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Google Cloud

ノーコード アプリ開発の現状

2021年1月20日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 1 月 9 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

世界はかつてないほどのスピードで変わり続けています。2020 年以前、つまり、このような状況になる前からデジタル トランスフォーメーションの必要性は認識されてはいましたが、それを実行する準備が万全であった企業はほとんどありませんでした。

2020 年の出来事をきっかけとし、機能することが強制され、世界中の企業が急速な変化を迫られることとなりました。問題解決には、コーディングに熟練しているかどうかにかかわらず、従業員の誰もがテクノロジーを活用して斬新なソリューションを創造することができるような、イノベーションのツールに対する民主化されたアプローチが必要とされました。企業がそれまで使用していたソリューション スタックは見直しを余儀なくされました。

一般的にアプリ作成というと、コードを書く従来のデベロッパーを連想しますが、今年は世界中で、技術者ではない「シチズン デベロッパー」のアプリ作成者によって、何十万ものアプリが作成されました。このような一般化が起こったのは、小売、建設、製造、サービス業、通信、教育、不動産、IT サービスなどの産業が、すべてノーコード開発によるデジタル トランスフォーメーションを求めていたからです。

今回の投稿では、なぜノーコード アプリケーション開発がデジタル トランスフォーメーションの重要な要素となっているのか、その影響を大きく受ける領域を検証することで説明いたします。

  • スピードとアジリティ

  • 生産性とコラボレーション

  • ガバナンスとセキュリティ

重要なのはスピードとアジリティ

Google Cloud のノーコード アプリケーション プラットフォームである AppSheet を使用しているアプリ作成者を対象とした最近の調査では、回答者の約 32% が、ノーコードを使用する最大のメリットの一つとして開発スピードを挙げています。開発時間が短縮されるということは、イテレーションの応答性が高まり、解決される問題が増え、事業部門に合わせてカスタマイズされたソリューションを必要とする企業にとって、大きな影響を与える可能性があることを意味します。オペレーション方法の迅速な変更が頻繁に求められる時期においては、速やかに戦略を変更する能力が非常に重要になっています。

ノーコード技術により、開発サイクルはどのように早くなるのでしょうか?

何よりもまず、まさにその名のとおり、コーディングなしでアプリケーションを構築し、自動化を処理できるため、より多くの従業員にイノベーションの扉を開くことができます。たとえば、AppSheet はコードを 1 行も書いたことがなくても、誰でも使用できる直感的な自然言語ベースのインターフェースにコーディングを抽象化します。一方で、IT にデータの安全性維持に必要な可視性とコントロールを提供します。

また、ノーコード プラットフォームごとに、より迅速で民主的なアプリ作成を進めるためのアプローチは異なりますが、AppSheet を選択したアプリ作成者は、プラットフォームの Google AI と ML の使用を 2 つの異なる方法で活用できます。組み込みの AI と ML は、アプリ作成者がプロトタイプをすばやく作成するのに役立ち、ユーザーがしたいことを入力するだけで関連機能を表示する自然言語インターフェースなどを容易にします。また、光学式文字認識(OCR)などのリッチな機能を実装でき、在庫管理やバーコード、画像認識などの機械学習ベースの機能を含むその他のユースケースでのアクティビティを実施できます。

場所を超えたコラボレーション

2020 年、私たちの働き方は驚くほど変化しました。普段チームと一緒にオフィスで仕事をしたり、生徒と一緒に学校で仕事をしたりしていた人たちの多くは、ステイホームを余儀なくされました。現場で仕事を続けていた人たちは、重要なデータがデバイス上に保存されているかクラウド上に保存されているかにかかわらず、外出先でデータへのアジャイルなアクセスを頻繁に必要とする重要な役割を担っていました。仕事、学校、家庭生活を取り巻くコミュニティが、見たこともないような形で影響を受け、活性化していく中で、コラボレーションとつながりが 2020 年の成功の鍵となりました。

