Google Cloud の新たな調査で、COVID-19 が製造業の状況を一変させたことが明らかに
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 12 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
受注の減少から業務に与えるマイナスの影響にいたる、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるさまざまな厳しい逆風にさらされて、世界中の製造業者は業務モデルとサプライ チェーン戦略の見直しに着手しました。そして今では、将来のパンデミックにうまく対処する準備ができていると以前より感じていることが、本日発表された Google の最近の調査でわかりました。
パンデミックが続く中で、製造業者が変革を進める鍵は、デジタル化を実現する手段と破壊的技術を導入することです。現に、世界中の製造業者 5 社のうち 2 社以上で、データ分析、デジタル生産性向上ツール、パブリック クラウド プラットフォームの利用が拡大しており、地域による差はありませんでした。
IDC でエンタープライズ アプリケーション、データ インテリジェンス、サービス、業界調査担当シニア バイス プレジデントを務める Bob Parker 氏は、次のように述べています。「製造業者は常に、業務に悪影響を及ぼすおそれがある予測不可能な事態に備えています。COVID-19 が極めて特徴的なのは、事態が長期間にわたって続いていることで、地理上の場所に関係なく、私たちがこれまで経験したことがない形でサプライ チェーンに影響を与えています。そのため、できるだけ早く、製造業者に適切な技術的手段を迅速に導入する緊急性を感じています。これまでデジタル変革については初期の検討段階にすぎなかったかもしれませんが、今や製造業界に極めて重要なツールとテクノロジーの導入が急速に進む様子を目の当たりにしています。」
ここでは、この調査でわかった 5 つの注目すべきポイントをご紹介します。
1. パンデミックは当然ながら、他の業種と同様に製造業全体に甚大な影響を与えています。ほぼすべての製造業者(95%)が、パンデミックによって製造やサプライ チェーンの業務にマイナスの影響を受けていると考えています。悪影響として挙げられた上位 3 つは、生産性の損失(46%)、売り上げの減少(44%)、サプライ チェーンの混乱が原因と考えられるリードタイムの増加(39%)です。また、約 3 分の 1 の製造業者が、顧客の需要全体の減少(35%)、人手不足(34%)、安全な職場環境を維持できない状態(33%)を経験しました。
2. COVID-19 に関連する課題を克服するため、製造業者は業務モデルとサプライ チェーン戦略の方向転換を迫られました。調査対象の製造業者の 4 分の 3 以上(77%)が、COVID-19 によって自社の業務モデル戦略の見直しが生じたと回答しました。その理由として特に多かったものには、バリュー チェーン パートナーとの連携がうまくいかない(41%)、従業員の共同作業がうまくいかない(40%)、現場に多くの従業員がいない状況下での業務に適したテクノロジーの不足(39%)が挙げられています。
3. パンデミックを切り抜ける中で、AI やロボット工学などの「破壊的な」技術が極めて重要な役割を果たしました。調査対象の製造業者のうち 4 分の 3 以上(76%)が、パンデミックによってデジタル化を実現する手段と破壊的技術の利用が増加したと答えました。これには、クラウド、人工知能(AI)、データ分析、ロボット工学、3D プリント(付加製造)、モノのインターネット、拡張現実、バーチャル リアリティなどが含まれます。より具体的には、デジタル化を実現する手段や破壊的技術のうち回答者が特に利用している上位 3 つは、データ分析(46%)、デジタル生産性向上ツール(43%)、パブリック クラウド プラットフォーム(42%)でした。
Rolls-Royce の R² Data Labs グループ ディレクターであり、Emergent Alliance の共同創設者兼前会長でもある Caroline Gorski 氏は、次のように述べています。「デジタル技術は、当社業務の重要な部分を継続可能にするために大きく貢献しています。持続可能な動力の先駆者になるという目標を達成するにあたって、製品工場に従業員が必要であるのと同時に、効率性、精度、生産性を向上させるテクノロジーが必要です。」
4. 興味深いことに、多くの製造業者が COVID-19 への対応が整っていないにもかかわらず、将来のパンデミックをうまく乗り切る準備ができていると感じています。先に述べたように、ほとんどの製造業者(95%)は、パンデミックによって製造やサプライ チェーンの業務にマイナスの影響を受けていると考えています。一方、調査対象企業の 82% が今後新たに発生する COVID-19 のような事態に対処する準備ができていると感じています。このような心理は、製造業者がいかに新たな分野への参入に成功したかに関係しているかもしれません。供給不足の中で人工呼吸器と個人防護具を生産したこと、新しいデジタル ファクトリー計画への投資を再開したことがその例です。
5. 最後に、パンデミックの状況と製造業への影響は国によって大きく異なっています。
日本では、マイナスの影響を挙げた製造業者の約半数(51%)が、パンデミックによって売り上げが減少したと回答しています(世界全体の平均は 44%)。
韓国では、マイナスの影響を挙げた製造業者の 5 社のうち 2 社以上(43%)が、パンデミックが安全な職場環境の維持を妨げたと答えました(世界全体の平均は 33%)
フランスでは、製造業者のほぼ半数(48%)が、パンデミックの最初の 1~3 か月にビジネスの継続性を保つ適切なテクノロジー ツールが導入されていると感じていました(世界全体の平均は 37%)。
英国では、製造業者 5 社のうち 2 社以上(43%)が、従来のテクノロジーへの依存が今後 1 年における業務運営上のリスク増につながったと回答しました(世界全体の平均は 30%)。
イタリアでは、製造業者の 3 分の 1 以上(35%)が、社内の IT システムに必要な冗長性が確保されていないことが、業務全体の復元力を弱めたと感じました。調査対象のすべての製造業者の 4 分の 1 弱(23%)が同じように回答しています。
ドイツでは、製造業者の 86% で、COVID-19 によってデジタル化を実現する手段と破壊的技術の利用が増加しました (世界全体の平均は 76%)。
米国では、製造業者の 64% でデータ分析の利用が拡大しました(世界全体の平均は 46%)。
ここでご紹介した内容を含め、調査の詳細については、レポート全文(こちら)およびインフォグラフィック(こちら)をダウンロードしてください。
調査手法
Google Cloud の委託により The Harris Poll が行った本調査は、従業員数 500 人以上の企業に常勤雇用され、製造業に従事している上級管理職(ディレクター レベル以上)1,154 人を対象に、2020 年 10 月 15 日~11 月 4 日の期間にオンラインで実施されました。各国の内訳は、フランス(150 人)、ドイツ(200 人)、イタリア(154 人)、日本(150 人)、韓国(150 人)、英国(150 人)、米国(200 人)です。各国のデータは従業員数によって重み付けし、実際の母集団の企業規模比率に合わせました。全体にわたる重みを適用して、世界全体の平均値で各国の重みが均等になるようにしました。
-Google Cloud 製造および輸送担当マネージング ディレクター Dominik Wee