まったく異なります。また、データと実体験のギャップを埋めることもできます。地図がより視覚的かつ魅力的なものになっています。都市の探索、旅行の計画、周辺環境の把握など、さまざまな用途で活用できます。」- Localyse、カスタマー エンジニア、Eline Van Straaten 氏
Ubilabs は、2024 年のサッカー欧州選手権において、バーチャル訪問や、交通機関からスタジアムの入り口までのルートのインタラクティブな案内により、ファンがスタジアムを探索できるようにしました。ファンはスタジアムのあらゆるところを美しい 3D で探索でき、より没入感のあるインタラクティブなユーザー エクスペリエンスを得ることができました。


Ubilabs の 3D マップは、カスタムルート情報によってユーザーをシームレスに案内することでファンの体験を向上させています。そのルート情報は、駅からスタジアムの座席まで最も効率的な経路を正確に示すものになっています。
「3D は、スポーツ イベントのエンゲージメントを高めます。なぜなら、3D は受動的な観戦体験を能動的な参加体験に変えるからです。ユーザーは、ただ座っているのではなく、周りの雰囲気や景色に触れることができます。3D でのライブ トラッキングは、大多数のファンがリアルタイムでアクションを追う唯一の方法であり、イベントの市場性を高め、世界中の人びとがイベントに参加できるようにします。」- Ubilabs、CTO、Martin Kleppe 氏
没入感のあるストーリーテリングでブランド エンゲージメントを創出
デジタル環境が飽和状態にある今、没入型体験は他社との差別化を図る強力な手段です。3D マップによって、マーケティング担当者やブランドは、記憶に残る魅力的なキャンペーンを作成し、ロイヤリティを高めて再訪を促すためのツールを得られます。
英国を拠点とする代理店 Modern English は最近、Orijen Dog Foods と提携してインタラクティブなキャンペーンを立ち上げました。このキャンペーンでは、犬が同伴可能な米国全土のハイキング ルートが 3D で生き生きと表現されています。犬の飼い主はペットと一緒にトレイルを探索できるため、シンプルなキャンペーンは、ブランドのロイヤリティを構築しながら、顧客が何度も利用したくなる、非常に魅力的な再現性のある体験に変化しています。


Orijen Dog Foods と Modern English は、3D マップのパーソナライズと没入感を活用して、ペットのサイズやアクティビティの好みを条件としたトレイルのフィルタから、没入感あふれる 3D トレイルビュー、ハイキング後のアクティビティの概要まで、顧客が何度も利用したくなるような完全な旅行体験を生み出しています。
このリリースの新機能
Maps JavaScript API の 3D マップを一般提供するにあたり、開発者は、プロダクション レディかつ直感的な 3D マップ エクスペリエンスを実現するための制御が備わった強力な新機能が利用できるようになります。
Cloud ベースのマップスタイル設定(3D マップでプレビュー版を提供中): 非常にリクエストが多かったこの機能を使用すると、場所のフィルタや密度、道路のスタイル設定など、100 を超えるスタイル設定可能なマップ要素によって基本地図のスタイル設定を制御することで、ブランド化や差別化が図られたカスタム 3D マップ エクスペリエンスを作り出すことができます。Cloud ベースのマップのスタイル設定を使用している既存の Google マップのユーザーは、同じ地図のスタイルを 3D マップですぐに再利用できます。これらの新しいスタイル設定オプションは、カスタム マーカー、インタラクティブなポップオーバー、スタイル設定されたポリラインなどの既存の機能と組み合わさることで、強力な没入型エクスペリエンスを構築するための、これまでで最も柔軟なキャンバスをもたらします。


3D マップでは、場所のフィルタや道路のスタイル設定を簡単にカスタマイズできます。このシアトルの例でわかるように、観光名所がユーザーにハイライト表示され、シアトル市の旗の色を表現するように道路のスタイルが変更されています。
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ユーザー補助機能の向上: キーボードやスクリーン リーダーで操作するユーザー向けに、基本地図上の場所が完全にインタラクティブになりました。
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ジェスチャーの協調処理: ユーザーがウェブページをスクロールしているときに、地図が意図せず動くのを防ぎ、よりスムーズで直感的なユーザー エクスペリエンスを実現します。
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ユーザビリティの向上: これらのコア アップデートに加えて、ユーザー エクスペリエンスとパフォーマンスを向上させるために、遅延読み込み、簡素化された UI デザイン、より優れたローカライズ オプションなどの機能が導入されました。
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カスタマイズ オプションの増加: ポリライン、ポリゴン、カスタムピン付きマーカー用のウェブ コンポーネントも導入され、HTML を使用して地図要素をカスタマイズする方法が増えました。
準備ができたら
Maps JavaScript API の 3D マップを使用して、没入感のある独自のマップ エクスペリエンスの構築を開始しましょう。ご利用開始に役立つリソースをご紹介します。
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機能とカスタマイズ オプションの全容については、ドキュメントをご覧ください。
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コードサンプルとインタラクティブな Codelab は、初めての 3D マップ作成から、カスタム機能やインタラクティブな要素の追加までのステップがわかるようになっています。
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ライブデモを試して、3D マップの動作をご確認ください。
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没入型マップ SKU の料金情報を確認し、料金計算ツールを使用して、実装の計画を立ててください。
没入感のあるリアルな 3D マップで場所を生き生きと表現し、魅力的でインタラクティブな次世代型のエクスペリエンスを今すぐ構築しましょう。
-Google Maps Platform、プロダクト マネージャー、Haylee Conradi
-Google Maps Platform、UX デザイナー、Chris Raykovich
-Maps JavaScript API 担当ソフトウェア エンジニア、Aleh Medzviadziuk



