Directions API と Distance Matrix API の新たな拡張バージョン、Routes API を発表
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 9 月 29 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Directions API と Distance Matrix API はこの 10 年以上、A 地点から B 地点までの人やものの移動ルートをすばやく効率的に決定できるよう支援してきました。また、Google はここ数年間、運送業界や物流業界の最大手企業と密接に連携し、モビリティ サービスを通じて、カスタマー エクスペリエンスや配送業務の大規模な改善を支援してきました。Google Maps Platform チームは多くのご要望に応えて、これらの高度なルーティング機能の大半を、利用可能な国のすべての Google Maps Platform デベロッパーに提供しています。
今回、新しい Routes API のプレビュー リリースを発表しました。これは、Directions API と Distance Matrix API の拡張バージョンであり、両 API を 1 つのサービスに統合することで、より有益で柔軟なルートをユーザーに提供できるようになります。
新しい Routes API は、ビジネスにおいて重要な役割を果たしている Directions API と Distance Matrix API の基本機能に基づいて構築されています。たとえば、リアルタイムの交通量を包括的に反映する最新のルートや、複数の出発地と目的地を組み合わせた行列計算から算出される距離や到着予定時刻などです。さらに、より有益で柔軟なルートを提供し、到着予想時刻の精度を向上させるために、次のような高度な新機能も備えています。
二輪車(オートバイ)用ルート(利用可能な地域)
ルートの費用をより正確に算出するための通行料金データ(利用可能な地域)
ルートの各区間のリアルタイムの交通情報
地点に通過地点と停止地点のいずれかを選択可能
レイテンシを低減するためのきめ細かいコントロール
環境に優しいルート選択(年内に提供開始予定)
新しい Routes API はすでにご利用いただくことができます。既存の Directions API と Distance Matrix API にも引き続きアクセスできますが、Routes API では機能が追加され、パフォーマンスも強化されています。この新しい API を使用して何ができるのか、詳しく説明していきます。
より有益で柔軟なルートを提供
二輪車(オートバイ)に対応
世界の多くの地域では、配達からライドシェアリング、日常の移動に至るまで、二輪車が最も一般的な交通手段となっています。新しい Routes API では、二輪車向けのルートや距離行列の計算をリクエストでき、有料道路、高速道路、フェリーの回避、自動車が通れない道を通るルートなど、さまざまな要素が考慮されます。(利用可能な地域はこちらでご確認ください)
通行料金の計算
新しい Routes API では、お客様やお客様のユーザーに重大な経済的影響を与える可能性のある新しい重要なデータ、つまり通行料金の計算にもアクセスできるようになりました。方向と距離行列の両方のリクエストにおいて、通行料金の計算をリクエストし、十分な情報に基づいて時間と費用のトレードオフに関する決定を下せるようになりました。通行料金データでは、車両の種類(EV、ハイブリッドなど)や通行券の種類が考慮されて、ルートの費用がより正確に計算されます。(利用可能な地域はこちらでご確認ください)
交通量とポリライン機能の改善
交通量は、消費者にとっても企業にとっても、ルーティングの決定に影響を与える最大の要因の 1 つです。新しい Routes API では、ルート計算で現在の交通量と過去の交通量のどちらを考慮するかを指定できます。また、交通量やポリラインの品質と遅延の間のトレードオフをコントロールすることもできます。
さらに、ルートの各区間の交通情報をリクエストすることもできるため、色分けされたポリラインで交通量を表すなど、より充実したエクスペリエンスをユーザーに提供できます。ポリラインの長さに応じたカスタムカラー、ストローク、パターンをサポートする高度なポリライン スタイルを使用して、地図上でルートのスタイルを設定することもできます。ルートの各区間のリアルタイムの交通状況の表示例
きめ細かいコントロールで遅延を短縮
新しい Routes API では、アプリのパフォーマンスを向上させるための追加オプションが導入されています。Routes API は、既存の Directions API と Distance Matrix API よりさらにパフォーマンスが高く、総合的な精度と遅延の短縮との間のトレードオフを可能にする機能を備えています。フィールド マスキングを使用すると、API レスポンスで返されるフィールド(到着予定時刻、メートル単位の距離、交通状況など)を選択できます。これにより、レスポンスのペイロードのサイズを抑えてレスポンスを簡素化することができ、簡単に処理できるようになります。
よりスマートかつ柔軟な経由地点(ウェイポイント)で到着予想時刻の精度を向上
新しい Routes API では、よりスマートになったウェイポイントにより、到着予想時刻の精度も向上しています。ルート内の経由地点では、その地点を通過するか停止するかの指定ができるようになり、移動時間の計算がより正確になります。トンネルや高速道路など、停車が安全でない場所にユーザーが誘導されるのを回避できるため、これは特に送迎のユースケースに有効です。さらに、道路のどちら側が適切かをウェイポイントに指定したり、経由地点ごとに車両の現在の進行方向や適切な進行方向を指定できるため、送迎などの際に適切なルート案内が行えます。
Routes API では、距離行列リクエストの出発地と目的地の数を増やし、出発地と目的地の各上限(25 個)を排除しました。最大で合計 625 個の要素が返されるように設定できるため、柔軟性が大幅に向上しています。
近日提供予定: 環境に優しいルート選択でより持続可能な選択を可能に
今後数か月以内に、開発者向けに環境に優しいルート選択の提供を開始します。これにより、米国エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所の分析情報と欧州環境機関のデータを使用して、燃料消費を抑えるために最適化されたルートを見つけられるようになります。燃料効率の最も良いルートは、リアルタイムの交通量とエンジンの種類に基づいて決まります。環境に優しいルート選択を使用するドライバーは、エンジンの種類(ガソリン、ガス、ディーゼル、ハイブリッド、電気自動車(EV))を選択することで、最適なルートと、燃料やエネルギー効率の正確な見積もりを取得できます。
たとえば、配送業者やライドシェアリング サービスは、1 回の走行、複数回の走行、保有する車両全体の燃料消費量と節約量を測定できるため、ビジネス パフォーマンスを向上させることが可能です。今後数か月以内に、Google マップ上の利用可能な地域で、環境に優しいルート選択のプレビュー版の提供が開始されます。登録して最新情報を受け取ることができます。環境に優しいルート選択と燃料節約量の見積もりの例
Routes API は現在プレビュー版のみが提供されており、この期間中のご利用に対してユーザーに課金されることはありません。料金の詳細については、Routes API の一般提供開始時にお知らせします。既存の Directions API と Distance Matrix API の価格に変更はなく、料金ページでご確認いただけます。
ユーザー エクスペリエンスの向上を図っている場合も、現実世界に関する Google の情報を基に、ビジネスにおいてより多くの情報に基づいた正確な意思決定を下すことを目指している場合も、これらの API は、さまざまなユースケースを解決するために必要な機能とパフォーマンスを提供するよう構築されています。
まずは、ドキュメントと移行ガイドをご覧ください。実際にお試しいただく場合や、詳細を確認したい場合は、ライブデモをご覧ください。
- Google Maps Platform プロダクト マネージャー Erika Yamasaki