このようなコラボレーションは、自分たちが活動しているコミュニティをサポートするデジタルな方法を見つけようとしている人たちにとっても同じく必要でした。ノーコードを使用している人にとって、このコラボレーションが実現される 2 つの重要な方法があります。アプリが他の人と共有されると、それが作成者仲間であろうとエンドユーザーであろうと、コラボレーションはまた違った意味を持ちます。作成者同士の関係においては、それは使用中のデータソースが管理性、イテレーション、セキュリティ、摩擦のないアクセスのために設計されていることの確認を意味します。エンドユーザーと作成者のインタラクションにおいては、その関係性はより複雑です。アプリ作成者は通常、パソコン上でアプリケーションを開発していますが、通常、エンドユーザーがアプリケーションを使用するのはモバイル デバイス上です。このような理由から、ノーコード アプローチではアプリ作成者がパソコン、タブレットなど、あらゆるものに対応する 1 つのアプリを構築できるようにし、多種多様な主要オペレーティング システムやインタラクション モデルをサポートするための追加開発を不要にしました。これにより、作成者はエンドユーザーとより直接的で意味のある形で関わりを持つことができ、コラボレーションを高めるだけでなく、生産性も向上できます。

米国を拠点とする建設会社である BHI は、ノーコードで従業員とのコラボレーションを実現しているとても良い例です。従業員の 90% がデスクレスであるだけでなく、25 州にまたがる職場に分散しているため、同社はデータをリアルタイムで処理する機能を必要としています。BHI はノーコード開発と Google Workspace を上手に組み合わせることにより、コラボレーションをさらに一歩前進させました。この組み合わせにより、民主化されたデジタル イノベーションを取り入れながら、IT 投資を 10% 削減できたのです。

ガバナンスとセキュリティを損なうことなくデータのロックを解除

ガバナンスは 2020 年に最も多く取り上げられた IT トピックの一つでしたが、それには納得のいく理由があります。2019 年の調査では、「企業の支出の 30% から 50% はシャドー IT に関係している」と指摘されています。IT チームが組織内の非技術チームに対してポリシーを設定し、監督を行うことができれば、現場の従業員は管理やガバナンスの責任を負うことなく、すばやく問題を解決できるのですが、企業が従業員に革新性を持たせ、迅速に行動できるようにしたいと考えてはいても、データ セキュリティを疎かにすることはできません。ノーコード技術も、それを活用するシチズン デベロッパーも、組織内の従来の開発手法に取って代わるものではありません。むしろ、ガバナンスのニーズを尊重し、イノベーションと最適化のためのツールへのアクセスを民主化することで、デジタル トランスフォーメーションを支援するために協調していくことに主眼が置かれています。

ベルギーに拠点を置く Solvay は、職場におけるガバナンスの優れた例です。ケーススタディで詳しくご説明したように、「Francis Boulu と [Solvay] 産業チームは当初、チェックリストと検査を合理化するために、生産オペレータから情報を収集する目的で AppSheet の使用を開始しました。AppSheet を Google スプレッドシートと組み合わせて使用することで、アプリケーションを迅速にデモしてロールアウトし、本番環境に移行できました。」組織全体のクチコミを通じて、ノーコード技術への需要が高まり、IT チームのどのバックログをも簡単に圧倒してしまう勢いでした。しかし、Solvay はガバナンスを機能に組み込んだプラットフォームを選択したため、IT チームはガバナンス要件を遵守しながらも、個々の貢献者が開発プロセスに参加できるインフラストラクチャを提供できたのです。Solvay では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の取り組みを支援するために構築したものを含め、世界中で利用されているノーコードのアプリをこれまでに約 1,000 本も作成してきました。

未来を見据えて

2020 年の終わりを迎え、業務の状態における大きな変化は、技術者以外の従業員によるカスタム ソリューションと最適化の構築の必要性が広く認識されるようになったことです。今後も労働文化は変化を続け、技術の民主化への要求は高まるでしょう。Google Cloud の AppSheet のようなプラットフォームの需要についても同様です。AI の重要性は今後も高まり続け、これらのプラットフォームの技術力が進化していく中で、アプリケーションを構築する必要がある人が確実にそれを行えるようサポートするために、ガバナンスがこれまで以上に重要な役割を果たすことになるでしょう。

2021 年には、ノーコードとの新たな関わり方が生まれ、作成者がスキルを深め、組織に真のインパクトを与えることができるようになると信じています。Gartner が 2019 年 10 月に発表したレポート「The Future of Apps Must include Citizen Development」では、2023 年までに「大企業におけるアクティブなシチズン デベロッパーの数は、プロの開発者の数の少なくとも 4 倍になる」と指摘しており、アナリスト達も同意するところです。

まだノーコードのカスタム アプリケーションをご自身の仕事として考えていない方は、世界中にいるアプリ作成者の一員となり、今すぐ始めましょう。

-プロダクト マーケティング マネージャー Jennifer Cadence
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